――『モーニング娘。’16 コンサートツアー秋 ~MY VISION~』の思い出は何かありますか?
譜久村 すごく大好きなツアーの一つです。ツアーを通して12期の成長した姿がすごく見えたこともよかったですし、先輩メンバーは全員ソロで歌うような構成だったんですけど、それも印象に残っています。私は藤本美貴さんの『ブギートレイン’03』を歌わせていただいたんですけど、12期にも見せ場を作りたくてバックダンサーをお願いしました。そしてこのツアーを完走できたことで、メンバーにも少し自信みたいなものが生まれて、今までの張り詰めていたような表情からみんな穏やかな顔になったような記憶もありますね。でも個人的にはちょっとした事件がありました。今だからこそ言える話でもあるのですが、ライブ公演中に発熱してしまった時があって。その時は言い訳みたいになっちゃうので言えなかったんですけど、頭がすごくぼーっとしてしまってMCが異常に長くなっちゃったんです。そこで「もしかして次はふくちゃんが卒業したりするんじゃないか」とファンの皆さんがザワつくみたいな事件がありましたね(笑)。
――(笑)。その他に印象に残っていることはありますか?
譜久村 2016年の秋にリリースしたトリプルA面シングルもすごく印象に残っています。『セクシーキャットの演説』は誰がキャット役になるかで大盛り上がりしましたし、ファンの皆さんにもすごく喜んでもらった記憶があって。『ムキダシで向き合って』は星部ショウさんに作っていただいて、今までにない魅力をアピールできるような楽曲だったので、私たちもすごく新鮮な気持ちで取り組むことができました。『そうじゃない』は(牧野)真莉愛の初センター曲で。こんなに盛りだくさんな曲をまとめてリリースできたことは、グループとしてもすごく強みだなと思いましたね。
そして少し話が遡るんですけれども、春に開催されたひなフェスで俳優の松岡茉優さんと一緒に『One・Two・Three』をパフォーマンスさせていただいたり、FNS歌謡祭のアイドルメドレーではいろんなアイドルさんと一緒にステージに立って歌ったり、AKB48さんとは『ザ☆ピ〜ス!』を披露させていただいたり。ライブばかりしていたような気でいましたが、振り返るとそれ以外のところでもたくさん貴重な経験をさせていただいていました。
――そして年末には新たなオーディションを経て13期メンバーが加入してきます。
譜久村 はい。もちろん不安な部分はまだありましたけど、秋ツアーを乗り越えてグループとしてのいろんなことが固まってきたタイミングだったので、受け入れ体制としてはばっちりでしたね。
――譜久村さん自身も落ち着いてきたタイミングだったりしたのでしょうか?
譜久村 多少は……。でも引き続き自分には自信がなかったですね。そして、2016年の後半ぐらいから「安定」って言われることに対してちょっとネガティブな気持ちになっていたことを思い出しました。「安定」というのは褒め言葉だと思うんですけれども、当時の自分は「安定じゃなくて、めちゃくちゃ頑張ってこの状態なんです!」みたいな気持ちだったんです(笑)。私は平均点を出したいわけじゃなくて、ずっと120%の自分でいたかったから、「安定」という言葉に勝手にすごく傷ついてしまっていたんですよね。その時の自分の思考は若かったなと思います(笑)。
――この年は20歳ということで成人式の思い出はありますか?
譜久村 成人式に対しては当時ほとんどなんの気持ちも向いてなかったですね。成人式当日も仕事で参加できなかったですし。前撮りの準備も全然進まなくって。「もう、なんでもいいや」という気持ちさえあったんですけど、親が一生懸命着物を選んでくれて、無事に前撮りだけはすることができました。振袖の色が赤と緑、帯にピンクと黄緑が入っていて、9期カラーのコーディネートだったんですよ。それはすごくうれしかったですね。でも一生残るものだからこそ、もっと自分でも興味を持ってちゃんと関わればよかったなという後悔も後から残りました。
――2016年を改めて振り返ってみるとどんな年でしたか?
譜久村 グループとしても自分としても試練を乗り越えるじゃないですけれども、問題と向き合って成長できた時間を過ごせたと思います。2月のヒューストンでの公演をやり遂げたことが自信に繋がって、そこから香音ちゃんの卒業をちゃんと見届けられたこと。秋ツアーでは一番後輩の12期メンバーの成長する姿が見られたこと。段階を経て確実に前に進めたことが本当によかったです。
――最後に譜久村さんにとっての2016年を一言で表すと?
譜久村 さっき話した中でも出てきたキーワードなのですが、やっぱり「スキルアップを目標に頑張った年」ですね。