うわ〜、濃い恋愛を「体験」してしまった、というのがまずこの本の感想だ。恋愛を味わえるコンテンツと言えば映画やコミック、小説などが多いけど、短い言葉で情景を浮かび上がらせてくれる短歌は、より心にダイレクトに刺さる気がします。
ラブラブな時期を経て、サスペンスのように不穏な影が差してくるところからがこの作品の本番。恋人たちの心とリンクするように「あれ? なんでお母さんには恋人が見えないの?」「あれ? ふたりが飼い始めたのってトイプードルだったよね?」と、次々に世界がずれ始める。そのスリリングさに身を任せて読み進めていけば、いったいふたりに何が起きたのかは次第に解き明かされていく。
うーん、恋愛って恐ろしい……いや、これ以上はネタバレになるのでやめておきましょう。でもやっぱりそれでも、この恋愛を読めてよかったなと思うんです。