インドのような遠い国の少女たちが《学校に行かせてもらえない》あるいは《幼いうちに本人の意思に反して結婚させられる》という問題をどこかで聞いたことがあるかもしれない。私たちはときに彼女たちの不幸を、遠い世界のしかたないできごとだ、と目をそらしてしまう。
だが、この小説で彼女たちが直面するできごとを読んでいると、「えっ、これって日本でも同じことが起きてる」とたびたび思わされる。2022年、日本のジェンダーギャップ指数の順位は 146カ国中116位。日本のジェンダーギャップは一般的に、社会に出てからより強く感じられるという。「女のくせに」「女なんだから」のあとに続く言葉はたいてい私たちを否定するものだ。
この物語にはひどい現実がたくさん出てくる。でも彼女たちの選択は間違いなく日本の女子たちをも元気づけ、一歩踏み出すエネルギーをくれる。もう目をそらすことはできないだろう。