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ペス山ポピー・著『女じぶんの体をゆるすまで』を読む!【街の書店員・花田菜々子のハタチブックセンター】

街の書店員花田菜々子のおすすめ本ハタチブックセンター

つらい性被害と向き合い自分を取り戻すために

じぶんの体をゆるすまで』(上・下巻)

ペス山ポピー・著 (各)¥1200 小学館


著者は性別に揺らぎを抱える漫画家。7年前に漫画家のアシスタントをしていた時のセクハラ被害を忘れられず、今も自分を許すことができずにいる。自分の人生を取り戻すために立ち上がり、ひたすら向き合って回復するまでを描く。

 とても悲しいことだけど、今の日本に女の体で生まれて、これまで一度も性被害に遭ったことがない人はほとんどいないだろう。でももっと怖いのはそれを「自分も悪かった」「仕方ない」と思わされたりすることだ。
 この作品は性被害のトラウマに苦しめられ続けていた著者が、ある日勇気を出して加害者にメールを送る場面から始まる。弁護士に相談に行ったり、子ども時代を振り返ったり、ハードな心理療法に挑んだりと、苦しみを乗り越えるための壮絶な闘いが描かれる。けれどそれよりも壮絶なのはとことん自分の内面と向き合って自分を掘り下げていく内面の描写だ。何度読み返してもその気持ちの強さに涙が溢れる。
 つらいことがあったとき、忘れる、という方法もある。でも、それで解決できないならとことんやるしかない。この漫画はそのことを教えてくれる。
 今、苦しみと闘おうとしている人には宝物になるような本だと思う。読むのは少ししんどいかもしれないけど、まずは手に取ってみてほしい。


性被害からの立ち直りに寄り添う2冊

『秘密を語る時間』

ク・ジョンイン・著 呉永雅・訳 ¥1540 柏書房


中学生のウンソは幼少時のある出来事にとらわれ続け、その秘密を一人で抱え続けることに限界を感じている。秘密を打ち明けた友人や周りの大人たちの優しさに触れ、再び歩き出すまでを描いたコミックエッセイ。



『きみの傷跡』

藤野恵美・著 ¥1760 KADOKAWA


大学1年生のまいは写真部の先輩の星野を好きになり両思いになるが、かつての性被害のために男性に恐怖心もあり、不安を感じている。男女それぞれの目線から、性被害の後の人生を優しく描く青春小説。




はなだ ななこ 
HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE店長。著書に『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』がある。

2022年1月号掲載

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