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No.337 ちさ

【伝統行事】「亥の子餅」って知ってる? 源氏物語にも登場する和菓子の、歴史と目的を解説!

2025.10.30

こんにちは! 大学生エディターズの、ちさです😸🍽️

今回は、猪を模した秋の和菓子「亥の子餅」の歴史と、そこに込められた願いについてご紹介します🐗✨

亥の子餅とは?

ちょうど今の季節、和菓子屋さんの店頭に並ぶ小さなお餅を見たことはあるでしょうか?

をかの 亥の子餅 上から

その名も「亥の子餅(いのこもち)」。お店によってその見た目はさまざまですが、こちらは猪の子どもである「ウリ坊」を模しています。

をかの 亥の子餅 販売開始ポスター

「亥の子餅」は旧暦の亥の月(現在の11月ごろ)、亥の日、亥の刻に食べるお餅のこと。実は、その歴史はとっても長く…。中国古来の俗信に由来していて、日本では平安時代から宮中行事として取り入れられたのがはじまりです。

亥の子餅の歴史

亥の子餅の起源

亥の子餅の起源は、古代中国にさかのぼります。

中国では、易の思想に基づいて「陰暦の亥の月の亥の日に餅を食べると万病が除かれる」という俗信がありました。これが日本に伝わったのは平安時代。

「御玄猪(おげんちょ)」という行事として、宮中の内裏で行われるようになったのが始まりとされています。

ちなみに、『源氏物語』第九帖「葵」には、「その夜さり、亥の子餅参らせたり。」という描写も。亥の子餅は、平安時代の貴族社会でも親しまれていたのでしょうか🍁

亥の子餅に込められた願い

亥の子餅に込められた願い

中国からの伝来では、「無病息災」を願って亥の子餅が食べられていましたが、時代が進むにつれて、その祈願も多様なものになっていきました。

鎌倉時代に入ると、亥子餅を食べる風習が貴族だけでなく武家にも広がり、  この時期から、「子孫繁栄」の願いが加わります。  これは、猪が多産な動物であることに由来したもの。

さらに時代をくだって江戸時代に入ると、年中行事書などの記述から、民間でもこの日を祝っていたことがわかります。稲の収穫を終えた時期に行われることから、「五穀豊穣」を祈る行事として行われていたそうです。

現代の亥の子餅は?

現代では主に、それぞれの和菓子屋さんで“秋の縁起菓子”として作られ続けています。形はきなこをまぶしたシンプルなものや、うりぼうを模したものなど、お店によっていろいろ。

さらに、京都にある護王神社では、先ほどご紹介した宮中の年中行事「御玄猪」を古式にのっとって再現しています。一般拝観もできるようですので、気になった方は公式HPから確認してみてください。

実際に食べてみた!

私がいただいたのは、埼玉県にある老舗和菓子店「をかの」さんの亥の子餅。こちらでは、11月の亥の日に合わせて10月の後半から亥の子餅の販売を開始していました。

をかの 亥の子餅

栗を混ぜ込んだ求肥でこしあんを包み、表面にはきなこがまぶされています。質感もウリ坊らしく、とってもキュート。

つぶらな瞳に食べるのをためらってしまいますが…。

をかの 亥の子餅 断面

実際に食べてみると大福のようで、きなこの香りがふわりと鼻に抜けます。なめらかに濾されたあんこと、優しい甘さのもちもちとした求肥が間違いのない相性で、小ぶりなこともあって、もう何個も食べたくなってしまうおいしさでした。

古代の行事菓子というよりも、今では「季節の和菓子」として親しまれていることを実感しました🫘

2025年、亥の子餅を食べるのはいつ?

2025年の亥の月の最初の亥の日は11月2日。伝統行事に習うと、この日に亥の子餅をいただくことになります。

ちょうど今週の日曜日! ご興味のある方はぜひ、無病息災や子孫繁栄、五穀豊穣などを願いながら、亥の子餅を召し上がって見てください。

新宿伊勢丹では「亥の子餅」についての特集記事が組まれているほど。ラインナップが豊富なので、チェックしてみるのもおすすめです✨

おわりに

もともとは宮中で行われていた「御玄猪」という年中行事。時代を経て、行事そのものは形を変えていても、その願いは現代まで受け継がれています。日本文化の根底に息づいた、”季節の節目を大切にする心”を身近に感じることのできる季節菓子でした。

ごちそうさまでした。

  • 出身地

    東京都出身

  • 身長

    147cm

  • 学年

    大学2年生

  • 推し

好き クレープ、ケーキ

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