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本&マンガ
2024.08.21
宮田ナノ/著 ¥1540 大和書房
楽しい夜、ドキドキする夜、ヘンテコな夜、懐かしい夜……。夜には、昼にはない不思議なときめきと心地よい寂しさがあるのかもしれない。ちょっと笑えて、共感できて、夜の魅力がいっぱいにつまった心あたたまるコミックエッセイ集。
子どもの頃って「○時までに寝なきゃダメ!」って決められてて、特別に夜中に起きている日はそれだけでワクワクでしたよね。大人になってもそんな気持ちは忘れずにいたいもの。
この本に出てくる『夜』はきらびやかな世界とは無縁のエピソードばかり。ひとり暮らしのベランダでぼーっとすることも、コンビニで揚げ物を買って歩きながら食べることも、カラオケの練習をすることも、がんばって知らないバーに飛び込んでみることも……それが夜中だというだけで、特別なできごとに思えるような気がします。
臆病で小心者の著者が繰り出すちいさな冒険の数々にこちらまでドキドキ。しょうもない笑える話から宝石のように美しい話まで、バリエーション豊かなのも魅力。『夜』ファンの人はもちろん、「なんか面白いことないかな〜」という人にもぜひ読んでほしい1冊。きっと新しい夜の楽しみ方が見つかります!
日本文藝家協会/編 ¥2200 光村図書
2023年に新聞や雑誌などに掲載された数数のエッセイのなかから、珠玉の79作をえりすぐったアンソロジー。日常の中の小さな喜びや気づきから、亡き人を思いつづられた追悼文まで、文章を読むこと、生きることの尊さを教えてくれる1冊。
カツセマサヒコ/著 ¥1760 新潮社
年上の彼女にプロポーズした雨宮守と、長年連れ添った妻から離婚を告げられた土方剛。世代も価値観もまったく異なる二人の人生は、社内のある出来事をきっかけに変わり始め——。『明け方の若者たち』でデビューを果たした著者の最新作。
綿矢りさ/著 ¥770 集英社文庫
人に興味を抱いたり、気持ちを察したりするのが苦手な大学一年生の海松子。友達は高校から一緒の萌音だけ。そんな海松子だが、社会人の諏訪と幼なじみの奏樹から思いを寄せられて!? 不器用だけど愛おしい恋愛未満小説が待望の文庫化。
●はなだ ななこ
東京・高円寺の書店「蟹ブックス」店長。著書『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』『モヤ対談』が好評発売中。
2024年10月号掲載
Staff Credit
選書・原文/花田菜々子 web構成/轟木愛美 web編成/ビーワークス