今や世界的作家であり、国内でも女性たちから圧倒的に支持されている川上未映子さん。そんな彼女の最新作は、もう2023年のベストと言ってもいいくらい面白かった! 私自身、ふだんは犯罪小説なんてまったく読まないのだけど、この本だけはノンノ女子たちにも絶対読んでほしい! 続きが気になって一気に読めてしまうし、きっと心に『いい』傷跡を残してくれると思うから。
貧困と、その周辺にある差別、虐待、経済的弱者の自立の難しさ――この時代に見過ごせない社会的な問題を重層的に描きながら、物語は生きのびるために罪を犯すしかなかった彼女たちに並走し、ともに暗い夜を駆け抜けていく。
「だから彼女は悪くない」なんていう単純な結論ではなくて、この小説を読み終えた後では「誰が悪いのか? 」なんて問いが無意味に感じられるくらい頭が複雑にこんがらがっている。でも、この複雑さを抱えて生きていこうよ、と思うのだ。