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2023.11.26更新日:2024.08.08
――インタビュー前編では、連載『12色の12年』の特別番外編として、2023年の記憶を振り返っていただきます。まずは1月から2月にかけて行われたハロー!プロジェクトの冬コンサートの話から。各グループが3つのチームに分かれ、モーニング娘。はOCHA NORMAと一緒でしたが思い出はありますか?
譜久村 その他のチームはわりと同年代のメンバーも多かったと思うんですけど、私たちのところは先輩と後輩という組み合わせだったので、最初は「OCHA NORMAのメンバーは居心地悪くないかな」とちょっと心配していたんです。でもOCHA NORMAのメンバーが「モーニング娘。の皆さんからいろんなことを吸収したい、教わりたいです!」というオーラ全開で来てくれたんですよ。だから私たちも「その期待に応えたい!」という気持ちが強くなって、あっという間に距離感が縮まりました。空き時間はみんなで『Among Us』というゲームにハマっていて、離れた楽屋でも一緒にやっていたりしましたね。オンとオフ、両方楽しい時間を過ごしました。
最初の会場は中野サンプラザだったんですけど、閉館する前にステージに立てるのはこれが最後のチャンスかもしれないということで、私がモーニング娘。に合格した時の「譜久村降りといで」と呼びかけられるシーンを再現してもらったこともいい思い出です。その時に北川(莉央)が「本物だ〜」と泣いたんですよ(笑)。
――お互いの楽曲をパフォーマンスすることで感じたことなどがあれば是非教えてください。
譜久村 私たちは『Hello! 生まれた意味がきっとある』をパフォーマンスさせてもらったんですけど、つんく♂さんが作詞作曲を手がけた楽曲だったので、「これぞ自分の育ったモーニング娘。!」的な懐かしい感じもあって、すごく楽しかったです。思いっきりその世界観に寄せてパフォーマンスさせていただきました。モーニング娘。のメンバーはもともとOCHA NORMAの楽曲が大好きで、この時はパフォーマンスしなかったのですが『ミステイク』が特に人気なんですよ。個人的には『ヨリドリ ME DREAM』も大好き。
そしてOCHA NORMAは『Mr.Moonlight〜愛のビックバンド〜』をパフォーマンスしてくれたんですけど、かなり難しい楽曲なので本当に大変だったと思います。しかも全員が男役と女役を交互にやるという超難題付きで。だから私たちもこれは本気でサポートしないと……! というモードに切り替わって「一番大事なのはリズムだから、とにかくリズムの取り方を伝授しよう!」みたいな感じで、お互いに楽曲に向き合うことができました。その結果、無事に最終日まで駆け抜けることができて本当によかったです。短い期間ではありましたけど、そうやって一緒に練習した時間などから何か感じてもらえていたらいいな、と勝手に思っています。OCHA NORMAとはこの時までなかなかしっかりと絡める機会がなかったんですけど、ハロー!プロジェクトに新しい風を吹かせてくれる存在だし、デビューして1年ですでに自分たちの色をしっかり出せているところが本当にすごいと思います。そして冬コンの時よりも今はもっと成長していて、これからが本当に楽しみです。
――3月からはグループ結成25周年を記念した春ツアーが始まります。卒業を発表してから初めてのツアーということで何か思い出に残っていることはありますか?
譜久村 春ツアーがラストという気持ちはもちろんありましたが、同期のえりぽん(生田衣梨奈)が衣装をプロデュースしてくれたことがすごく印象に残っています。2022年の秋ツアーでも、衣装の細かい部分で自分たちの希望をデザインに取り入れてもらったんですけど、最初の段階から参加するということは今までなかったので、卒業の前のタイミングでグループとして新しい挑戦ができたことがうれしかったです。最後のほうではジャージみたいな素材の衣装を着たんですけど、それは私の希望を採用してもらいました。なぜジャージかというと、モーニング娘。ってレッスン中もすごくかっこいいなと思うことが多いんです。だからそのいつもの感じをステージで出してみたら、また新しい魅力を感じてもらえるんじゃないかと思ったんですよね。ロングスカートを取り入れたパフォーマンスなどもすごく新鮮に感じていただけたんじゃないかと思います。
ステージではメドレーが印象に残っています。15、16期は『モーニングコーヒー(20th Anniversary Ver.)』を、12、13期が『抱いてHOLD ON ME!』、9〜11期で『真夏の光線』とユニットになって後輩から順に歌うところから始まる構成だったのですが、全体を通してすごく年代を感じられる、いいメドレーでしたよね。全員のよさもしっかり出ていたんじゃないかと思います。『真夏の光線』は踊らずに歌のみで届けたので、上手に歌うだけではなく、魅せるためにはどうすればいいか試行錯誤しました。
――4月に行われたひなフェスでは、つばきファクトリーの浅倉樹々さんの卒業セレモニーがありましたが、浅倉さんとのエピソードなども是非教えてください。
譜久村 樹々ちゃんは本当に昔からずっと懐いてくれる後輩で、ずっと愛でていました。メンバーカラーもライトピンクだったし、肌も白くってフワフワしているようなイメージがあると思うんですけど、実はサバサバしていて、なんというかワンコっぽい可愛さがある子なんですよ。ハロー!プロジェクトのコンサートで一緒に歌っている時に急に後ろからハグしてきてくれたりするような一面もあって、それもまた可愛いんですよね。最後に一緒のステージに立って送り出すことができてよかったです。
樹々ちゃんは昔からずっと仲がよかったんですけど、ここ数年他グループの後輩たちとの繋がりが増えたのは確実にハロー!プロジェクトのリーダーになったことによる影響が大きいと思います。パフォーマンスの話もよくするようになったし、時には悩み相談みたいなこともあったり。卒業まで時間は限られていますけど、できるだけいろいろなメンバーと交流する時間も大事にしたいです。
――4月に開催されたJAPAN JAMでは久しぶりの声援解禁となりました。コロナ禍を経て改めて感じたことや、ステージに立った時の心境などを教えてください。
譜久村 楽しかった記憶しかないです。ファンの皆さんも野外ですごく気持ちよさそうに楽しんでいて、そんなファンの皆さんの姿が見られたことも本当にうれしかったです。らいりー(櫻井梨央)にとっては初めての声援だったので、感慨深さもありましたね。個人的には卒業前ラストフェスだったアンジュルムの(竹内)朱莉ちゃんが、ひさびさの大きな歓声に感動して泣いていた姿もすごく印象に残っています。カッコよかったですね。
そしてフェスという場所でマッシュアップメドレーをパフォーマンスできたことは2023年のハイライトなんじゃないかな、と思います。「モーニング娘。’17コンサートツアー春 〜THE INSPIRATION !〜」で披露してすごく大きな反響をいただいたメドレーなんですけど、まさかこのタイミングでパフォーマンスできるとは思っていなかったのでうれしかったですし、同時に勝負に出たようなワクワク感もありました。フェスでは毎回違ったモーニング娘。の魅せ方ができるようにセットリストを組んでいるのですが、マッシュアップメドレーって、私たちのファンの皆さんでも「あれ次はどっちの曲だっけ?」と時に混乱するぐらい難解じゃないですか(笑)。でもキャッチーさもあるからこそ、他のアーティストさん目当てで来場した方たちが遠目に見て足を止めてくれるようなことがあったらいいなと思いますし、また新しい一面をファン以外の方たちにもアピールできたんじゃないかと思います。そしてみんなで一緒に歌える『涙ッチ』をラストに持ってきたことも新しい試みだな、と思いました。マジックアワーみたいな色合いのプリントを取り入れた衣装も可愛くって、すごくお気に入りでした。
――続いて「さよなら中野サンプラザ音楽祭」公演についてのお話も教えてください。
譜久村 素敵な思い出がたくさんある特別な場所なんですけど、最後の日は特別なことはせずに、いつも通りに過ごしました。でもすごくよかったなと思うことがあって。もともと予定にはなかったんですけど、せっかくだからということで私のラスト写真集の撮影も少しさせていただいたんです。中野サンプラザといえばステージから見た景色の印象が自分の中では強かったんですけど、客席に降りてライトや壁などを見ながら撮影していただいた時に「ここで先輩たちのパフォーマンスを見せてもらったな」とか、昔の記憶が急に蘇ってきて。そうやっていろいろな目線から中野サンプラザを最後に見ることができて、本当によかったです。コンサート中は最初から最後まで「中野サンプラザに立っている!」という気持ちがしっかりとあって、アンコールの時は「世界一楽しいアンコール!」と思うぐらい本当に楽しくて。MCで「中野サンプラザあるある」話をしたのもいい思い出です(笑)。
そしてライブの後に中野サンプラザの関係者の方がご挨拶に来てくださったことも忘れられないです。「ハロー!プロジェクトの皆さんにたくさん使っていただけて幸せでした。閉館までまだ日程はありますけど、自分たちの中では今日が一つの区切りだと思っています」というすごくありがたい言葉をいただいたんです。そんなふうに思っていただいていたことがまず光栄ですし、私たちやファンの皆さんにとって聖地だったことも知ってくださっていて、本当に胸がいっぱいになりました。
――中野サンプラザでのライブ後、恩師である夏まゆみ先生ががんのためご逝去されました。
譜久村 夏先生にはあまり外からは見えないところで実はたくさんお世話になっていました。9、10期は加入してからすぐダンスレッスンに通わせていただいていたんですよね。その時期にハロー!プロジェクトのコンサートにも何度も足を運んでくださって、いろいろなアドバイスをいただいたことも覚えています。さまざまな角度からモーニング娘。の素晴らしいところを教えてくださいました。そしてダンスが楽しいものだということを教えてくれたのも夏先生です。なので、怒られたことももちろんたくさんありましたけど、それよりも夏先生といえば、踊った後に「楽しかったでしょ?」とほほえんでいる姿がまず浮かんできます。
そして近年の話だと夏先生は『モーニングコーヒー(20th anniversary ver.)』の振り付けを作ってくださったんです。私たちは偉大な1期メンバーの先輩たちと一緒にパフォーマンスすることが恐れ多すぎて緊張していたんですけど、「今頑張っているのは現役だからね!」といって、イントロ明けに後輩から順に前に出ていくような構成にしてくださったこともありがたくて。「パフォーマンスをする上で先輩も後輩もないよ」という夏先生からのメッセージを胸に楽曲に向き合えたことも大切な思い出です。
――夏には9期ラストのバスツアーが開催されました。卒業前にファンの皆さんとゆっくり過ごす貴重な時間になったのではないでしょうか。
譜久村 とても楽しかったですね。同時にやりきった感もすごく感じられたバスツアーでした。私とえりぽん(生田衣梨奈)は前日に現地入りして準備をしていたので、一緒に温泉に入ったりしてちょっとした旅行気分も味わうことができましたし、当日はとにかくファンの皆さんと楽しいことを全力でやって、もうやり残したことはないなと思いました。実は最後に行ったライブの練習時間が本当になくて、不安な気持ちも少しあったんですけど、それよりもやりたいことがありすぎたので全部詰め込みました。初日の夜にあったトークコーナーもすごく楽しくって、ファンの皆さんが特技を披露してくださることになったんですけど、そこで出てくださった方たちがあまりに多才すぎて衝撃を受けました。「自分のファンにこんなすごい才能ある方たちがいたんだ!」と、このタイミングで知るという(笑)。9期のデビュー曲、『まじですかスカ!』をファンの皆さんがサプライズで合唱してくださったこともすごくうれしかったです。
――かなり最近の話になってきましたが、ハロプロ25周年ライブについてのエピソードも是非教えてください。
譜久村 8月から9月にかけてすごく忙しい時期だったので、25周年ライブの準備も大変でした。17期が加入してパフォーマンスに合流し出したばかりのタイミンングでしたし、コラボ企画の撮影や新曲のMV撮影、夏のコンサート、リリースイベント……秋ツアーのリハーサルなどスケジュールが複雑かつぎっしり詰まっていたので、「ここではどの曲だっけ?」というぐらいメンバー全員混乱していましたね(笑)。でもなんとか力を合わせて乗り切ることができました。野中(美希)、横山(玲奈)、北川(莉央)というモーニング娘。を代表する、計画性のあるトップ3メンバーもこの時はかなり大変そうでしたね。そんな過酷な状況だったのに、新メンバーのはるさん(井上春華)とげったー(弓桁朱琴)は歌割りも多かったので、本当によく乗り切ってくれたな……と思います。25周年ライブを迎えるにあたり、正直「もっと時間をかけて練習したかったな」という気持ちもあったんですよ。でも前日にOGの先輩たちのリハーサルを見学させてもらったらあまりにキラキラと輝いていて、「時間がないとか言っている場合じゃないな」と改めて身が引き締まりました。
当日のライブで個人的に楽しかったのは、OGの先輩と共演した『リゾナント ブルー』です。今まで披露した『リゾナント ブルー』の中で一番楽しかったと言えるぐらい。なかなか笑顔になれるような楽曲ではないんですけど、道重(さゆみ)さんとアイコンタクトをする部分や、高橋愛さんと一緒のパートを歌わせていただく部分があったりして、新鮮なイメージをお届けできたんじゃないかと思います。『リゾナント ブルー』の次はOGの先輩たちだけがステージに残って『恋愛レボリューション21』をパフォーマンスする流れだったんですけど、あまりに楽しすぎて「ステージからはけたくない!」ってずっと思ってました(笑)。はけた後はステージの下から見ていたんですけど、先輩たちがとにかくカッコよかったです。皆さん普段は個々で活動されているのに、どうして1日でこんなに一体感が出せるんだろうってずっと感動していました。どの先輩を見ても「これが本物のモーニング娘。だ〜!」という感じで、本当に皆さんキラキラ輝いていて、ずっと憧れの存在です。終わった後には中澤裕子さんが「お疲れ様〜」と温かく迎えてくださったのですが、それがあまりにも昔TVなどで見て憧れていた光景すぎてちょっと泣きそうになりましたね。中澤さんが「5年後にまた……」という話をしていたので、これからはそれを心の支えにして楽しみに生きていこう、とも思いました。
それから2日間を通して、OGの(佐藤)優樹ちゃんがずっとモーニング娘。’23の楽屋にいたこともおもしろかったです。現役の時は一人ですぐ離れて、別の楽屋に行っちゃうようなことが多かったのに、今度は逆にOGの楽屋にいない人になっているという(笑)。楽屋エリアはとにかくずっとにぎやかで、私が石川梨華さんと写真を撮っていたらどんどん人が増えていって、気づいたらすごい狭い通路に何十人も集まってしまって広角レンズで撮影するみたいなことになったのも楽しかったです。
――過酷な状況で当日を迎えた新メンバーはどうでしたか?
譜久村 はるさんもげったーもステージに立つとパッと輝くタイプの頼もしい子たちだな、と思いました。もちろん少し間違えちゃったりとかそういうのはありますけど、まだ新人ですしそれは当然のことで。でもそこでうろたえることなく、堂々とパフォーマンスするぞ、という意気込みが感じられてすごく感動しました。
今回、練習に入る前にきちんと時間を作って、二人と話をしました。先輩メンバーとして、ライブする時の心得だったり、いくら新人であったとしてもプロとしてステージに立っているんだよ、みたいな話だったり。この状況で、新人に対して心苦しい気持ちもあるんですけど、やっぱりそこはちゃんと伝えないといけないことなので。
そして17期が入ってきて、らいりー(櫻井梨央)がグッと先輩になりましたね。振り付けを一緒にやってあげてたり、ちゃんとお手本としての姿を見せてあげていたり。後輩から見られているという意識を持っていることがすごく感じられて、偉いなと思います。らいりーってきっと、どちらかと言えば後輩でいるよりも、先輩になったほうが自分らしくいられるタイプの子なんじゃないかと私は思うんですよ。だからまだらいりーも加入してから一年ぐらいしか経っていないんですけど、早いタイミングで先輩になったことはすごくよかったんじゃないかと思いますね。
――その他に25周年ライブで印象に残っていることはありますか?
譜久村 太陽とシスコムーンさんと一緒にパフォーマンスしていた(竹内)朱莉ちゃんがカッコよすぎて感動しました。何よりも歌が素敵で、「戻ってきてくれてありがとう」っていう気持ちになりましたね。つばきファクトリーのステージで、卒業したばかりの浅倉樹々ちゃんと同じくOGの小片リサちゃんが登場したところもすごかったですし、井上玲音ちゃんがJuice=Juiceのメンバーと、こぶしファクトリーの『念には念(念入り Ver.)』を歌った時もめちゃくちゃテンションがあがりました。
まだ語りきれないのですが、25周年のライブを通じて自分の原点であるハロプロが大好きな気持ちを再確認しましたし、これからの未来を背負っていく頼もしい後輩たちの姿に希望を感じて、本当にいい時間を過ごすことができました。
●ふくむら みずき 1996年10月30日生まれ、東京都出身。ハロプロエッグ(現ハロプロ研修生)を経て、2011年に9期メンバーとしてモーニング娘。に加入。2014年にモーニング娘。史上最年少でリーダーに就任。2016年よりハロー!プロジェクトのサブリーダー、2019年よりハロー!プロジェクトのリーダーも兼任する。愛称はふくちゃん、メンバーカラーはホットピンク。当時のプロデューサー、つんく♂から「少しウエットな色気のあるメンバー」と評価を受け、独自の魅力を磨きつつステージでは高いパフォーマンス力を見せつけるオールラウンダーとしても知られる。
ショートパンツ ¥1551/Romantic Standard その他/スタイリスト私物
モーニング娘。’23
「すっごいFEVER! /Wake-up Call〜目覚めるとき〜 /Neverending Shine」
前作から約10か月ぶりとなる73rdシングル「すっごいFEVER!/Wake-up Call~目覚めるとき~/Neverending Shine」が好評発売中。今年5月に加入した新メンバー井上春華と弓桁朱琴にとっては初のシングル。そして、秋のコンサートツアーをもって卒業する現リーダー譜久村聖にとってはラストシングルとなる。現在の14名体制での最初で最後のシングルとなり、全7形態で展開。
モーニング娘。’23 譜久村聖・連載をもっと見る!