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2022.12.20更新日:2024.05.17
松山梢
映画が誕生してから、100年以上。映像技術が進化し、サブスクや配信など楽しむ手段も大きく変化したけれど、そこで描かれるのが人間なら、“恋する気持ち”はいつの時代も不変。「こんな恋がしてみたい♡」と思わせてくれる、ラブストーリーの傑作をご紹介。
Story
舞台はクリスマス前のニューヨーク。買い物客でにぎわうデパートで、偶然、黒いカシミアの手袋に同時に手を伸ばしたジョナサン(ジョン・キューザック)とサラ(ケイト・ベッキンセール)。その後、カフェ「セレンディピティ3」で2度目の偶然に遭遇したことで惹かれ合った2人は、ロマンティックなひとときを過ごす。お互いに恋人がいたため、「この出会いが本当の運命ならまた会えるはず」と、ある提案をして別れることに。
Recommend Point
タイトルのセレンディピティは、“幸せな偶然”という意味。劇中には、ジョナサンが1日に何度も“サラ”という名前を耳にしたり、ジョナサンがおすすめしていた映画ポスターを、サラがたまたま街中で目にしたりと、小さな偶然がいくつも登場する。スマホやSNSがない時代に、必死で相手につながるヒントを見つけようとする2人の姿は、あまりにももどかしくてハラハラ……。結局“運命の出会い”を引き寄せるには、見過ごしそうな偶然というサインをキャッチする、アンテナの感度の高さが重要なのかも!? 失恋して立ち直れなかったり、恋する気持ちが湧かない時に、何度でも見返してときめきをチャージしたい1本。
ロンドン西部のノッティングヒルで小さな書店を営むウィリアム(ヒュー・グラント)の店に、ある日、ハリウッド女優のアナ(ジュリア・ロバーツ)が偶然立ち寄る。その直後、街角でアナとぶつかり、オレンジジュースをこぼしてしまったウィリアムは、着替えをしてもらうために自宅アパートへ招き入れる。アナは不器用ながらも誠実なウィリアムに惹かれ、2人はやがて恋に落ちることに。
生まれた国も職業も違う2人が直面するのは、乗り越えるのが難しい、あまりにも大きな環境のギャップ。打たれ弱いウィリアムが、何度傷ついても行動を起こす姿は健気だし、「私も1人の女。好きな男の人に愛してほしいと願ってる」と語る、大スターであるが故のアナの孤独にも胸が締めつけられる。エルヴィス・コステロの「She」が流れるラストは、最高に幸せな気持ちになれる名シーン。冴えない書店主とハリウッド女優の恋という夢のような設定は、脳内で“推しとの恋”に置き換え、妄想せずにはいられない。ちなみに本作は、オードリー・ヘプバーン主演の『ローマの休日』にオマージュを捧げたシーンやセリフが散りばめられているので、こちらもぜひ。
ヨーロッパを旅行中のアメリカ人青年・ジェシー(イーサン・ホーク)と、祖母が住むハンガリーのブダペストからパリへ帰る途中のセリーヌ(ジュリー・デルピー)は、ユーロトレインの車内で隣り合い、意気投合。オーストリアのウィーンで途中下車し、ジェシーの帰国のフライトまでの14時間、一緒に過ごすことにする。
歴史的な建物が並ぶ美しいウィーンの街を舞台に、予定も決めずにフラフラと歩き、夜明けを迎えるまでの2人を映した物語。大きな出来事は何も起こらないけれど、家族のことや将来のこと、人生や恋愛や死について語り合う詩的でユーモア溢れる会話は、ずっと聞いていたくなるくらいロマンティック。お互いへの興味を探り合うちょっとした気まずさや、初めてキスする時のドキドキ、夜明けが近づくにつれて高まる切なさと儚さは、恋の始まりの醍醐味をギュッと凝縮している。完璧な出会いを果たした2人がその後、どんな運命を歩んだのか……。続編の『ビフォア・サンセット』(2004)、『ビフォア・ミッドナイト』(2013)もあわせて見てみて。
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エンタメ
2024.12.14
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