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インタビュー
2025.12.04
12月5日(金)に横浜アリーナで開催される「モーニング娘。’25 コンサートツアー秋 ~Movin’ Forward with Hope~ 羽賀朱音・横山玲奈 卒業スペシャル」をもって、モーニング娘。及びハロー!プロジェクトを卒業する羽賀朱音さんの卒業短期連載。最終回となる第三回目は、自ら制作に関わったラストツアーの話やラストシングルの楽しい思い出、卒業を意識したきっかけを語ってもらいました。卒業インタビュー恒例・メンバーに贈る曲では、特技のカメラにかけて、「この瞬間を切り取りたい」と思う楽曲とコメントをお届けします。
ラストツアーに燃やした情熱、卒業を意識してからの心の動き

――まずはラストツアー「モーニング娘。’25 コンサートツアー秋 ~Movin’ Forward with Hope~」について。残すは卒業公演のみとなりましたが、現時点でお話できる部分を振り返って思うことなどをお聞きしたいです。
今回のツアーは、一緒に卒業する横山玲奈ちゃんと私のこだわりを全面的に詰め込んで構成しました。なので「ここのこだわりは?」と聞かれたら、どんなことでも答えられるぐらいの情報量があるんです。ここで全部をお伝えできないのは残念なのですが、それぐらいの熱量でやっているということを感じてもらえたらうれしいです。もはやツアー自体がもう自分たちの子どもみたいな存在というか(笑)。なので、見てもらえただけでもうれしいのですが、プラス意見や感想、お褒めの言葉なんかをいただけたりすると、隠しきれず得意顔になっていると思います(笑)。それぐらい自信を持ってのぞんだツアーだったので、見に来てくださる方も是非ハードルを上げてきてくださいね(笑)、くらいの気持ちで駆け抜けることができました!
――横山さんと一緒に準備を進めていく中で感じたことはありましたか?
よこ(横山)と私は感性が似ていて。たとえば私は洋館が似合うようなアンティークな世界観が好きで、よこも重なる部分はあるのですが、もう少しお姫様っぽさもある感じが好みというか。まさに今回のノンノさんの撮影でもそれを表現していただいたのですが、自然と世界観がリンクするような形で仕上がってうれしかったです。二人ともベースにエレガントな感じが好きというのがあるので、秋ツアーの衣装にもそれが反映されていると思います。衣装やセットに関してはお互いのアイディアを尊重しつつ、すごくスムーズに決まりました。
――セットリストを決める工程ではどんなやり取りがありましたか?
最初は、自分たちが歌いたい楽曲をどんどんあげていくところから始めました。でもその段階ではまだ、メンバーに卒業発表をしていなかったので楽屋では話せず。仕事前に二人でカフェに行って、打ち合わせしたりしていました。私はオープニングの楽曲にはすごくこだわりがあって、なんとしても叶えたかったんですけど、それをよこに相談したら「私もその曲は入れたかったのでやりましょう!」と言ってくれて、その案で行けたのが本当にうれしかったです。モーニング娘。のライブの見どころであるメドレーの曲も自分たちで決めて、結果いつもより多めの楽曲でやることになったのですがそれも採用されてよかったです。自画自賛ですけど、飽きることなく新鮮な気持ちで聴けるメドレーを作ることができて大満足です!
――羽賀さんと横山さんはモーニング娘。9期をきっかけに加入したという共通点がありますが、セットリストからそんな部分も感じられたりするのでしょうか?
そうですね、そのエッセンスはすごく入っていると思います!見てきたモーニング娘。も一緒だし、見ていたエンタメもほぼ一緒なので、それが阿吽の呼吸につながっていた理由かもしれません。卒業公演でプラスする楽曲もすぐに意見が一致して、自分たちとしてはこれしかないと思っているので楽しみにしていただけたらうれしいです。
――改めて卒業を意識したタイミングやきっかけを教えてください。
モーニング娘。は卒業と加入があるグループなので、いつかは自分も卒業するんだな、ということは2020年くらいから意識するようになりました。でもその時点は全然具体的には考えていなくて。次の道へと進む自分の姿が全然想像できなかったというのもあります。そこから少し時間がたって実際に卒業を決めたのは、2022年の秋ツアー「25th ANNIVERSARY CONCERT TOUR ~SINGIN’ TO THE BEAT~」のときです。
――コロナ禍を経て心境の変化があったということでしょうか?
2020年から意識しだした卒業というキーワードに対して、やっと自分なりの答えが出たのがそのタイミングだったんです。モーニング娘。が大好きだからこそ、卒業する時は自分で区切りを決めたいなと思いました。先延ばしにするとずっといたくなっちゃうのは分かっていたので、ならば少しでも早いほうがいいと思って、それが自分の答えだと思いました。でも会社の人に伝える前にもう一回自分の中で気持ちを整理したかったので、数か月ぐらい考える期間を作ることにして。ちょうどそのタイミングで譜久村(聖)さんの卒業発表があったんです。譜久村さんの卒業まで約一年の期間があったので、自分も焦らずに考える時間が持てるなと思いました。それで改めて卒業についても考えた結果、やっぱり今こそ伝えるタイミングだなと確信することができたので、2023年の春に会社の人たちに報告しました。もし譜久村さんの卒業発表が半年前だったら、意識が全部そっちにいっていたと思うので、自分のことを考える時間が持てたのはすごく大きかったし、ありがたかったです。
――現在23歳、卒業を決意したのは20歳の時。人生の節目を迎える人が多いタイミングに重なりますが、それは関係していたのでしょうか。
そうですね。周りの友人が受験や就職活動をしている姿を見ていたので、そこから受ける影響もあったと思います。自分は経験したことがないので想像するしかない世界だけど、新しいことに挑戦するのってすごく難しいことじゃないですか。それを成し遂げている人たちに対しては尊敬の気持ちしかないです。周りの人たちは優しいので逆に「朱音のほうが大変だよ!」と言ってくれるんですけど……。私は10年ぐらい積み上げてきたものがあるからこそ、ある意味安定を感じる部分もあって、今のお仕事をしているんですよね。でも、ずっとこのままの状態でいられるわけではないということは分かるので、そのことを再確認できたのも卒業という選択に繋がっていると思います。
――卒業=引退というのはセットで考えていたのでしょうか?
はい、そこはずっと一緒で考えていました。大好きなモーニング娘。になりたくてなったので、モーニング娘。の自分のままで皆の記憶に残りたいなと思って。卒業した後はファンに戻ります(笑)。
――卒業することに関してメンバーに相談などはしていたのでしょうか?
卒業を決めるまでは誰にも相談せず自分で決めました。でも卒業に向けて会社の人たちとの相談が進んでいくなか、同期にだけは相談ではなく報告として話はしていましたね。
――卒業を決意してから卒業するまで約3年の時間がありましたが、その中で心境の変化などはありましたか?
このイベントが最後になる瞬間が自分にもやって来るのかな……など考えるたびに寂しい気持ちになりました。その間に卒業していくメンバーもいたので、”最後の○○”を一緒に経験するとつい考えちゃうんですよ。でも自分が卒業を決めていることはまだ誰にも打ち明けていないタイミングだったりもしたので、表に出すことができなくて……。気づけば寂しい感情も自分の中で終わっていました。卒業発表をした時はもう次へ進んで行こうという気持ちが強かったので、あまり寂しいという感情を出すことなく今に至るという感じです。だから卒業発表をしてから私の姿がすごくクールに見えている方もいるかもしれないんですけど、めちゃくちゃ寂しい期間もあったということを改めてお伝えしたいです!メンバーの写真をめちゃくちゃホーム画面にしたりもしてましたし(笑)。
揺るぎない同期の絆、両極端なラストシングルがくれた思い出

――卒業が決まってから同期である12期との関係性に変化はありましたか?
そんなに変わってないと思います。12期は去年で10周年を迎えて、私以外の二人は役職を持つようになりました。同期として支えていきたいという気持ちはもちろんあるんですけど、まずのなちゃん(野中美希)のリーダーとしての素質が素晴らしすぎて。毎日率先してモーニング娘。のために動いてくれるし、(牧野)真莉愛もサブリーダーとしてすごく頑張ってくれているので、二人に対して尊敬の気持ちが増す一方です。
――今年開催されたファンイベント、12期バスツアーの思い出も是非お聞きしたいです。
自分たちで思っている以上にファンの方が来てくださってびっくりしました。そして、とにかく楽しかったです!会社の人から「最後にやりたいイベントはある?」と聞かれた時にソロイベントという選択肢もあったとは思うんですけど、私は12期でイベントがやりたくて。でも去年も12期でイベントはやっていたので違うものがいいなと思っていたら、バスツアーという提案があったので「やりたいです!」と即答しました。イベント中には3人だけで過ごす時間もあったりして、それもすごく特別でしたね。普通はこのタイミングでさらに絆が深まったというエピソードがあったりもすると思うんですけど、特にそんなこともなく(笑)。というのも、それ以前からずっとマックスの状態でいい関係性が構築できているんですよ。お互い一番安心できる距離感で、ベタベタしたりはしないけど信頼感がある感じ。それが12期って感じだなと思います。
――羽賀さんは12期のファンはどういうタイプの方が多いと思いますか?
そもそも私、12期のファンって本当にいるのかな……と思っていたくらいなんですよ。個々のファンはいるけど、まとめて好きっていう方はあまりいないんじゃないかと決めつけていたので。でも実際バスツアーをしたら12期ファンと言ってくださる方が想像以上にいたので、今まで勝手に疑っていて申し訳なかったです(笑)。私のファンをしてくれている人は同性の方だと場の空気を盛り上げてくれるようなイメージ。仲間を大事にするような熱血肌な感じで、優しくてあったかい方が多いです。個別会などでも「ねぇ、あかねちん聞いてよ!」みたいな感じで、友達みたいに接してくれるので、いつも元気をもらっています。今の段階でまだラストの個別会は先なんですけど、卒業発表をしてから泣いてくださる方も出てきて「まだ早いよ〜!」というやりとりをしてます(笑)。
――卒業まで僅かですが、最後までにやっておきたいことなどはありますか?
個人的にやりたいことはすべて叶えられたのでありません。モーニング娘。としてはもっと上を目指して叶えたい夢もあるけれど、それはまだまだ続いていくこれからのモーニング娘。に託していきたいなという気持ちです。メンバーが頼もしいので、私は安心して卒業していきたいと思います。
――卒業後のプランなどがあれば話せる限りで教えてください。
まとまった長いお休みが取れるようになるので、海外旅行に行きたいです。絶対行きたいのはパリ!ずっと憧れていた場所なので。あと車の免許も取りたいですね。もっと身近な夢だと地元のお祭りにも行きたいです。まずはやりたいことをやってから、次の未来に向けて準備もしていけたらと思っています。
――羽賀さんにとってラストシングルとなる『てか HAPPYのHAPPY!/私のラミンタッチオーネ(Lamentazione)』についてのお話もお願いします。
『てか HAPPYのHAPPY!』は、一言で表すならとにかく“陽キャ”。つんく♂さんの楽曲は伝えたいことを繰り返すイメージがありますが、この曲でもサビで“HAPPY”という言葉が繰り返し使われていてすごく印象的です。MVではつんく♂さんから、全員リーゼントヘアでスーツを着こなしてショーみたいなイメージ、というコンセプトをいただいていたので、それを実践しています。最初にリーゼントと聞いた時はそれっぽいヘアをするだけかと思っていたので、本気のリーゼントと言われた時はメンバー全員大困惑でしたが(笑)、本番の日には皆覚悟が決まっていて、誰も抵抗していなかったです。むしろコンセプトが明確だからこそ楽しむべきだよね、というムードで全員終始ノリノリでした(笑)。パフォーマンスの部分ではメンバーでアルファベットを作るフォーメーションが見どころ。ダンスは結構細かくて、ジャンプするタイミングだったり手の向きなどがワンコーラスめ、ツーコーラスめ、サビでまったく違うので、かなり頭を使います。ちょっとの違いがフォーメーションや見栄えを作るうえで大事なのは分かっているんですけど、体と頭を同時に使うので見た目以上に大変です。秋ツアーではサビの部分をファンの皆さんが一緒に踊ってくださるのを見るのが楽しみでした。
――ファンとの掛け合いもハロー!プロジェクトならではですよね。
本当にそうです。ちょっとズレてたりしたらメンバーがすぐ指摘するし、「ここは裏取りだから」とMCとかで指示したり、日々お互いに高めあっている感じですよね(笑)。私はファンでもあるので、皆さんの気持ちもめちゃくちゃ分かるんです。メンバー含め全員自分がハロメンだと思ってライブを楽しんでいるような空気感がめちゃくちゃ幸せだし好きです。
――『てか HAPPYのHAPPY!』はラストの楽曲にしてはかなり明るいイメージですが、最初にもらった時はどう思いましたか?
最近は、一曲はモーニング娘。っぽい曲、もう一曲が卒業するメンバーに重なる楽曲という構成でくることが多いので、“てか HAPPY”は(自分の卒業曲)ではないな、と直感で思いました。でも実際こっちだったらどうしよう……とも思いましたけど(笑)。
――(笑)。“てか HAPPY”はスルメ曲的な側面もあると思うのですが、最初に聴いた時から印象は変わりましたか?
印象はそこまで変わってないんですけど、とにかく曲の転換が多いのでどこがAメロでどこがBメロみたいな感じじゃないんですよ。展開がすごいので最初聴いた時はちょっと混乱しましたね。でも結果その刺激みたいなものが、何度聴いても飽きない感じにつながっているのかなと思います。気付いたら終わってる、みたいな楽曲なのでもう一回聴きたい!と思っていただけるはずです。昔から変わらず、ずっとおもしろい楽曲を書き続けているつんく♂さんのすごさも感じました。
――続いて『私のラミンタッチオーネ(Lamentazione)』についてのお話もお願いします。
こちらはちょっと歌謡曲っぽさもあって、最初に聴いた時「これが自分の卒業曲だ!」と即思いました。すごく好きな感じの楽曲だったので思わず万歳しましたね(笑)。振られちゃった女の子が主人公なんですけど、寂しくない!むしろ友達と旅行とか行けるし、一人のほうがいいと強がっている感じの曲です。イメージとして、Bメロに“木枯らし”っていう言葉で出てくるので、季節としては秋の終わりから冬にかけての時季で、そんな時季に「全然寒くもないし寂しくない」と強がっているその子を想像したらめっちゃ可愛い!と思って。なので初めて聴いた時から曲に対して愛おしさを感じていました。そして最初にみんなで聴いた時には「ラミンタッチオーネってなんぞ?」という話にもなりました。調べたら悲観的な、とか嘆き、とかそういうキーワードが出てきて、やっぱり寂しい感じなんだと答え合わせもできて。つんく♂さんからはサビのところは笑いながら歌ってほしいというオーダーがあったんですけど、それも強がりの演出なのかなと自分なりに解釈しています。卒業曲的な感じもあるけど、ストーリー性もすごくあって、本当にお気に入りです。
――MVのお話もお聞きしたいです!
“ラミンタッチオーネ”では、ほま(岡村ほまれ)と二人で往年の女優みたいな感じの役を演じていて、リーゼント姿からは一転、ショッキングピンクのドレスを着ました。最初に見た人は結構びっくりするかもしれません(笑)。全体的な感じとしては雪が降っていて、切ない感じもあり、個人的にはメンバーがトレンチコートを着てぎゅっとしているシーンがお気に入りです。全体的にMVがすごく好きな感じで、参加できてうれしかったし、これが卒業シングルになることが本当に光栄です。
恩師つんく♂との対面で感じた原点、後輩メンバーに贈る曲

――12期はこれまで主に楽曲を通してつんく♂さんとコミュニケーションを取ってきたと思うのですが、振り返って印象に残っていることはありますか?
私たちが加入したタイミングでプロデューサーから離れるということになってしまったので、直接お会いする機会は少なかったのですが、活動中につんく♂さんの存在は常に近くに感じていました。歌詞の意味やオケのことなどで疑問が出てきた時に聞いて返信をいただく、みたいなやり取りも何回もしていて、やっぱりモーニング娘。のお父さんみたいなイメージです。モーニング娘。ファンでもある自分からすると、大好きな楽曲を作った方に直接答え合わせができるという経験はなかなかできることではないと思うので、本当に光栄でした。ずっと大好きで尊敬している方です。3年ぐらい前の話なのですが一回だけレコーディングの日にいらっしゃったことがあって、ガラス越しに姿が見えた時は本当にびっくりしました。そこで私の歌声を聴いた上でグッドサインを送ってくださって。リズムにすごく気をつけて歌っていたので、めちゃくちゃうれしかったです。自信にも繋がりましたし、忘れられない思い出です。
――先日行われた神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールでの秋ツアー公演にはつんく♂さんが来場したとのことですが、そのことについても教えてください。
ありがたいお言葉をたくさんいただきました。25年以上歴史があるグループだから昔とは少し解釈が違う部分もあるけど、でもすごくよかったよともおっしゃっていただいて安心しました。今のモーニング娘。として見ていただけたことがすごくうれしくて。私がいられる時間はもう僅かですけど、こうやって連絡が取れる間柄であるうちに疑問に思ったことなどはもっと聞いておかないといけないな、とも改めて思いました。でもつんく♂さんが来ることは完全にサプライズで、ディレクターさんから「今日は11年ぶりにライブを見に来る関係者の人がいるよ」とは言われていたんですけど、まさかそれがつんく♂さんとは思わないじゃないですか!私たちも知らずにパフォーマンスしていたので、終演後につんく♂さんが登場した時はドッキリかと思いました(笑)。ライブに関しては常に全力でやっているのでいつ誰に見られても大丈夫なのですが、もし事前に知っていたら相当緊張したと思うので、知らないままいつもの状態をお見せすることができてよかったです。
――他メンバーの反応などはどうでしたか?
多分皆、びっくりしすぎてリアクションをすることすらできないみたいな感じでしたね。同時にちゃんとしないといけない、みたいな気持ちもあったと思いますし。メンバーそれぞれつんく♂さんとはどこかで関わりがあるのですが、グループでそろって対面するのはあまりない機会だったので、いい思い出になりました。
――最後にノンノ卒業インタビューでは欠かせないメンバーに贈る曲とメッセージをお聞きします。カメラが得意な羽賀さんにはそれぞれのメンバーの「この瞬間を切り取りたい曲とパート」をテーマにお願いしたいです。
げったー(弓桁朱琴)は、『なんだかセンチメンタルな時の歌』の2番の最初のパート、「朝も眠いな、やけに眠いな」のところです。この曲の発売は2024年の夏なんですけど、今年の春ツアーで久しぶりに聴いたら、めちゃくちゃ上手になっていて。オリジナルの音源だとちょっとウェットな感じなんですけど、一年かけて元のよさにさらにリズムが加わって、より説得力が増したように感じました。ずっとリズムの練習を頑張っている姿を見てきたので、その成果がしっかりと現れていて、私までうれしくて。モーニング娘。になってからまず向き合うことになるのがリズムだと思うんですけど、リズムを特訓する時にはまず体でリズムを刻むところから練習するんです。練習していくとそれができるようになっていくんですけど、そこからそのリズムを歌に乗せられるようになるまでにはまた時間がかかるんですよ。だから、その時についにげったーが16ビートを習得したぞ!と思って。すぐ本人にも「よかったよ!」と伝えに行ったら「歌い方も少し変えてみたんです」と教えてくれて。げったーは熱血タイプみたいなイメージでダンスを特に頑張っているイメージがあるメンバーだったんですけど、歌の部分でもしっかり研究して頑張っているのが伝わってきて、それもうれしくて。これからも止まることなく上を目指し続ける子だと思うので、その成長を見るのが今後も楽しみです。切り取りたい瞬間はこのパートを歌う時の節目がちな表情です。すごくきれいなんですよ!げったーといえば力強くカメラを見ている感じやパワフルなイメージがありますが、ここではしっとりしたイメージがあって新しい感じ。とにかく魅力的なパートなので皆さんも注目してください!
はるさん(井上春華)は、このテーマをもらった時に最初に思い浮かんだメンバーでした。切り取りたいのは『「恋人」』の「ねぇ懐かしいね」のパートなんですけど、私はここが本当に大好きで。この曲は、昔からずっと仲がいい人がいて、いい関係性ではあるんだけど、向こうが自分のことを好きかどうかは分からなくて一歩踏み出せない……みたいな感じの内容なんですね。それでこのパートはまさにその不安な状況を示している部分でもあるんですけど、はるさんは歌った後に微笑むんですよ……!その表情がはかなすぎて本当に頭を抱えます。友達として二人が過ごした楽しい思い出にふけっている感じを、たった8音のパートに乗せて伝えてくるなんて、すごくないですか⁉︎ 今年の春ツアーのセットリストに組み込まれていたんですけど、ツアー中に自分の気持ちを伝えると、はるさんが意識しちゃうかなと思って感情を自分の中で押し殺していたので、今ここで爆発しました(笑)。あの微笑み……一生守りたいです。同時に誰があんな表情を教えたの?あなたは物語の主人公なの?とも思いますね。とにかく、ここのはるさんは必見です!加入当初は歌もダンスも経験がなくて常に必死みたいな感じでしたが、最近のはるさんからはそんな時代があったとは思えないほどのオーラを感じます。パフォーマンスに魂があるというか。17期の二人は本当に違う個性の持ち主で、げったーが突き進む感じの強さ、はるさんは炎の中に佇んでいるような強さを持っているイメージです。はるさん自身はまだ自分に自信がなかったり、不安を感じることも多いみたいだけど、思うままに自分を信じでこのまま突き進んでほしいです。
らいりー(櫻井梨央)は、『Wake-up Call~目覚めるとき~』の最後のほうにある「夜の底で〜」というパート。最初の頃は超苦戦していたんですよ。らいりー自身が高いキーで歌うパートに苦手意識を持っていたみたいで、歌う時は常に緊張している感じがしました。あとライブの時にも本人的に大きく失敗しちゃったと思った日があったみたいで、すごく落ち込んでいる姿も印象に残っています。でもそこでめげることなく、歌い方を変えたり試行錯誤して頑張っているイメージがあったので、他のメンバーは後ろからすごく応援していました。そして遂にその頑張りで自分の殻を破ったのか、発売翌年の2024年頃からはどんどん上手になっていって、今年の春ツアーでも完璧にこなしていましたね。本当にかっこよかったです。練習したこともそうだけど、本人のもともと持っている素質が実力としてやっと追いついてきたんだろうなという感じもします。苦手なことから逃げずに向き合う姿勢がかっこいいし、これからもそうやって成長していくんだろうなと思いますね。表情など魅せ方に関しては加入当初から自分のカラーがしっかりあるメンバーでしたが、できるがゆえ決めすぎてしまうこともあって。研究熱心なので自分で決め顔をちゃんと研究したり練習して作ってくるんですよ。そんならいりーも魅力的だけど、この曲では自分の感情のままというか、すごく自然な表情をしている感じがして、個人的にはそこも素敵だと思うし、皆さんにも是非注目して見ていただきたい部分です。
長年共に歩んできた仲間や先輩メンバーに捧ぐ曲と思い

(山﨑)愛生ちゃんは、『君の代わりは居やしない』の「だって夢見るだけはタダと言うけど」のところ。この楽曲は最初からすごくテンポ感があるんですけど、このBメロの部分で急に壮大な感じに変化していくんです。なので、そこのパートはリズムも刻みながらその壮大さを出して歌わないといけない難しい部分なんですけど、愛生ちゃんはすっかり自分のものにしていて。その迫力ある歌声で会場ごと支配していくような感じが、とにかくすごいかっこいいんです。歌声だけじゃなく、その時の自信に溢れているような表情も最高で。あの幼くて小さかった愛生ちゃんが、今では大きな会場を包み込むような、自信溢れるかっこいい女性になっているなんて、それだけでも超エモくないですか?ここのパートでは毎回そんなことをひしひしと感じながら愛生を見つつ踊っています。
ほま(岡村ほまれ)は、『明るくいい子』の一番の「いい感じならば我慢かな」のところ。いきなりで申し訳ないのですが、ここはちょっと軽く自分語りもさせてください(笑)。私は2番で同じ部分のパートを担当しているんですけど、地声でレコーディングをして。ほまれは最初裏声を使って歌っていたんですけど、後から私に合わせたいと言ってくれて、地声で再レコーディングしてくれたみたいなんですよ。それは本人ではなくディレクターさんから聞いて知ったことなんですけど。それで地声の方を聴いたらよすぎて。私よりも全然上手で、そこで「やばいぞ」という気持ちにもなりましたし、そう思わせてくれたほまれには、すごく感謝しています。ほまは人の変化にすぐ気付いて寄り添える優しい子なんですけど、その一方で我慢していることも多いんじゃないかな、と心配になる部分もあって。だからここのパートに感情が乗せやすかったりもするのかな、と思ったりしました。そしてここのパートの時のほまは、目に芯がある感じで訴えかけるような目力がすごくあって、その表情込みでこの曲の主人公になりきっている感じがすごくかっこいいです。ライブの時はビジョンにも注目してください!
よこ(横山玲奈)は、『泣いちゃうかも』の「最後の夜が来たら〜」のパート。よこの声は声量もしっかりあって芯を感じさせる部分もあるけど、同時に可愛らしさやちょっとした弱さみたいな部分が見え隠れするところが他の人にはない魅力だと思っていて。このパートでも強気なフリをしている感じ、切ない部分もある感じで表現しているのがすごく好きです。普段はどんな楽曲でもこなせる万能なメンバーだし、弾けるような笑顔のイメージが強いと思うんですけど、この曲では今にも泣きそうな顔をして歌い上げていて、そこも本当に魅力的。改めてどんな曲でも表現ができるよこのすごさを感じました。
真莉愛は、『最KIYOU』の「苦しい時だけ任されGirl」のところ。直前まではリズムとかオケが落ち着いた感じなんですけど、このパートで急にリズムが戻ってくる感じがすごくかっこよくて。私は真莉愛の低音がすごく素敵だと思うんですけど、説得力がすごくあるんですよ。低音だけどちゃんと聴こえてくる感じもあって。真莉愛は高音もいいんですが、私の好みが低音パートで、特に印象的なのがこの曲なのであげてみました。そして切り取りたいのは抜群のスタイル。このパートの時にはちょっと後ろから登場して踊ってサイドに捌ける感じなんですけど、毎回「え、今なんかすごくスタイルいい子が通ったよね⁉︎」と純粋に感動します。そしてここでの手元の振り付けは1番も2番も共通なんですけど、表情などの魅せ方含め、自分のパートのためだけの振り付けのように魅せている感じもすごくかっこいいです。
のなちゃんは、『勇敢なダンス』の「涙は涙ごと色が違う」のパート。毎回「(これは)のなちゃんのステージだ」って思うぐらい魅力的なんですよ。表情はセクシーな感じなんですけど、そこにスタイリッシュさもあって、歌詞の内容も伝わってくるし、のなちゃんにしか出せない洗練された色気だなと思います。聴くたびに「私もここ歌いたかった」と羨ましくなるぐらい魅力的なんです。のなちゃんがリーダーに就任した後の現体制では、まだこの曲をパフォーマンスできていないのですが、もし今やったらのなちゃんの独壇場感がさらに増すんじゃないかと思いますし、純粋に見たい……という気持ちです。
小田(さくら)さんは、『悲しくなるようなRainy day』の落ちサビ「気の利いたBGM」のところです。私は小田さんの前の部分の歌割りをもらったのですが、最初この楽曲を聴いた時に感情で歌うべきか悩んでいたら「感情を乗せることも大事だけど、自分が歌うことでファンの方が感情を乗せられるような歌い方をするといいんじゃないかな」というアドバイスをくださって。それも含めてすごく印象に残っています。小田さんは普段からリズムだったり歌い方のテクニックなど、技術的な部分をよく教えてくださるんですけど、感情面でアドバイスをいただく機会はめったにないので、すごくうれしかったんです。そして教えていただいた感情を乗せた歌い方ってまさに小田さんそのものなんですよ。なので、これはなんとしても自分のものにしたい……!と思いました。あと小田さんといえばちょっとしたジェスチャーもお上手で。たとえばこのパートだと“BGM”のところで深呼吸をしているような感じで肩を動かしているんですけど、それをすることでより感情も伝わってくる感じがして、たまらないです。歌はもちろんですが、表情、感情、ちょっとした仕草など、すべてにおいてこだわりが感じられる小田さんのパフォーマンスはやっぱり特別ですし、その器用さにも本当に憧れます。歌で伝えるというのはただ歌うだけじゃないということを改めて教えていただいたような気がしますし、そうやって小田さんがいろんな人を魅了して巻き込んでいくかっこいい姿をこれからも見ていたいです。
――かなり駆け足にはなってしまいましたが、ハロプロ研修生時代から約11年在籍したモーニング娘。のお話までたっぷりと聞かせていただきありがとうございました。
こちらこそ貴重な機会をいただけて光栄でした。卒業した後は再びモーニング娘。のファンに戻って、引き続きモーニング娘。と共にある人生を謳歌したいと思います。ライブに行くのも楽しみなんですよね。卒業ライブ、少しでも多くの方に見ていただけたらうれしいなと思います。そしてファンの皆さん、今まで本当にありがとうございました!
羽賀朱音のプロフィール

モーニング娘。’25
●はがあかね 2002年3月7日生まれ、長野県出身。2013年にハロプロ研修生に加入し、2014年9月に12期メンバーとしてモーニング娘。に加入。愛称はあかねちん、メンバーカラーはオレンジ。趣味で始めたカメラはプロ級の腕前で、ノンノWEBでカメラマンとして先輩、譜久村聖さんを撮影してもらったことも。自身がフィルムカメラでメンバーを撮影したページを含む写真集『#ねちんふぃるむ』が好評発売中。
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Staff Credit
撮影/岡崎果歩 ヘア&メイク/佐々木れな(Three PEACE) スタイリスト/佐藤朱香 取材・原文/武内亜紗 撮影協力/EASE

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