――『BRAND NEW MORNING』はモーニング娘。の新しい一面を打ち出すような楽曲でしたが、『ジェラシー ジェラシー』はどうですか?
譜久村 『ジェラシー ジェラシー』はつんく♂さんが作詞作曲を手がけていて、すごくモーニング娘。らしい曲ですよね。私もすごく好きな曲で、超神曲だと思います。“ジェラシー”を感じる瞬間ってきっと誰にでもあると思うんですけど、あまり口にしないじゃないですか。そんな心の中にある部分を全部詰め込みました、というような歌詞がすごいと思います。特に女性の方はすごく共感する人が多いんじゃないでしょうか。でも今の私は自分自身に置き換えてみるとこの楽曲とはちょっと違うジャンルの“ジェラシー”を抱えているタイプなのかもしれないです。理解はすごくできるけど、共感とはまた違うというか。私はすごいなと思う人に対しては、尊敬の気持ちのほうが強くて。だから悔しいと強く感じる時っていつも自分に対してなんですよね。それも“ジェラシー”の一つだと思うんですけど。
そして“ジェラシー”という言葉のチョイスが本当にすごいですよね。もし“嫉妬”に置き換えたとしたらすごい妬みの詰まった楽曲に聴こえてくるんじゃないかと思うんです(笑)。でも、“ジェラシー”って言葉にすることで、もっと広くいろんな捉え方ができる気がします。
そしてこの楽曲はタイトルだけではなく、歌詞もすごくいいですよね。「ジェラジェラジェラっちゃう」とか、ラップのところとか。思わず口にしたくなるようなキャッチーさだったり、前向きな気持ちになれるようなところが素敵だと思います。振り付けもYOSHIKO先生らしい、モーニング娘。じゃないとできないような振りで。最初にこの曲は神曲と言いましたが、本当にモーニング娘。のよさを最大限に引き出してくれる楽曲の一つだと思います。フォーメーションダンスもしっかりあって、ラップや歌でも魅せるところがあって、つんく♂さん節と言われるようなところもあり。すごくバランスがいいんです。そしてサビ部分で「ジェラシー」って歌っているのが新メンバーの13期という。この曲が発売されてから5年経ちましたが、最近は13期だけだった“ジェラシー隊”が増えたんですよ。15期のほま(岡村ほまれ)とめい(山﨑愛生)が加わったりしていて。よこやんがその二人を引っ張っている感じがまたすごくエモいです。
――少し話が戻りますが、13期メンバーが入ってきたことで他のメンバーにはどんな変化がありましたか?
譜久村 直近の先輩だった12期は焦るというより、私から見ると少し落ち込んでいるように感じたことがありました。12期と13期は本当に全然タイプが違ったんです。12期は目の前の一つ一つのことを丁寧にやっていくし、一つずつできるようになっていく子たちで。コツコツタイプというか。でも13期はいきなり高い位置に目標を設定して、そこに食らいついていくタイプで。 どちらにもよさだったり、強みがあると思うんですけど、やっぱり新メンバーということもあって限界突破する13期のほうが注目されやすいので、そこで12期はちょっと悔しい思いをしたこともあると思うんです。だからそんな12期のことを励ましたいなと思って、当時は12期のいいところを口に出して褒めるように意識していました。私たちは公演が終わった後に映像で見返すということをするんですけど、その時に振りがすごくきれいだったらそれを直接伝えてみたりとか。あとは振り付けを紙に書いて覚えようとしているなど、努力している部分が見えた時に声をかけてみたり。努力している部分をちゃんと見ている人がいるよということを伝えたくて。
それと12期に関しては9期とどこか似ていると言われることもあるんです。全然タイプの違う4人で、グループが大きく変化するようなタイミングで入ってきたという部分は確かに重なる部分がありますよね。9期に似ているって言われて12期がうれしいのかはさておき(笑)。
――春ツアー中には10期メンバーの工藤遥さんが同年秋ツアーをもって卒業することを発表します。後輩から初めての卒業ということで、どんな心境になったのか教えてください。
譜久村 自分の中ではここからさらにグループとして盛り上げていくぞ! という気持ちしかなかったし、ハロー!プロジェクト20周年がスタートするタイミングでもあったので、「ここで⁉︎」とは思いました。本人にも思わずそのまま言いましたね。あとは正直に寂しいという気持ちが強かったです。もっともっとどぅー(工藤)と一緒に活動したかったし、一緒に輝きたかったし。だから初めて聞いた時は自然と涙が出たし、「卒業しないで」ってマネジャーさんを巻き込んで3人で話し合った時に訴えました。でもそれはあくまで自分だけの気持ちであって、やっぱり引き止めることはできないなと思いました。どぅー個人の人生を考えると、どぅーのやりたいことがあるし、そこで輝ける未来があるのもすごく分かっていたので。
――工藤さんのラスト参加シングルに収録されている『若いんだし!』ではそんな工藤さんの前向きな卒業を示唆するようなMVが印象的でした。
譜久村 MV撮影はすごく楽しかったですね。みんなで一つのバスに乗って撮影したんですけど、勝手に「モーニング号」って名前をつけたりして(笑)。楽しかったはずなのに、撮影中に感情移入して泣き出すメンバーもいたりして。どぅーって本当にすごくフレンドリーな子なので、みんなそれぞれに大切な思い出があるんですよね。だから泣いちゃう子の気持ちもすごく分かるなと思って見守っていました。