【モーニング娘。’23】譜久村聖卒業記念WEB連載『12色の12年』第三回:目まぐるしい環境で成長した2013年の思い出

2023.09.08更新日:2024.08.09

譜久村聖連載12色の12年バナー

 
2023年秋に開催予定のコンサート・ツアーをもってモーニング娘。及びハロー!プロジェクトを卒業する譜久村さんの卒業連載。第三回目は2013年の出来事を振り返ります。全国同時握手会やライブハウスツアーなどグループにとって初めての試みが多かったこの一年。目まぐるしい日々の中でグループや自身の成長に繋がった印象的な出来事を中心に語ってもらいました。

歌に続いて新しく見えてきた自分の課題

スクールガールファッションに身を包んだ譜久村さんの写真

 

――2013年の5月には田中れいなさんが卒業し、道重さゆみさんと9期以降のフレッシュなメンバーでの構成という新体制に。そのタイミングで譜久村さんはサブリーダーに任命され、上から数えて2番目のメンバーになりました。

 

譜久村 引き続き展開が早すぎますよね(笑)。2012年の時にもお話しさせていただきましたが、田中さんの卒業が決まってからはとにかく田中さんのことをずっと見ていました。すごく尊敬している人だからこそ、自分の今後に生かせる何かを受け取らないと! という思いで、2013年の上半期はとにかく必死でした。



――後輩メンバーにとって田中さんは改めてどんな先輩でしたか?


譜久村
 すごく後輩のことを守ってくれた先輩です。当時の私たちはまだまだマネージャーさんから怒られてばかりいました。 そんな場面で田中さんはすぐ気がついて「これはマネージャーさんも悪いけん」と言って守ってくれるんですよ。そうやって気にかけてもらっていることが本当にうれしかったですね。
パフォーマンス面では、田中さんは誰から見てもすごいというのは大前提で、近くで見るともっともっとすごいんです。本当に学ぶことだらけでした。

そして2013年には先輩たちとの距離もだいぶ縮まっていたので、田中さんとは移動中にもたくさんお話させてもらったことも印象に残っています。当時は怖い話がはやってたので、そんな話をしたり(笑)。




――2011、12年は歌のパートがもらえるように頑張っていたというお話を聞きましたが、2013年はどうでしたか?

譜久村 2013年に入ってすぐ、チャンスに恵まれました。52枚目のシングル『Help me!!』で初めてちゃんとしたソロパートをいただいたんです。しかも2番サビのラストという見せ場のところだったので、めちゃくちゃ喜びました。ここまで諦めずに頑張ってきてよかったと思いましたし、ファンの皆さんが喜んでくれたこともうれしかったですね。ちょうどこの頃に「全国47都道府県キャンペーン」などがあって全国同時握手会(ZDA)が始まったんです。メンバーが同じ日に分散して全国を回る握手会なんですけど、一人で回るので最初は心細くて。でもそこで「ソロパート、よかったね!」とか「ふくちゃんの歌声好きだよ」など、励みになるような言葉をたくさんかけていただいて、それがすごく自分の力になりました。




――チャンスを掴んだことでさらなる欲みたいなものは出てきましたか?

譜久村 はい。2013年の春ツアーのタイミングで表情の研究をもっと頑張らないとだめだな、と新しい課題が出てきました。自分的にはいつでも一生懸命に心を込めて歌っていたんですけど、後から映像を見た時に自分の目の表情がほぼ“”の状態で。「私は世界中の人に歌を届ける思いを持って頑張っていたはずなのに、こんなに暗い顔をしてたら何も伝わらない……」とめちゃくちゃショックを受けました(笑)。なので2013年は歌を引き続き頑張りつつ、明るく見える表情作りも課題となりました。



サブリーダーとしての苦悩、新しい経験から得た学び

本を頭に乗せた譜久村さんのポートレート

 

――サブリーダーは飯窪春菜さんとの二人体制でしたが、役割分担などはあったのでしょうか?

 

譜久村 明確にはなくて、一緒に頑張るという感じでした。お互いに「とにかく道重さんを自分たちが支えないと!」という強い使命感があったのですが、当時の私は思うようにできなくて落ち込むことが多かったです。はるなん(飯窪)は道重さんとのコミュニケーションの取り方も自然できちんとしていて。そういう姿をすごいな、さすがだな、と思う一方で、自分の不甲斐なさに落ち込んでしまうこともありました。そんなことを考えたりしているうちに上手に話しかけられなくなってしまって、振り出しに戻る”じゃないですけど、その時はまたすっかり自信をなくしていました。





――同じ役職についたメンバーがいることで自分と比べてしまう状況は切ないですね。

譜久村 ついつい比べてしまって「はるなんのほうがすごい」ってずっと思っていました。同時に、ステージ上での自分の表情がよくないって気がついた時期でもあったので、「私って可愛くないな」とか「可愛い人が羨ましいな」とか、当時はもうすべての考え方がよくない方向にいっちゃっていました。「可愛くなりたいからメイクを頑張ろう!」 とか前向きな考え方には全然なれなかったんですよね、その時は。だからこそ、握手会などでファンの皆さんがかけてくださる言葉には本当に救われていました。

 

 

――握手会で意識していたことはありますか?

譜久村 握手できる時間は一瞬なので、そこでできるだけ感謝の思いが伝わるように、ということは昔から意識していました。なので結構ギュッと強く握るタイプだと思います。それでビックリされることもありました(笑)。あとは目線の高さが相手より低くなるように、手をなるべく下のほうから出すようにするのもこだわり。「ありがとうございます」を素早く言う練習もしましたね。より感謝を伝えるためにはどうすればいいか、と考えてとにかくできることを全部やる! という感じでした。

 



――2013年は握手会だけではなく、「ナルチカ」などで全国のライブハウスを回っていましたよね。いつものホールやアリーナとは違う環境下で学んだことはありましたか?



譜久村 「ナルチカ」は「なるだけ近く」の略なのですが、名前の通り本当に距離感がすごく近くて、初めはすごくビックリしました。きっと私たちだけじゃなく、ファンの人たちもビックリしていたと思います(笑)。ステージもいつもより小さいので照明にぶつかっちゃったり、『Help me!!』の羽のように広がるフォーメーションが広さが足りなくてできなかったのも衝撃で、すごく覚えています。楽屋も場所によって個性があって、なかには鏡やコンセント、イスが足りなかったりするところもありました。でもそういう時はメンバー同士で協力しながら準備をして、それがすごく楽しかったんですよ。ファンの皆さんもそうですし、メンバーともたくさん心を通わせることができたいい機会でした。全国同時握手会も「ナルチカ」もそれぞれの場所に思い出があるんですけど、なかでも富山では特に優しく迎えていただいて、「第二の故郷だと思っていいからね」と声をかけてもらったことが忘れられません。その後また行った時には「おかえり」って言ってもらえて本当にうれしかったです。



――そしてファースト写真集 『MIZUKI』が発売されたのも2013年ですよね。今やグラビアでも大活躍している譜久村さんの原点と言える一冊なのではないでしょうか。当時の記憶は残っていますか?



譜久村 元々ハロプロの先輩たちの写真集を自分でも持っていたし、会社にもたくさん置いてあったので、ほぼ全員の写真集を見てから撮影にのぞみました。先輩たちの作品を見て、自分なりにイメージを膨らませていたはずなんですけど、実際はすごく表情が固かったと思います。なぜならその時は自分の表情のなさにすごくコンプレックスを感じていた時期だったので、写真を撮られることにすごく苦手意識があったんです。でも大好きなピンクの水着を着られてうれしかったことはすごく覚えています。出来上がったものを見た時は同じような顔ばかりしている自分がいやで、反省モードだったんですけど、増刷になったと聞いた時は純粋にうれしかったです。しかもなかなかないことだったらしく、成果を出した自分をちょっとだけ褒めてあげてもいいのかなとも思えました。写真を撮ってもらうことで自然と自分と向き合う機会が増えたので、表情作りももっと研究するようになりましたし、自分にとってグラビアは学びの場でもあったのかなと思います。




――表情作りに関して転機となるようなエピソードがもしあれば教えてください。

 

譜久村 改めて道重さんの撮影を見学させていただいたことはすごく勉強になりました。道重さんって撮影されたすべてのカットが使えるぐらいハズさないんですよ。「これがアイドルだ!」って感激しました。魅せ方のバリエーションも豊富ですごく刺激を受けましたね。そして道重さんだけではなく、いろいろな人を見ることが大事だと思ったので、他のメンバーが撮影している時もこまめにチェックするようにしていました。

 

3作連続オリコンシングルランキング首位を経て生まれた結束力

譜久村さんのスクールガールファッション全身ポートレート

 

 

 

――その他に2013年で印象に残っていることはありますか?



譜久村 年末の話まで進んでしまうんですけど、初めてのカウコンである『Hello!Project COUNTDOWN PARTY 2013 ~ GOOD BYE & HELLO ! ~』です。松浦亜弥さんやメロン記念日さんなど憧れの先輩たちのパフォーマンスを間近で見て、「ハロプロだ〜!」ってすごく感動しました。モーニング娘。に加入してからの数年は本当に自分のことでいっぱいいっぱいだったので、自分がハロプロを大好きな気持ちを改めて取り戻すことができた貴重な時間だったと思います。


――シングル『Help me!!』で3年8か月ぶりにオリコンシングルランキング首位に立ったこともこの年のニュースですよね。



譜久村 1位を取れたことはうれしかったのですが、正直その当時は実感は全然ありませんでした。でもFNS歌謡祭だったり、6年ぶりにミュージックステーションに出させていただいたりしたのは、そういった結果があってこその出来事だと思うので、うれしかったです。マツコ・デラックスさんやユースケ・サンタマリアさんなど有名な方がメディアで私たちの名前を出してくださったことも大きかったと思いますし、すごくうれしかったです。



――さらにここから、『ブレインストーミング/君さえ居れば何も要らない』『わがまま 気のまま 愛のジョーク/愛の軍団』と3作連続でオリコンシングルランキング首位を獲得しますが、ここで心境の変化などはありましたか?


譜久村 1位が続いたことで、自然と全員が次も落としちゃいけないという気持ちになっていたと思います。だから結束力も半端なくて、メンバー全員が全国同時握手会にかける気合いもすごかったです。ブログなどでの呼びかけを頑張ったり、あとはイベントでチラシを配ったことも覚えています。とにかく新しいことをやりまくった時期でした。




――「モーニング娘。コンサートツアー2013秋〜CHANCE!〜」では譜久村さんたちが加入してから初めて卒業メンバーがいない武道館単独公演がありましたが、何か覚えていることはありますか?


譜久村 このツアーからモーニング娘。が“体力おばけ”と言われるようになったことに繋がる構成になったんです。それまではオープニングで2曲やったら一度はけて映像、というのが通常の流れだったんですけど、ここから頭から7、8曲連続で止まらずにパフォーマンスするような流れに変化しました。ファンの皆さんもザワついてたと思います(笑)。ただこの時はみんなペース配分が分かっていなかったので、本当にキツかったです(笑)。でもあきらかにここから新しいモーニング娘。が始まるぞという空気が明確にあったので、みんな気合いが入っていました。

 

 


――グループとしてもまとまってきた感じはありましたか?

譜久村 そうですね。道重さゆみさんという絶対的な存在がいるということが大きくて、それが私たちの自信に繋がっていました。もちろん個々でつらいこと、悔しいことはたくさんあったと思いますけど、全員がそろった時のパワーはすごく感じました。

 

 

 

 

 

目まぐるしい環境の中で感じたグループの成長

カメラに背を向けて体育座りしながら上を見上げる譜久村さんの写真

 

――2012年には9期以降のメンバーはまだモーニング娘。になれてないと思っていたというお話をしていましたが、2013年になってその気持ちに変化はありましたか?


譜久村 2013年はすごい密度でいろんな経験をさせていただいたこともあって、それぞれの意識が高くなっていったと思います。ライブでトラブルがあっても助け合って乗り切るみたいな感じでしたね。すごく印象に残っているのは春ツアーで田中れいなさんが欠席した時のこと。この時に田中さんの歌割りが全部(鞘師)里保ちゃんにいったんです。去年までの自分だったら「羨ましい」という感情になってしまっていたと思うんですけど、その時はとてつもない重圧を背負った里保ちゃんを見て、「これは大変すぎる、助けなきゃ!」って思いました。もし里保ちゃんに何かあったとしても自分がカバーする気持ちで準備していたし、その気持ちを里保ちゃんにも伝えて応援していました。でも里保ちゃんは一人で全部やり切ったんです。本当に尊敬しかなかったし、信頼関係もより深まったと思います。そしてそういった目まぐるしさが私たちを成長させてくれました。


――春ツアーでは田中れいなさんが回替わりソロで披露していた、田中さんにとってのデビュー曲である『シャボン玉』を、最終公演ではメンバー全員で、しかも全員にソロパートがあるバージョンでパフォーマンスしたことも話題になりましたよね。


譜久村 ファイナルにしてあのタイミングが初披露だったんですよね。この日に卒業する田中さんにとってすごく大事な曲だったので、田中さんに恥をかかせまいと私たちもすごく気合いを入れて練習していました。すごく難しい曲なので挑戦させてもらったうれしさと、必死に頑張らないとダメだって気持ちで、全員が最大限の本気を出して歌った『シャボン玉』だったと思います。



 



――とても盛りだくさんな2013年でしたが、総括するとどんな年だったと思いますか? 


譜久村 前半と後半で自分の立ち位置や気持ちに変化があった年でしたが、田中さんと道重さんに迷惑をかけたくない、という気持ちが常に強くありました。すごく尊敬する先輩が二人いたことで自分たちも引っ張られて頑張れたし、そのがむしゃらな感じがすべての原動力になっていたと思います。先輩たちが何年も何年も大事にしてきたモーニング娘。を自分たちが変えてしまっているのではという不安や自覚があったからこそ、完璧じゃないモーニング娘。の状態で先輩を送り出すようなことはよくないと思っていたし、先輩たちも自分が好きなモーニング娘。から卒業したいはずだから、その気持ちに応えたいって使命感でいっぱいでした。


――最後に譜久村さんにとっての2013年を一言で表すと?


譜久村 「もがいていた年」です。どこかで申し訳ない気持ちだったり、自分に対して自信がないというのはずっとありましたけど、でもそこでなにか頑張る気力はあって。とにかくもがき続けた一年でした。


田中れいなさん卒業時の、全員の魂がこもった「シャボン玉」

  • モーニング娘。コンサートツアー2013秋 〜CHANCE!〜のソロショット

    「モーニング娘。コンサートツアー2013秋 〜CHANCE!〜」でのソロショット。

  • 全国同時握手会(ZDA)の時奈良にて

    全国同時握手会(ZDA)の時に奈良にて。

  • 52ndシングル「Help me!!」撮影現場でのグループショット

    52ndシングル「Help me!!」撮影現場でのグループショット。

  • 52ndシングル「Help me!!」全国キャンペーンイベント@渋谷タワーレコード。

    52ndシングル「Help me!!」全国キャンペーンイベント@渋谷タワーレコード。




譜久村聖が岡村ほまれに贈りたい1曲

『いいことある記念の瞬間』

4th「いきまっしょい!」ジャケ写

 
「いいことある記念の瞬間」が収録されたアルバム・4th「いきまっしょい!」
 



――毎回メンバー一人一人に、譜久村さんが贈りたいモーニング娘。の楽曲をセレクト。 第三回は15期メンバーの岡村ほまれさんです。

 

譜久村 ほま(岡村ほまれ)とは、先輩後輩の関係だけど、すごく仲がいいメンバーなんです。気遣いが自然とできるとても優しい子で、そういう部分を尊敬しています。ほまが加入してすぐの時ぐらいに、「私たちがもし同い年で同じ学校だったら絶対に親友だ」って話をしたことをよく覚えているんですけど、それぐらい気が合うんです。だからもし、お互いにモーニング娘。じゃなかったとしても友達になっていたんだろうなって思います。ほまはちょっと自分に自信がないのかな、というところがあって、そういうところがすごく昔の自分に重なるんですよね。でも私からすると本当に魅力的な子だから、自分自身のことを大好きでいてほしいんです。だからそんなほまに贈りたくて、『いいことある記念の瞬間』を選びました。この曲は歌詞がすごく素敵で、一緒に夢を見ていこうっていう感じの内容なんですけど、湧き出るエネルギーがあってすごく前向きになれる大好きな曲です。

 

譜久村聖のプロフィール

●ふくむら みずき 1996年10月30日生まれ、東京都出身。ハロプロエッグ(現ハロプロ研修生)を経て、2011年に9期メンバーとしてモーニング娘。に加入。2014年にモーニング娘。史上最年少でリーダーに就任。2016年よりハロー!プロジェクトのサブリーダー、2019年よりハロー!プロジェクトのリーダーも兼任する。愛称はふくちゃん、メンバーカラーはホットピンク。当時のプロデューサー、つんく♂から「少しウエットな色気のあるメンバー」と評価を受け、独自の魅力を磨きつつステージでは高いパフォーマンス力を見せつけるオールラウンダーとしても知られる。


アウター ¥59400・ シャツ 参考商品・ バッグ ¥108900・ スニーカー ¥15400/ラルフ ローレン(ポロ ラルフ ローレン)  スカート ¥19580/ビームス公式オンラインショップ(ビームス ボーイ)  イヤリング ¥3630/サンポークリエイト(mimi33)  ソックス/スタイリスト私物

モーニング娘。’23のInformation

モーニング娘。'23ベストアルバム モーニング娘。ベストセレクション ~The 25周年~ジャケット写真

 

モーニング娘。’23
モーニング娘。ベストセレクション ~The 25周年~

モーニング娘。誕生25周年記念のベストセレクションアルバム。つんく♂によりセレクトされた、モーニング娘。歴代の人気曲の中から14曲、タンポポ・プッチモニの楽曲からそれぞれ1曲ずつを、現役メンバー12名(17期メンバーを除く)で再レコーディング。 加えて17期を迎えた新体制メンバーでの新曲『HEAVY GATE/なんざんしょ そうざんしょ悲しくなるようなRainy day』の3曲も収録。計26曲、CD2枚組を初回生産限定盤と通常盤の2形態にて好評発売中



 

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