突然だけど、友達から自分が同性愛者だと打ち明けられたことはあるだろうか? そんなとき、なんて言うべきだろう。「応援するよ」「ふつうのことだよ」とか? でも、友達を傷つけたくない、というやさしさが、もしかしたら逆にその人を傷つけてしまうかも。「LGBTの人」とカテゴライズして答えることは、ときにその人特有の心を無視して、勝手に決めつけることにもなってしまうから。
主人公のまどかと友達、交際相手との関係がテーマのこの小説は、推し活やSNS、摂食障害、親の問題……と今の10代女子が生きる世界を浮き彫りにしながら、誰にもわかってもらえないことの痛みと、それでもかけがえのない誰かと生きていきたいという願いを切実に描いている。
悩みを誰かとわかちあえたときはホッとするけど、でも自分にしかわからない悩みもいいものかもしれない。つらいけど。読みながらそんなことを思いました。