インタビュー

【前田拳太郎】映画『栄光のバックホーム』役作りからモチベーションを高めたアニメまで深掘り!

2025.11.28

ジャケットを着た前田拳太郎の寄りカット

阪神タイガースの若きホープとして将来を期待されながら、28歳でその生涯を閉じた横田慎太郎さんの人生の軌跡を描いた映画『栄光のバックホーム』(11月28日公開)。前田拳太郎さんは、横田さんの先輩であり親友でもあった北條史也選手を演じています。野球に初めて取り組んだ感想から作品に込めた熱い想いまで、たっぷり語っていただきました!

クランクイン前に野球アニメを見てモチベーションを高めていました!

椅子に座り頬杖をつく前田拳太郎

――映画『栄光のバックホーム』への出演が決まった時の率直な気持ちは?

最初は「野球未経験の僕が、プロ野球選手の役⁉」と驚きました。でも、出演オファーをいただいたことがきっかけで、横田さんが病気になってからも講演やYouTubeでの活動を通して自分の思いを届けていた方だったと知って、すごく共感できたんです。なぜなら、僕たち俳優も役を演じて作品に込めたメッセージを見てくださる方に伝えることが仕事だから。お芝居と向き合っていると大変なこともあるけれど、どんな時でもあきらめずに伝えていくことが大事なんだと改めて気づかされました。

――前田さんが演じたのは、横田さんと同じ阪神タイガースでプレーしていた大阪府出身の北條史也選手です。体づくりや関西弁の練習など、クランクイン前に準備したことは?

2024年放送のドラマ『君とゆきて咲く 〜新選組青春録〜』の時からトレーニングを続けていて、この映画の撮影が始まる前もひたすらジム通い。ユニフォームを着た時の背中がカッコよく見えたらいいなと思って、肩周りを特に意識しました。野球選手役ということで本当はお尻をもっと大きくしたかったんですけど、それはなかなか難しかったです……。今は別作品で演じる役に向けて筋肉を落とさないといけないので、トレーニングをお休み中。映画撮影当時から比べると、体重が5kgは減ったと思います。

関西弁に関しては、関西出身の友達に毎日のように電話をかけて、彼がしゃべる言葉を聞いて勉強したり、「このイントネーションで合ってる?」と確認してもらったりしていました。彼は野球経験者でもあったので、僕が素振りしているところやボールを投げているところを撮影した動画を送って、改善点やアドバイスをもらったことも。横田さん役の(松谷)鷹也さんとも、たくさん会話をして練習しました。

膝をかかえ首を傾ける前田拳太郎

――現在、non-no webで『#前田拳太郎と沼るマンガアニメ道!』を連載しているほど、マンガやアニメが大好きな前田さん。映画『栄光のバックホーム』撮影前に見て、参考にしたり勇気づけられたりした作品は?

野球選手を演じることが決まったので、高校野球を題材にしたアニメ『忘却バッテリー』を見ました。それで、「僕も早くボールを投げたい!」ってモチベーションを高めていたんです(笑)。いざ野球の練習を始めると、今まで自分には「できない」と決めつけていたことが少しずつできるようになって。新しいスキルが身についていく過程がすごく楽しかったです!

――撮影を振り返って、特に印象に残っているシーンは?

大変だったのは、横田さんの病気が発覚した後、久しぶりにグラウンドでボールを打つシーン。僕がピッチャーを務めたんですけど、横田さんの打ったホームランが入るスタンドの位置が決まっていたので、そこにボールが届くまで何球投げたか分からないです(笑)。おそらく100球か、それ以上投げたんじゃないかな……。

撮影中はずっと肘が痛くて整骨院通いの日々でしたが、甲子園球場でキャッチボールができた時は、めちゃめちゃ楽しかったです! その時の動画を撮ってあるんですけど、今でもたまに「気持ちよかったな~」って思いながら見返しています。

目の前に壁が立ちはだかった時は、確実に乗り越えられる作戦を立ててから挑みます

椅子に座り見下ろす前田拳太郎

――映画『栄光のバックホーム』に出演後、前田さん自身に何か変化はありましたか?

今回の撮影期間は監督とお話しする機会が多くて、キャストとスタッフが一丸となって作品を作っていく感覚がいつも以上に強かったです。それがすごく楽しかったので、もっともっと映画に出られるように、いろいろな作品を観始めました。最近はオフがあると、たいてい映画館に足を運んでいますね。『国宝』は公開2日目に見に行きましたし、『花まんま』も2025年に見た作品で個人的上位に入るくらいおもしろかったです!

――劇中では、周りの支えもありながら何度も困難を乗り越える横田さんの姿が印象的ですが、前田さんは目の前に壁が立ちはだかった時どのように立ち向かいますか?

「これなら確実にうまくいく!」という作戦を立ててから戦う慎重派です。失敗が怖いので、「とりあえず行っちゃえ!」と突っ込んでいくことはないですね。どれだけ時間がかかったとしても、最後に勝つことが大事だと思います。

子どもの頃からの夢だった仮面ライダーのオーディションを受けた時も、合格につながる要素を少しでも増やしたくて、毎日のようにアクションのレッスンに通いました。下町にある銭湯の跡継ぎという役だったので、素朴な雰囲気を出すために明るかった髪を黒く染めて、垢抜けならぬ“垢入れ”もしたんですよ(笑)。

カメラに手を伸ばす前田拳太郎

――劇中で横田さんが見せる“奇跡のバックホーム”にちなんで、最近「これは奇跡かも!」と思った出来事は?

僕、行きたいライブのチケットを取っている日に仕事が入らない率がけっこう高いんです。おかげで、今年も『アニサマ2025』に3DAYSすべて参加することができました! しかも、会場がさいたまスーパーアリーナだったので、埼玉にある実家にも帰れて、本当に奇跡のような3日間でした(笑)。

――ノンノ読者に映画『栄光のバックホーム』を通して伝えたいメッセージは?

横田さんが困難に立ち向かいながら、もがきながら、必死に頑張る姿に勇気をもらう人がたくさんいると思います。僕も、その中の一人。今後あきらめそうになったりくじけそうになったりした時は、きっとこの映画が背中を押してくれると信じています。阪神タイガースやプロ野球ファンの方はもちろん、野球をあまり知らない方でも楽しめる作品になっているので、ぜひ映画館で見ていただきたいです!

幻冬舎フィルム 第一回作品
映画『栄光のバックホーム』

2013年のドラフト会議で阪神タイガースに2位指名された横田慎太郎(松谷鷹也)。順風満帆な野球人生が待っていると思われたその矢先、慎太郎の体に、ボールが二重に見えるという異変が起こる。医師による診断結果は脳腫瘍。その日から、病との過酷な闘いの日々が始まった。そして2019年9月26日、引退試合で慎太郎が魅せた“奇跡のバックホーム”は人々を驚かせ、感動を呼ぶ。だが、本当の奇跡のドラマは、その後にも続いていたのだった。
●11月28日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

製作総指揮:見城 徹 依田 巽
原作:
「奇跡のバックホーム」横田慎太郎(幻冬舎文庫)
「栄光のバックホーム」中井由梨子(幻冬舎文庫)
脚本:中井由梨子
企画・監督・プロデュース:秋山 純

出演:松谷鷹也 鈴木京香
高橋克典 前田拳太郎 伊原六花・山崎紘菜 草川拓弥
主題歌:「栄光の架橋」ゆず(SENHA)
配給:ギャガ
制作:ジュン・秋山クリエイティブ
©2025「栄光のバックホーム」製作委員会

Staff Credit

撮影/廣瀬拓磨(Pygmy Company) ヘア&メイク/山口恵理子 スタイリスト/村井素良 取材・文/吉川由希子 web編成/ノンノ編集部

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