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No.256 チヨリ

自分探しの旅を追体験する【レオ・レオーニの絵本づくり展】

2025.08.01更新日:2025.08.18

ねずみたち、魚たち、小石たち、じっくり見るとひとつひとつ違う。子どものころ、近くに居たはずのわくわくにもう一度出逢える空間。

『スイミー』や『アレクサンダとぜんまいねずみ』、『あおくんときいろちゃん』。レオ・レオーニ(1910‐1999)が生み出した絵本を読んだことがある方は多くいらっしゃるのではないでしょうか?

懐かしく、あたたかい彼の世界観に誘われる「レオ・レオーニの絵本づくり展」へ行ってきました!

レオ・レオー二の絵本づくり展 開催情報

レオ・レオーニの絵本づくり展ポスター

開催期間:2025年7月5日(土)ー8月27日(水)

開催時間:10:00-19:00(最終入場は18:30まで)

場所:ヒカリエホール[渋谷ヒカリエ9F]

主催:Bunkamura、朝日新聞社

8月鑑賞券の料金は、一般が2400円、大学生・高校生が1700円、中学・小学生が1300円で当日券も窓口で販売しているそうです。

私は半蔵門線の【B5出口】からヒカリエへ向かったので、渋谷駅内直結で涼しく快適なルートで入場することができました!

こだわり抜かれた絵本製作の裏側!

この展示会では、大きく3つの章にわかれており、レオ・レオーニ(以下、レオーニ)の世界へ誘われていきます。

第1章:レオーニのテクニック(技法)

この章では、レオーニが絵本をどのように製作していたのかを知ることができ、その技法が用いられた原画がそれぞれ展示されています。

ねずみのパーツ

このバラバラな勾玉と細長い杖のような切紙は「ねずみのパーツ」という名前で展示されていました。一見シュールな展示品ですが、これはレオーニのこだわりや繊細な作業が顕著に表れていてとても印象的でした! というのも、レオーニは、絵本に登場するねずみやカエル、魚、カラスなどを手でちぎったパーツを用いて、ハサミで切ったパーツと組み合わせ(コラージュ)ながらキャラクターを生み出していたそうです。

レオ・レオーニ原画①

レオーニは、切った紙を組み合わせるのみならず、凸凹な表面の上から紙に彩色するフロッタージュという技法も用いて絵本の舞台をデザインしていました。なかでも、この原画では、岩のコケや鳥の翼の羽、葉の筋がこの技法で表現されているように見えます。細部にわたるデザインのこだわりが、アートディレクターとしての一面も垣間見える瞬間のように思えました。

レオ・レオーニ原画②

また、レオーニは消しゴムハンコを作り多くの色をグラデーションしながら重ね合わせていく(スタンピング)作業もおこなっていたそうです。同じ色は一つも見当たらず、葉までもその一枚一枚に個性が宿っているように感じました。

ものがたりから伝わるレオーニのメッセージ

第2章:原画で読む『6わのカラス』

レオ・レオーニの絵本

ずらっと並んだ絵本。懐かしいものから初めて見た表紙まで、たくさん。

この章では、絵本から彼のメッセージが紐解ける展示になっていました。『6わのカラス』は、壁に大きく原画とお話とメッセージが展示されています。ぜひ実際に「原画で読む」を体験してみてくださいね!

広告業界で活躍したレオーニは引退後、絵本作家になり1年に1冊のペースで絵本を作りました。しかし、絵本に人間は登場したことは一度もありません。また、このキャラクターたちは、彼自身を表しているといいます。

『スイミー』

幼いころに読んだ『スイミー』が特に大好きな作品です。スイミーは周りの魚たちとは色が違う。ひとりになっていても、自分と違った魚たちを見ておもしろいと思える。そんななかで、他者(赤い魚)を助けるために自分の役割を見いだすスイミーの優しさと賢さに改めて驚かされました。

みんな違っていて良い。相手と協働して自分らしさ、居場所を見つけることの大切さ。これらは、レオーニからのメッセージかもしれません!

上記は私の解釈ですが、実は、他の作品にも「自分らしさとはなにか」が問いかけられている作品が多いそうです…!

レオーニの世界に没入!

第3章:レオレオリウム! レオーニの絵本ワールドにようこそ

レオーニの世界「クィルプ」

広い空間に、いくつもの世界。

目の前に立ち並ぶきのこと戯れました!

レオーニは、幼少期からテラリウムを作っていたそうです。これが絵本の源泉となっていたんだとか。この章では、Bunkamuraザ・ミュージアムとplaplaxのコラボレーションによる空間で彼の世界に入り込むことができました!

ここには、レオーニが作り出した植物たちが剥製のように展示されていました。もちろん、キャラクターも同様に見ることができます!

すぐ近くには、模型と映像が流れるテラリウムのような空間がありました! ぜひ実際に目撃してみてください!

この展示会には遊び心がたくさん潜んでいます。一見ただの、石のスタンディですが、裏を見ると…。

なんと、『フレデリック』の冒頭が書かれているんです!

このように「あ! 」となるような発見が隠されていて、冒険したような気持にさせられる空間でした。

魚の石と丸い石の絵のスタンディ

レオーニは石にも関心があり、完璧に丸い石を探し求めていたそうです。この下には彼が描いた石が敷き詰められたプロジェクションマッピングが映されていました。小さい子たちがぴょんぴょん遊んでいて微笑ましかったです(笑)

製作を体験!?

フロッタージュ体験

きのこ、魚、花、蝶々、葉っぱ。

出口に近いブースには、切紙を一枚選びフロッタージュを体験できます。つまり、レオーニになれちゃうんです! (言い過ぎ)

友人はきのこを選び、私は魚を選びました! やっぱりスイミーの仲間になりたい!

全体を1番右上の網でオレンジに塗りました。その上から、1番左上のレースで水色に彩色。ヒレの部分は、さらに上から網で水色を足しました。

レオーニは、こうして楽しみながら製作をしていたに違いない! そう思える体験ができました。

おわりに

石ころ、お花、葉っぱ、虫、魚。世界が、新しくキラキラして見えたあの頃。

自分ってなんだろう。みんなと違うって変なのかな。

童心を忘れないレオーニが創り出すものがたりと記憶。そんな彼の旅路を追体験し、いくつもの発見がありました!

懐かしいだけではない、レオーニの世界をぜひ体感してみてください!

  • 出身地

    東京都出身

  • 身長

    163cm

  • 学年

    大学3年生

  • 推し

    ・音楽(羊文学、星野源など)・映画(上田誠脚本作品、今泉力哉監督作品)

好き 喫茶店と銭湯巡り

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