歩きスマホの人にイラっとしたことがない人なんて、今やいないだろう。だが、普段は「いい子」をやっている主人公がもうひとつの顔で、そいつらに罪悪感を与えるためわざとぶつかりに行く、というのがこの表題作の始まり。
主人公はあざとく生きているわけではなく、たとえば嫌な上司にニコニコしちゃうのも、しちゃうからしちゃうだけなのだ、と言う。でもこれって若い女子ならほぼ100パーセント共感できるのではないだろうか。
「いい子」をやっていても割に合わない、と考える主人公の行動は日に日にエスカレートし、次第にとんでもないことになっていく。共感できるか恐怖が共感を上回るかはあなたの「いい子度」と「ヤバい奴度」によるかもしれません。
復讐のように歩きスマホの人にぶつかってもやっぱり幸せにはなれないわけで。じゃあ誰かにぶつかったりせずに幸せになるにはどうしたらいいんだろう、と考えさせられる1冊でした!