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能町みね子著「結婚の奴」を読む【街の書店員・花田菜々子のハタチブックセンター】

街の書店員のおすすめ本ハタチブックセンター

普通の恋愛、普通の結婚ってなんだろう


『結婚の奴』

能町みね子・著 ¥1500 平凡社


TV・ラジオでも活躍中の能町みね子さんが、恋愛関係にない相手とオリジナルの関係性を築き上げ、新しい結婚の形を模索する冒険記。恋愛とは、結婚とは何かを改めて問いかけながらも、読者に勇気を与えてくれる爽やかな1冊。

 一人の異性と恋愛的に惹かれ合って結婚する、という出来事は、一般的にとてもいいことだとされている。それを目指して頑張れと言われることさえある。けれど、それだけが正解なのだろうか?

  この本は、男性の身体を持って生まれた能町みね子さんが、恋愛やセックスの対象ではない、友達のようなゲイの男性と結婚する、という自らの人生の「実験」を綴ったものだ。恋愛感情が分からないという能町さんの冒険と格闘の日々が、観察日記のようにつぶさに描かれる。筆致は明るく軽いけれど、その奥底には、制度や常識なんてぶっ壊してやる、自分に不利に作られたこの世の中を逆手にとって楽しんでやる、という、まるで一揆を企むようなワイルドな生命力がある。

 特殊な状況のルポに見えて、本を貫いているのは「自分の幸せのかたちは自分が決めろ」という真っすぐなメッセージだ。生きづらさを感じたら、勝手にルールを書き換えるのもアリなのかもしれない。




屈折女子が強く生きるための2冊


『誰になんと言われようと、これが私の恋愛です』

劇団雌猫・著 ¥1200 双葉社


オタク女子4人組が編集する、新しい時代の恋愛レポート。多様な恋愛論が語られるなかでは、2次元キャラへの恋も、アイドルへのガチ恋も、すべてが等しく輝いている。




『女子をこじらせて』

雨宮まみ・著 ¥580 幻冬舎


『結婚の奴』にも登場する雨宮まみさんの代表作。可愛いとか、モテるとか、女としてどうとか……。劣等感に苦しみながらもとことん自分と向き合い、激しく生きた彼女の記録。


はなだ ななこ 
HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE店長。著書に『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』がある。



2020年3月号掲載

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