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スイスイ著『すべての女子はメンヘラである』を読む【街の書店員・花田菜々子のハタチブックセンター】

街の書店員のおすすめ本ハタチブックセンター

メンヘラ体質から抜け出す超強力なガイド本


『すべての女子はメンヘラである』

スイスイ・著 ¥1200 飛鳥新社


元メンヘラであり現「ハッピーリア充」であるという著者が、自分の感情をコントロールできずに恋愛依存や自傷を繰り返してしまう自分の心を奥底まで見つめ、自らの力でメンヘラを脱却するまでを描く。すぐ実践できるアドバイスも多数掲載。

「彼からの返信がないと不安で何度もメッセージを送ってしまう」「彼が自分より男友達や仕事を優先すると許せない」……なんて、恋愛中には誰もが経験する気持ちかもしれない。けれど、その気持ちがどんどんエスカレートして、自分の情緒不安定さが原因で彼にフラれたり周囲に迷惑をかけたり、何より自分自身が苦しいのであれば、「脱メンヘラ」したほうが幸せになれそうだ。

 読み進めていくと、著者はものすごく強い思いで同じ地獄にいる若い女子たちを救い出そうとしているのが伝わる。そして不思議なことに、メンヘラ気質を持つ人のことが少しうらやましくなる。それって生きるエネルギーの強さなんじゃないかなって。

 傷つきやすくて、愛されたくて、みんなからすごいと思われたい――。そんな人はきっと、今はしんどくても、壁さえ乗り越えられれば最強の人生が待っているのだろう。他者への愛をこの本いっぱいにばらまいているスイスイさんがそれを証明している。




心の激しさの行方を追う2冊


『推し、燃ゆ』

宇佐見りん・著 ¥1400 河出書房新社


主人公はアイドルを推すことが人生のすべてになっている女子高生。推しがファンを殴って炎上してからも一層強く推しを思い続けるが、裏腹に現実の人生はなかなかうまくいかず……。ヲタ必読の1冊。




『悔しみノート』

梨うまい・著 ¥1300 祥伝社


ラジオに寄せられた投稿から生まれたこのノートは、素晴らしい作品への嫉妬と、自分がそういうものを作れないことへの悔しさをつづる言葉であふれている。苦しさとともに純粋な熱さを感じる良書。




はなだ ななこ 
HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE店長。著書に『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』がある。



2021年1月号掲載

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