――春ツアーの開催中には12期メンバーの尾形春水さんが卒業発表をし、ツアー最終日の日本武道館公演で卒業することになりました。その当時の心境を教えてください。
譜久村 2017年にもどぅー(工藤遥)の卒業がありましたが、10期はどちらかといえば兄弟っぽいというか、同期に近いような感覚だったので、12期メンバーであるはーちん(尾形)の時に初めて後輩が卒業する、という感覚になりました。はーちんは本当にすべてを自分の極限まで頑張るタイプだったので、すごく気にかけていたメンバーだったんです。モーニング娘。を離れてしまうことが悲しいという気持ちはもちろんあったけど、同時に今までの努力する姿を見てきたからこそ、「おつかれさま」という気持ちになったことも覚えています。これからのはーちんの人生がすごく楽しみでもあったし、グループを卒業して進学をすると決断したことがかっこいいとも思いました。そんなはーちんが大学を卒業して、今元気に活動している姿を見られてうれしいし、すごく応援しています。
――2018年は、国内最大規模のロックフェス「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018」にLAKE STAGEで初参加を果たしたこともグループにとって大きな出来事の一つでしたよね。
譜久村 はい! これまでもいろんな場所でライブをさせていただきましたが、新しい環境に飛び込むような機会が今まであまりなかったので、かなり革新的な出来事だったと思います。決まった時はすごくうれしくって「やったー!」ってみんなで大騒ぎしましたね。でもその後すぐ「一万人規模の会場なのに、全然人が来なかったらどうしよう」という不安も襲ってきました(笑)。これまで日本武道館など大きな会場に立たせていただく機会はありましたけど、そのつどこれが当たり前じゃないということはすごく感じていましたし、だからこそ野外のフェスという今までにない環境に飛び込んでいくことにもすごく緊張感があって。なので、強気な気持ちは全然なくって「とにかく頑張るぞ! 」という感じでした。でもどうやら、ファンの皆さんも同じ気持ちだったみたいで(笑)。「これは(自分たちも一緒に)頑張らないとまずいかもしれない」という気持ちから、普段は在宅メインで応援してくださっている方もフェス当日はたくさん駆けつけてくださっていたらしい、というエピソードを後から聞いてびっくりしました。
――ほぼMCを挟まない激しいセットリストも話題になりましたよね。
譜久村 私たちとしてはごく普通の感覚だったので、こんなにも話題になるとは思いませんでした(笑)。確かこれぐらいのタイミングでモーニング娘。=“体力おばけ”というあだ名がついたんですよね。フェスに出演した後に“体力おばけ”、“MCなし”というキーワードがモーニング娘。に関連してバズっていたらしいという話を聞いて、メンバー間でもすごく盛り上がりました(笑)。自分たちのことを全然知らない人から認知してもらえたことを感じられたうれしい瞬間でしたね。
――譜久村さんはどのような気持ちでのぞんでいたのでしょうか?
譜久村 この年はとにかく初めての試みということもあり、自分たちはできる努力を尽くして、楽しもう。たとえ会場にたくさんお客さんがいなかったとしても、来てくださった方に楽しんでもらいたいし、自分たちも一緒に楽しみたい! という気持ちから、とにかくメラメラと燃えていました。一曲目は『HOW DO YOU LIKE JAPAN?~日本はどんな感じでっか?~』だったんですけど、実は私、そこであまりにテンションが上がりすぎちゃって、次の曲からフラフラしちゃったんです。原因は完全に自分の体力不足だったので、本当に反省しました。おそらく前のほうのエリアにいた方には、私の様子がいつもと違うことがバレていたと思います。でもここでの反省があったからこそ、翌年へのモチベーションがすごく上がって、自分の中で新しいスイッチが入った感覚があったので、ちゃんと得るものがあってよかったなとは思います。