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増村十七著『バクちゃん』を読む【街の書店員・花田菜々子のハタチブックセンター】

街の書店員のおすすめ本ハタチブックセンター

移民問題を優しく伝える異色のコミック

『バクちゃん』(全2巻)

増村十七・著 1巻¥740・2巻¥800 KADOKAWA


自分の星に住めなくなり、地球の「東京」に移民として降りてきたバクちゃん。日本で外国の方が直面する問題を写し取り、不慣れな星で働き、生きていくことの大変さを描くとともに、人々が互いを思いやって真摯に生きる美しさを描く。

 長く続くコロナ禍で、日本に住む外国の方々の大変さはいかほどだろう。仕事や住居が確保できるかの不安は増し、もしかしてコロナ? と思っても検査機関にアクセスするのだって、私たちの何倍も苦労されているのではないか。

 バクちゃんは、やさしくキュートな絵柄とは裏腹に、ゴリゴリの社会派漫画だ。バクちゃんが地球で感じる悲しみや切なさは、日本で生活する外国人のつらさそのものだろう。ときに不利な状況に追い込まれ、差別され、人でないような扱いを受ける。

 この作品を読むことで、今日本で何が起きているのかを知ることができる。彼らがただ生きようとするだけでどんな目に遭うのかを。

 けれどこの作品はそれをただ告発したのではない。バクちゃんたちのやさしくまっすぐな生き方に心を照らされ、自分もバクちゃんたちの味方側でありたいと改めて強く思わされる。私たちはこの気持ちを忘れがちだ。だからこんなふうに何度も強く胸に刻まないといけないのだ。




弱い立場にある人を思うための2冊

魯肉飯のさえずり

温又柔・著 ¥1650 中央公論新社


日本人と台湾人の間に生まれ日本で育った桃嘉とその母を主人公に、自らのアイデンティティに揺れ、苦しみながらも、自分の人生をつかむ女たちを描く、優しくも骨太な小説。



海をあげる

上間陽子・著 ¥1600 筑摩書房


沖縄は基地を押しつけられ、今度は海を奪われる――。沖縄在住の著者が絶望に言葉を失い、そこから再び絞り出された魂そのもののような言葉。これは私たちの国の出来事だ。


はなだ ななこ 
HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE店長。著書『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』はドラマ化が決定!



2021年4月号掲載

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