20代女性におすすめの世界の大学生の目線に触れることのできる本、映画5選

台湾・台北の大学生・楊洋（ヤンヤン）が、交換留学生として沖縄で暮らす約1年間の物語。沖縄に来たばかりの彼女は、大切な祖母の死や恋のこと、そして台湾の政治情勢について、あらゆる不安や痛みを感じています。そんななか、異国の地でありながら、台湾と沖縄は気候や歴史などが似ていると感じていく楊洋。＂沖縄を知ること　それは私たち自身を知ることでもあるのだ＂と彼女が沖縄の歴史をたどりながら、自身のアイデンティティと向き合っていく姿には苦しくなる瞬間もあるけれど、＂この苦しみがきっと未来につながる＂という頼もしさも感じました。大学生活における1年の出来事。この経験は、これからの彼女を確実に支えていく。ノンノ読者世代が読むと、大学生活の時間をどう過ごしていくのか、考えるキッカケにもなるはず。

日本では自信のあった英語が留学先のアメリカでは通用せず、クラスメイトから見下され、みじめな思いをしていた主人公・尚美。ある日、ヒスパニック系のアンドレアと意気投合し、彼女と＂サード・キッチン・コープ＂に入ります。そこはマイノリティの学生たちが自ら運営する学食。アフリカ系、アラブ系、アジア系、ゲイなど、いろんなアイデンティティを持つ人々と世界各国の食事を共にし、尚美の目は開かれ、自分の中にあった差別意識にも気づきます。海外に触れる醍醐味、＂違う立場の人がいることを知り、尊重すること＂を尚美とともに味わってみて。美術品を寮の部屋に飾れるアート・レンタルや学食（無料！）の背徳メニューなど、留学のお楽しみポイントも。主人公の尚美がまったくキラキラしてないところが共感必至です。

韓国で2020年にドラマ化された『仕事の喜びと哀しみ』を含む8編からなる短編小説集。20代～30代の主人公たちのつぶやきに韓国の大学生活を垣間見ることができます。『幸せになります』では大学1年生から対外活動やスペック（資格、インターン経験など）を積み上げ、『タンペレ空港』ではスペックを上げるためワーキングホリデーに挑んでいく。いずれも就職のために並々ならぬ努力をする姿がリアルに描かれています。と同時に、非正規雇用で働きつつ、数えきれないほどのエントリーシートを出し続けて正社員を夢見る姿も『一○一回目の履歴書と初めての出勤』でさりげなく描写される。どんなに努力を重ねても、世界有数の大学進学率を誇る韓国では就職自体が狭き門。韓国の同世代の女性たちの＂生＂の姿を感じてみてください。

ヨーロッパ各国から集まった学生が、スペイン・バルセロナのシェアハウスで大学生活を送る姿を描いた作品。多国籍の若者たちが同じアパートで暮らす様子に、自分もその場にいるようなリアルさを感じました。冒頭シーンの、海外ならではの知らない人とのつながり方は＂積極的に人を頼れるかが自分を変える＂ということを教えてくれます。そして言語も文化も異なる学生同士が衝突しながらも最終的に理解し合っていく過程に、違いを壁にせず受け入れる姿勢こそが、多様な価値観に触れる上で大切なのだと感じました。結局、どこの国でも若者が悩む内容は同じで、共感できる場面もたくさん。みんな、戦ってます。私たちはまだまだ挑戦できるんです。どうなったって人生っておもしろい！ そんなパワーをもらえます。

親友4人組が別々の大学に進学し、友情が揺らぎそうになる姿を描いた物語。恋愛や親子の確執、新たな人間関係など、大学生が抱える悩みはより複雑に。時にぶつかり合いながら、ともにピンチを乗り越えていく姿が素敵です。名言の宝庫で、見る時の状況によって刺さるセリフが万華鏡のように変わっていくのも魅力。運命の出会いを信じるリーナが、気軽に恋愛を楽しみたい彼氏に「自分の望みを謝ることないよ」と言われるシーンが印象的でした。恋愛観は人それぞれ。求めるものが違うなら、無理せず別々の道を選択すればいいだけ。自分らしさを肯定され、シンプルな思考に救われるリーナの姿が心に残っています。そういう意味でも、喜びや心の傷を思いきり共有できる女友達の存在は宝！ ぜひシリーズで楽しんでみて。