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INI許豊凡さんが選ぶ世界を近くに感じる本と映画。「切り取られた情報ではなく、完全体としての作品を自分の中に取り入れたい」

2025.11.18

読めば、見れば、あの国への扉が開く!

世界を近くに感じる本と映画

一作の本や映画を通じて、遠かった世界が身近に。読書や映画を愛する人たちのおすすめ作品から、あの場所の知らなかった一面をのぞいてみよう。

許豊凡さん

世界を近くに感じる本と映画5
許豊凡さん

ジャケット¥110000・シャツ¥39600・パンツ¥49500・ピンバッジ(各)¥2200/ポール・スミス リミテッド(ポール・スミス) スカーフ¥12100/真下商事(ヴィンセンツォ ミオッツァ) ピアス¥18700/ガルニトウキョウ(ガルニ)

映画の舞台となった国や時代背景を調べることが好きです

切り取られた情報ではなく
作品全体を理解する意義

 大学生の頃は友達と一緒に楽しめるようなエンタメ系映画が好きでしたが、大学を卒業して20代半ばになってからは、一人で見て考えを深めるような作品を選ぶことが増えた気がします。見終わった後、余韻に浸りながら舞台となった国や時代背景について調べたり、考えを巡らせる時間もたまりません。今回おすすめした3本の映画も鑑賞後の余韻があった作品です。特に『関心領域』は第二次世界大戦中に実在したアウシュビッツ強制収容所について触れられており、映画を見ている最中から"この時代について調べたい"という気持ちになったのを覚えています。収容所で実際に使われていたガス室についてなど、自分で調べて知ることで映画で何げなく描かれていた描写をよりリアルに感じることができました。

 映画はいろいろなジャンルを見る機会が増えましたが、実は文字を読むのはあまり得意ではなくて。大学から日本で暮らし始めた僕は、まだ日本語が完璧ではないので時間がかかってしまうんです。それでも"文字を読みたい"という欲は常にあります。ニュース記事に目を通したり、映画を見たら原作小説を読んだり、文章に触れる時間も大事にしています。それと、書店に行くのも好きです。必ず立ち寄るのは、写真集コーナー。『ソウルメイト』のようにその国の温度を感じられる作品もあれば、写っている場所に行きたくてたまらなくなるものも。どんな画角で場面を切り取り、一枚の写真で何を伝えようとしているかを想像するのが楽しいので、写真集はいつでも取り出しやすい場所に収納しています。

 今はネットやSNSですぐに膨大な情報を得られる時代。僕も検索エンジンに頼ることはたくさんあります。でも、そればかりで知識を得ていると、どうしても自分が薄い人間になってしまう気がするんです。便利にまとめられたり、切り取られた情報ではなく、映画や本を通して、最初から最後まで一つの完全体としての作品を自分の中に取り入れるというのは、素敵な過程だと感じます。その機会が減りつつある現代だからこそ、ノンノ読者の皆さんにも、いろいろな映画や本に触れてみてほしいです。

『関心領域』

DVD&Blu-ray発売中
販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング
©Two Wolves Films Limited, Extreme Emotions BIS Limited, Soft Money LLC and Channel Four Television Corporation 2023. All Rights Reserved.

『関心領域』

「第二次世界大戦中にホロコーストが行われた強制収容所の隣で暮らす家族の生活を描いています。戦争を背景にした作品でありながら、血が流れるような描写は一切ありません。それでもこの映画から伝わってくる残酷さに、初めて見た時衝撃を受けました」

『レディ・バード』

Blu-ray:2075円/DVD:1572円 (税込み)
発売・販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング
©2017 InterActiveCorp Films,LLC. All Rights Reserved.

『レディ・バード』

「進路に悩むアメリカの高校生の青春がリアルに感じられておすすめ。学校での友人関係や親子の距離感、都会への憧れが丁寧に表現されています。国は違えど、大学選びなどの経験を振り返って"あぁこんなこともあったな"と共感できる読者の方も多いはずです」

『君の名前で僕を呼んで』

DVD&Blu-ray発売中
販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング 
©Frenesy, La Cinefacture

『君の名前で僕を呼んで』

「1980年代イタリアでのひと夏の恋の物語。内容はもちろん、舞台である北イタリアの避暑地ならではの緑豊かな田園風景や古い石造りの街並みが、まるで絵画のように美しく、とても魅力的です。この作品を家で流していると自分の家もおしゃれになった気分に」

『ソウルメイト』

川島小鳥・臼田あさ美 YYY PRESS

『ソウルメイト』川島小鳥・臼田あさ美 YYY PRESS

「俳優の臼田あさ美さんと写真家の川島小鳥さんのソウルでのフォトセッションが収められています。親密なお二人だからこその、素のままの表情が素敵な上、韓国の冬特有のキリッとした空気感や、そこから少しずつ春へと向かう温度の変化も感じられる一冊」

Profile

●しゅう ふぇんふぁん 1998年6月12日生まれ、中国出身。11人組グローバルボーイズグループ・INIのメンバー。中国語、日本語のほか、韓国語、英語と4か国語が堪能。INI初のドキュメンタリー映画「INI THE MOVIE『I Need I』」が10月31日(金)より全国公開。

2025年12月号掲載

※商品情報は本誌発売時点のものです。最新の内容をご確認ください。

Staff Credit

撮影/花村克彦 ヘア&メイク/Sayaka(MASTER LIGHTS・許さん) スタイリスト/武田亜利紗 取材・原文/上村祐子 web構成/轟木愛美 web編成/ビーワークス

世界を近くに感じる本と映画

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