役者人生を歩む上で転機になった監督の言葉
共演前の印象を尋ねると、「高校生の時に見た映画『蛇にピアス』のお芝居が衝撃的だったので、今回ご一緒できるのが光栄」(優子)、「ドラマ『コード・ブルー』を拝見して、凛とした方なんだろうなと。演じている役と本人は絶対違うけど、人となりは出ると思うから」(高良)と、お互いを尊敬し、認め合う二人。そして、それぞれが役や作品と向き合う姿勢から伝わってくるのは、演じることが心から好きだということ。役者人生の転機を一つ教えてほしいとお願いすると、優子があげてくれたのは2017年公開の映画『僕らのごはんは明日で待ってる』。
「市井(昌秀)監督は現場での新鮮さをすごく大切にされる方で、本読みの時も〝感情を作らず、ただひたすら読んでください〟と言われたんです。最初は〝なんでだろう?〟って不思議だったけど、役の感情を本読みで固めるのではなく、現場で感じた温度や空気感を大切にして、本当にそこで生きてほしいということだったんですよね。今でも役についてあれこれ考えすぎてしまった時には、いったんそのアプローチ方法に立ち返るようにしているんです」
現場で生きることの大切さ。それは、高良さんにとっても同じ。「映画『M』でご一緒した廣木(隆一)監督からは、”ちゃんとその場にいなさい”と言われ続けていました。当時まだ熊本に暮らす高校生だった自分が、大人の本気の言葉をもらえた。役者をやっていくのであれば永遠の目標にしてもいいくらいの言葉と出会えた現場だったと思います」