長田杏奈「美容は自尊心の筋トレ」を読む。【街の書店員・花田菜々子のハタチブックセンター】

2019.07.28

町の書店員のおすすめ本ハタチブックセンター

自由で優しい気持ちに。ニュータイプの美容本


『美容は自尊心の筋トレ』

長田杏奈・著 ¥1480 Pヴァイン


「モテようとも若返ろうとも、綺麗になろうとも書いていない」まったく新しくて、それでいてすっと心になじむ美容についてのエッセイ集。自虐をやめ自分を肯定するための、分かりやすく取り組みやすいアドバイスが満載だ。

可愛くなりたい、きれいになりたい、という気持ちは、もともとはとてもキラキラしたハッピーな感情だ。なのにそれらは時にくるっと反転して、「自分なんて全然だめだ」と自分を落ち込ませたり、「あの子は私よりイケてない」と意地悪な気持ちを引き起こしたりする。 

 ネガティブな競争心のための美容じゃなくて、自分を大事にしたりもっと好きになるための美容ができたらとてもいいと思う。でもどうやって? という問いに、考え方・行動の両方から具体的に答えてくれるのがこの本。読めばぐんぐん元気がわいてくる。《 みんな違ってみんな美しい》。それが本を貫くテーマなのだけど、もし「そんなこと言われてもやっぱり自分に自信を持てないし、あの人みたいに可愛くなりたいよ」って思ってしまうならば、逆にこの本はものすごく効くと思うので絶対に読んでほしい。こうして時代とともに価値観はアップデートされて、呪いは解け、女子たちは可愛くなるのだなあ。




一緒に読んでほしい2冊

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『モテとか愛され以外の恋愛のすべて』

桃山商事・著 ¥750 イースト・プレス


悩める女子必読の恋バナトーク! 爆笑できる飲み会のような内容でありつつ、男女にまつわる古い価値観をバサバサと斬り倒し、新しい時代の恋愛ってこんなかも! とワクワクさせてくれる。


『ラブという薬』

いとうせいこう、星野概念・著 ¥1500 リトルモア


こちらは元気になれない日や心の調子がすぐれない日にオススメしたい。バンドメンバーであり、患者と精神科医でもある二人の診療の様子を対談形式でまとめた1冊。二人の静かで深い言葉がすとんと心に落ちる。


はなだ ななこ 
HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE店長。著書に『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』がある。



2019年9月号掲載
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