──ある殺人事件をきっかけに、ロースクールの同級生3人の抱える秘密が暴かれていく映画『法廷遊戯』。杉咲さんは、主人公・久我清義の幼なじみで、殺人事件の容疑者となる織本美鈴を演じている。
「美鈴は、過去に起きた出来事が決定的な瞬間となって、清義のことをとても大切にしているんです。見方によっては衝撃的で奇抜ともいえるような美鈴の行動の原動力になっているのは、すべて清義の存在。そう考えるとある意味筋が通っていて、共感からは離れても理解ができるキャラクターだと思いました」
──清義役の永瀬廉さんとは、初共演。
「永瀬さんは、飾ることなく、誰かに何かを求めたりもせず、フラットに現場に立たれる方。“自分は人見知りなんです”と言いながらもいろいろな方に話しかけ、みんなを結びつけてくれて、本当に感謝しています。駅で一日中撮影していた日、現場近くで売っていたタコ焼きを、同級生役の北村(匠海)くんも含めた3人で食べたことも、いい思い出です」
──ストーリーが進むにつれて真実と事実が次々と入れ替わり、驚愕の結末が待ち受ける今作。完成作品を見た感想は?
「登場人物が、口にしたことと真逆のことを心の中で考えているのではないかと思わされる要素がたくさんあって、目に見えるものだけが正しさではないというアンビバレントさを感じました。何かを熱烈に思ったり信じたりすることの尊さと恐ろしさを同時に感じられるこの作品で、同級生3人のまなざしの先に何が残っているのかを目撃してもらいたいです」
──謎解きミステリーに出演した杉咲さんが、今知りたいと思っていることは?
「本を読んでいて分からない単語が出てきた時にページをめくって意味を調べる時間を大事にしたくて、最近、広辞苑を買ったんです。そしたら広辞苑を見るほうが楽しくなって、今は本の中から知らない言葉を見つけることに熱中しています(笑)」