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2023.09.29更新日:2024.08.08
――2016年になってからは「モーニング娘。’16」となり、9期が5周年を迎えました。お祝いなどはしましたか?
譜久村 5周年のお祝いにと後輩メンバーがディズニープリンセスのヘアブラシをプレゼントしてくれました。9期のメンバーカラーに合わせたプリンセスデザインを選んでくれて、私はラプンツェルだったんですけど、気持ちが伝わってきてすごくうれしかったです。今でも大事に使っています。
――そして『Hello! Project 2016 WINTER 〜 DANCING ! SINGING ! EXCITING ! 〜』にて13期メンバーオーディション「モーニング娘。’16 『新世紀』オーディション」の実施が発表されました。話を聞いた時はびっくりしましたか?
譜久村 短いスパンで新メンバーを迎えることにすっかり慣れてしまったので、全然びっくりしなかったです(笑)。12期メンバーは加入して一年のタイミングだったので焦りを感じていたと思いますが、先輩メンバーは「またこの時期がやってきたか」と落ち着いて話を聞いていました(笑)。そしてこの時のコンサートでは、憧れのももち先輩(嗣永桃子)と二人で『ロマンティック 浮かれモード』を披露させていただいたこともすごく印象に残っています。自分にとってキーが高くて難しい楽曲だったんですけど、こんな貴重なチャンスはなかなかないですし、下手とは思われたくなくってより一層練習を頑張りました。
――当日、一緒に歌った時の心境などは覚えていますか?
譜久村 これまで先輩と一緒に歌わせていただく機会には恵まれていたほうだと思うんですけど、まさかももち先輩と二人だけで歌える日が来るなんて思っていなくて、とにかくうれしくって。でも実際にはアイドルオタクの人格が出てきてしまって目を合わせることができず……。たぶん、ももち先輩に気持ち悪がられていたんじゃないかと思います(笑)。
――加入してから歌にはずっと真剣に向き合っていた譜久村さんですが、2016年のタイミングではどのような状況でしたか?
譜久村 2015年末に卒業した(鞘師)里保ちゃんのパートをたくさん受け継いだこともあり、いただいた歌割りをしっかりと自分のものにしてこなしていくという明確な課題もあったので、引き続き頑張っていましたね。のどを酷使する機会が増えたので、とにかく龍角散(のど飴)が手放せない一年だったという記憶が残っています。
里保ちゃんのラストシングルになった『冷たい風と片思い』は12月半ばからMVも公開していて、一緒にパフォーマンスしていたんですけど、CDのリリース自体は2015年12月29日と年末ギリギリだったんです。年明けの1月のオリコン週間シングルランキングで1位を獲得できたことはすごくうれしかったけど、里保ちゃんが卒業して2日後のハロコンからすぐ、里保ちゃんなしの状態でパフォーマンスすることに対してはちょっと不安な気持ちもありました。私だけじゃなく、同じく歌パートを引き継いだ小田(さくら)やダンスのソロパートを引き継いだあゆみん(石田亜佑美)をはじめ、メンバー全員が「受け入れてもらえるかな?」と不安に思っていたんじゃないかと思います。2016年の始まりは里保ちゃんという大きな存在がいなくなって、グループ全体的にちょっと切羽詰まったような雰囲気というか、今思うと少し落ち込んでいるようなムードがありました。
――そして鈴木香音さんが同年の春ツアー最終日をもって、モーニング娘。’16を卒業することを発表します。同期から2人目の卒業が出ることになりどんな心境でしたか?
譜久村 2015年に里保ちゃんが卒業することが決まってから、9期メンバーでいろいろちゃんと話をする機会があったのですが、その時に香音ちゃんからそのような感じの話は聞いていたので、衝撃! というよりは「ついにその時が来たのか……」という感じでした。香音ちゃんのことを知っている人にはすごく伝わると思うんですけど、そういう大事なことをサラッと言ってくるような子なんですよ(笑)! 確かイベントのためにダンスレッスンをしていた時のことなんですけど、楽屋に二人きりになるタイミングがあって、楽屋を出る直前に「私、卒業発表する!」とサラッと言われた記憶が残っています(笑)。あまりにライトだったので私もその時は思わず「う、うん!」みたいな感じで返しちゃったんですけど(笑)。もちろん本心では“嫌だ!”と思っていました。香音ちゃんには本当にたくさん支えてもらったし、思い出もたくさんありますし。でも香音ちゃんが決めたことを尊重したいし、こっちが暗くなってしまうことも香音ちゃんは望んでないと思ったので、名残惜しい気持ちをグッと飲み込んで笑顔で見送ろうって思いましたね。
――鈴木さんの卒業発表の直後に、米・テキサス州ヒューストンで開催されたイベント「Anime Matsuri」の10周年記念のスペシャルゲストとしてライブを行った時のお話も聞かせてください。
譜久村 想像以上にたくさんの人たちが集まってくれてびっくりしました。そして香音ちゃんへの声援が本当に大きくて、アンコールでは「ズッキコール」が起こったりして、すごくうれしい気持ちになったのを覚えています。それから8年間米国に住んでいた野中(美希)にとってもすごく特別な機会だったと思うんですけど、少し前に足を骨折していたのでこの時は座ってのパフォーマンス参加になったんですよね。でも得意の英語ですごく盛り上げてくれました。私は里保ちゃんから受け継いだパートを初披露するところがあったりして、結構いっぱいいっぱいだった記憶が残っています。
2016年になったタイミングからどんどん歌パートが増えていって、気持ち的にはすごくうれしいけど余裕がない! みたいな感じだったんです。里保ちゃんに代わって自分が歌を引っ張っていくぞというより、代わりにその役割を背負っていけるような、グループを支えられるメンバーの一人になりたいという責任感がまずあって。でも同時に里保ちゃんから受け継いだパートは、同じようにしようとするのではなく自分らしさも出していかないと意味がないという焦りだったり、自分のキャパを超えてパフォーマンスの質が落ちて歌が下手と思われたらどうしようみたいな不安もあったり……。だから当時はそんな気持ちを隠すために自信を持って歌っているように見せようとしたところもありました(笑)。
――2016年は譜久村さんにとって転機であったり試練の一年だったということですね。
譜久村 そうですね。これまでも歌とは向かい合ってきましたが、2015年まではそれほど歌のパートが多いほうではなかったので、ダンスで魅せるということにすごく力を入れてパフォーマンスしていたんです。だからこれからは歌でも魅せていかないといけないと思っていたし、その皮切りとなったのがヒューストン公演でした。
――リーダーという役割に関してはかなり慣れてきた頃ですか?
譜久村 いえ、全然慣れてないです! だからそこでも余裕がずっとなくて、さらにパフォーマンス面での課題も加わってきたのでまだまだいっぱいいっぱいでした。締め切りの書き物(グッズとして販売する写真などに載せる手書きメッセージなどを書く作業)が終わってないのに、どんどん新しい書き物がやってくるような感覚でした(笑)。そして、重要なパートをこなしながらパフォーマンスをすることへの重圧感を体験したことで「里保ちゃんは誰にも頼ることなく、一人で5年間も頑張っていたんだな」と改めて思ったりして、胸がギュッと締め付けられるような感覚も同時にすごくありました。
――そして鈴木さんにとってラストのツアーとなる『モーニング娘。’16コンサートツアー春~EMOTION IN MOTION~鈴木香音卒業スペシャル』は17都市・36公演というかなりのボリューム感で開催されました。
譜久村 ……36公演!? 改めて振り返るとなかなかのボリューム感ですね。でも言われてみたら2016年も引き続きライブやコンサートにはかなり力を入れて活動をさせていただいた記憶があります。とにかくライブをたくさんしていたので、それ以外の思い出があまりないぐらいです。
――ライブ活動を重ねていくことで新体制に変化などは訪れましたか?
譜久村 みんな若かったし、忙しかったし、ひたすら必死でしたね。“焦り”みたいなものが原動力にもなっていた気がします。自分たちは前に進もうとしているのに、思うようにうまくいかなくって、そういう気持ちをパフォーマンスにぶつけているようなところがあったというか……。
――その“焦り”についてもう少し詳しくお話を聞いてもいいですか?
譜久村 私をはじめ、それぞれのメンバーが今まで里保ちゃんに頼っていた部分に気づいたというのが大きかったと思います。そしてその時のグループの状況もその“焦り”に拍車をかけるような状況でした。ワンフォー(モーニング娘。’14)の時にいろんなところで「モーニング娘。再ブレイク」と言っていただけて、それは本当にすごく光栄で。その後も私たちはずっと走り続けていたんです。でもワンフォーをきっかけにCDの売り上げも上がっていってたし、みんな努力してパフォーマンスもどんどん高めていっているはずなのに、そこに注目していただける機会が減っているんじゃないかという“焦り”がありました。だからみんなで集まって「このままじゃダメだよね、もっと成長しないと」と真剣に話し合いもしました。そして2016年のグループとしての目標を“スキルアップ”に設定して、それぞれが頑張ろうと団結していました。
――そして日本武道館で行われた春ツアーのラスト公演にて鈴木さんが卒業。また募集していた13期メンバーオーディションは該当者なしという発表がありました。
譜久村 卒業コンサートでは、もちろん悲しい気持ちはありましたけど、香音ちゃんのやり切った表情が見られて、なんとか笑顔で送り出せたんじゃないかと思います。ただ香音ちゃんがいなくなってからユニゾンがすごくスカスカな印象になってしまって、そこでまた新しい課題がグループに残りました。新メンバーオーディションの該当者がいなかったのは残念なことですけれども、久しぶりに既存のメンバーで活動するまとまった期間が生まれたことで、団結感は増した気がします。
――演劇女子部『続・11人いる!東の地平・西の永遠』での思い出はありますか?
譜久村 演劇女子部は今まで選抜メンバーのみの出演だったので、この年は全員で出演できたことがすごくうれしかったです。オールダブルキャストだったので、それぞれ大変でしたけど、演技を通して一つになれたような感覚になれたこともすごく記憶に残っています。演劇女子部では普段とは違う歌の先生、ダンスの先生にお世話になるんですけど、そういった新しい経験だったり舞台での活動を経て、新しい自分の強みを見つけたメンバーもいて、そういう姿が頼もしかったことも覚えています。ちなみに私はこの活動を経てビブラートができるようになりました。
――『モーニング娘。’16 コンサートツアー秋 ~MY VISION~』の思い出は何かありますか?
譜久村 すごく大好きなツアーの一つです。ツアーを通して12期の成長した姿がすごく見えたこともよかったですし、先輩メンバーは全員ソロで歌うような構成だったんですけど、それも印象に残っています。私は藤本美貴さんの『ブギートレイン’03』を歌わせていただいたんですけど、12期にも見せ場を作りたくてバックダンサーをお願いしました。そしてこのツアーを完走できたことで、メンバーにも少し自信みたいなものが生まれて、今までの張り詰めていたような表情からみんな穏やかな顔になったような記憶もありますね。でも個人的にはちょっとした事件がありました。今だからこそ言える話でもあるのですが、ライブ公演中に発熱してしまった時があって。その時は言い訳みたいになっちゃうので言えなかったんですけど、頭がすごくぼーっとしてしまってMCが異常に長くなっちゃったんです。そこで「もしかして次はふくちゃんが卒業したりするんじゃないか」とファンの皆さんがザワつくみたいな事件がありましたね(笑)。
――(笑)。その他に印象に残っていることはありますか?
譜久村 2016年の秋にリリースしたトリプルA面シングルもすごく印象に残っています。『セクシーキャットの演説』は誰がキャット役になるかで大盛り上がりしましたし、ファンの皆さんにもすごく喜んでもらった記憶があって。『ムキダシで向き合って』は星部ショウさんに作っていただいて、今までにない魅力をアピールできるような楽曲だったので、私たちもすごく新鮮な気持ちで取り組むことができました。『そうじゃない』は(牧野)真莉愛の初センター曲で。こんなに盛りだくさんな曲をまとめてリリースできたことは、グループとしてもすごく強みだなと思いましたね。
そして少し話が遡るんですけれども、春に開催されたひなフェスで俳優の松岡茉優さんと一緒に『One・Two・Three』をパフォーマンスさせていただいたり、FNS歌謡祭のアイドルメドレーではいろんなアイドルさんと一緒にステージに立って歌ったり、AKB48さんとは『ザ☆ピ〜ス!』を披露させていただいたり。ライブばかりしていたような気でいましたが、振り返るとそれ以外のところでもたくさん貴重な経験をさせていただいていました。
――そして年末には新たなオーディションを経て13期メンバーが加入してきます。
譜久村 はい。もちろん不安な部分はまだありましたけど、秋ツアーを乗り越えてグループとしてのいろんなことが固まってきたタイミングだったので、受け入れ体制としてはばっちりでしたね。
――譜久村さん自身も落ち着いてきたタイミングだったりしたのでしょうか?
譜久村 多少は……。でも引き続き自分には自信がなかったですね。そして、2016年の後半ぐらいから「安定」って言われることに対してちょっとネガティブな気持ちになっていたことを思い出しました。「安定」というのは褒め言葉だと思うんですけれども、当時の自分は「安定じゃなくて、めちゃくちゃ頑張ってこの状態なんです!」みたいな気持ちだったんです(笑)。私は平均点を出したいわけじゃなくて、ずっと120%の自分でいたかったから、「安定」という言葉に勝手にすごく傷ついてしまっていたんですよね。その時の自分の思考は若かったなと思います(笑)。
――この年は20歳ということで成人式の思い出はありますか?
譜久村 成人式に対しては当時ほとんどなんの気持ちも向いてなかったですね。成人式当日も仕事で参加できなかったですし。前撮りの準備も全然進まなくって。「もう、なんでもいいや」という気持ちさえあったんですけど、親が一生懸命着物を選んでくれて、無事に前撮りだけはすることができました。振袖の色が赤と緑、帯にピンクと黄緑が入っていて、9期カラーのコーディネートだったんですよ。それはすごくうれしかったですね。でも一生残るものだからこそ、もっと自分でも興味を持ってちゃんと関わればよかったなという後悔も後から残りました。
――2016年を改めて振り返ってみるとどんな年でしたか?
譜久村 グループとしても自分としても試練を乗り越えるじゃないですけれども、問題と向き合って成長できた時間を過ごせたと思います。2月のヒューストンでの公演をやり遂げたことが自信に繋がって、そこから香音ちゃんの卒業をちゃんと見届けられたこと。秋ツアーでは一番後輩の12期メンバーの成長する姿が見られたこと。段階を経て確実に前に進めたことが本当によかったです。
――最後に譜久村さんにとっての2016年を一言で表すと?
譜久村 さっき話した中でも出てきたキーワードなのですが、やっぱり「スキルアップを目標に頑張った年」ですね。
米・テキサス州ヒューストンで開催されたイベント「Anime Matsuri」にてライブを行った時のオフショット。
ヒューストン宇宙センターを訪問した時のオフショット。
『モーニング娘。’16コンサートツアー春〜EMOTION IN MOTION〜鈴木香音卒業スペシャル』のステージカット
『モーニング娘。’16コンサートツアー春〜EMOTION IN MOTION〜鈴木香音卒業スペシャル』でのメンバー集合カット
『モーニング娘。’16コンサートツアー春〜EMOTION IN MOTION〜鈴木香音卒業スペシャル』での9期集合ショット
演劇女子部『続・11人いる!東の地平・西の永遠』のステージカット
『若いんだし!』
――毎回メンバー一人一人に、譜久村さんが贈りたいモーニング娘。の楽曲をセレクト。 第六回は12期メンバーの羽賀朱音さんです。
譜久村 あかねちん(羽賀朱音)は性格が大人なんですよ。そして姉御肌。だから家では兄弟のお世話をしたりとかしていると思いますし、モーニング娘。でも先輩メンバーが甘えたくなるような感じのキャラなんです。それはあかねちんの気遣いができるところや、いい意味で要領がいいところから来ているんだと思うんですけど、常に相手に合わせた自分でいようとしてくれるから、周りはついついそこに甘えちゃうんです。でも実際には、あかねちんはまだ21歳の女の子でもあって。だからそのままのあかねちんはもちろん素敵だけど、常に俯瞰して物事を見ないでもいいし、正しいとかこうしなくちゃいけないみたいな気持ちは置いて、もっと自由にしたり、夢見るようなこともしてほしい! って勝手に思っちゃうんですよね。「なんにも気にしなくていい、若いんだから!」って言いたい(笑)。でも遡ると、実はあかねちんはモーニング娘。に入った後に反抗期があったんですよ。私たちが「こっちおいでよ〜」っていうと「嫌です!」と即答するみたいなやり取りがすごく懐かしいです(笑)。そんな先輩を振り回すあかねちんでも私は大歓迎なので、本当に本人が思うように自由に楽しく過ごしてくれたらいいなと思っています。
●ふくむら みずき 1996年10月30日生まれ、東京都出身。ハロプロエッグ(現ハロプロ研修生)を経て、2011年に9期メンバーとしてモーニング娘。に加入。2014年にモーニング娘。史上最年少でリーダーに就任。2016年よりハロー!プロジェクトのサブリーダー、2019年よりハロー!プロジェクトのリーダーも兼任する。愛称はふくちゃん、メンバーカラーはホットピンク。当時のプロデューサー、つんく♂から「少しウエットな色気のあるメンバー」と評価を受け、独自の魅力を磨きつつステージでは高いパフォーマンス力を見せつけるオールラウンダーとしても知られる。
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モーニング娘。’23
「すっごいFEVER! /Wake-up Call〜目覚めるとき〜 /Neverending Shine」
前作から約10か月ぶりとなる73rdシングル「すっごいFEVER!/Wake-up Call~目覚めるとき~/Neverending Shine」が2023年10月25日にリリース決定。今年5月に加入した新メンバー井上春華と弓桁朱琴にとっては初のシングル。そして、秋のコンサートツアーをもって卒業する現リーダー譜久村聖にとってはラストシングルとなる。現在の14名体制での最初で最後のシングルとなり、全7形態で展開予定。
撮影/山越翔太郎 ヘア&メイク/YUZUKO スタイリスト/前田涼子 取材・原文/武内亜紗 撮影協力/アワビーズ
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