吉沢亮さんが語る、現在地と未来。【吉沢亮までの距離PART4】

2019.10.18

近づきたい♡ 大好きな彼の心の奥 吉沢亮までの距離

その瞳に見つめられ、正気でいられる女子はいるだろうか。ハッとするほど美しいのに、ビックリするほど飾らない。「吉沢亮」に近づくためのヒントは、きっと、ここに……。

たどり着いた現在地、これからの予想図

本気なのか冗談なのか。飄々と繰り出す飾らない言葉の数々から見える、真実。

初めての声優への挑戦。 最初はめっちゃ怖かった

 15歳のデビューから10年。今年は記念イヤーだったにもかかわらず、吉沢さんはあまりキャリアの“長さ”にはこだわっていない様子。そもそも今の状況も「ぬるぬる続けていたら、いつの間にかたどり着いた感じ」と、まるでひとごとのように笑う。ただし、その言葉を決してうのみにしてはいけない。なぜなら、新しい仕事を選ぶ時には、必ず「自分が挑戦できるポイントがあるか考える」というのだから、全然“ぬるぬる”していないはずなのだ。新作アニメーション映画『空の青さを知る人よ』では、キャリア史上初となる声優に挑戦した。

初めてのことに挑戦するのはやっぱり、怖いっすね。でも覚悟を持って挑戦するみたいなことがないと、結局、いい作品にならない気がするから。ただ、声優は本当に初めてだったから最初はめっちゃ怖かったです。自分の声もどっちかといえばあんまり好きじゃないですから(笑)

 劇中では、31歳の売れないギタリストの慎之介と、13年前からやってきた18歳の時の慎之介である“しんの”の2役を見事に演じ分け。二人が言い争いをする場面は、どちらも吉沢さんが演じたとは思えないくらい、キャラクターそれぞれの個性が際立つ渾身のシーンになっている。

同じ人間ではあるんですけど、人生に相当苦労したんだろうなっていう疲れ切った慎之介と、明るい未来しか見えてない希望にあふれたしんののテンションの違いは意識しました。普段やっているお芝居のテンションで演じても、声だけだと全然伝わんないんですよね。しかも、あそこまで声を張り上げる芝居は結構特殊。僕自身が普段からあまりテンションが高くないので、いつもの5倍くらいのテンションでやりました

 アフレコに入る前には、たくさんのアニメを見て、声だけの表現を自分なりに研究していたほど。

普段、声優さんの声を聞いて『うまいな〜』なんて思わないじゃないですか。それは本当にうまいからこそ聞いている人に意識させないんだと思うんです。改めて声優さんのすごさを実感しました。逆に言うと、自分がいつもはそれだけ声を意識しないでお芝居していたんだなってことに気づかされたんです。重要なポイントだと思うので、この経験は、今後のお芝居にも生きると思います

 演じた役がミュージシャンだったため、劇中では主題歌にもなっている『空の青さを知る人よ』を歌うシーンも。ふざけて歌うバージョンなど、数パターンが盛り込まれている。

いやあ、ムズかった(笑)。しかもアフレコをした当時は、あの曲が主題歌になるなんて全然聞かされていなくて。予告編であいみょんさんが歌ってるのを聴いて『先に言ってよ!』って思いました(笑)

 メガホンをとったのは、吉沢さんも以前からファンだったという、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』や『心が叫びたがってるんだ。』で知られる長井龍雪監督。

映画のお話をいただく前から過去の2作を観ていたし、すごく好きだったんです。ファンタジーとリアルの世界が混じり合っている“青春”な雰囲気は引き続きこの作品にも受け継がれているし、今回はさらに恋愛要素が強い気がして。フレッシュな高校生の恋愛と30代の大人になりきれないグダグダした恋愛っていう、その対比もすごくこの作品の魅力なんじゃないかなと思っています

「挑戦ができるか。それが仕事を選ぶ基準」

30代・40代になってもきっと今と変わらない

 今回の映画で31歳の役を演じたことにかけ、30代になった時の未来が想像できるか聞いてみると、取材中に何度も出てきた“面倒くさがり”という言葉の片鱗が垣間見えた。

まったく想像できないですね。もっと大人になんなきゃって意識はあるんです。大人っていろんな知識や経験があるイメージじゃないですか。でも僕、プライベートでは努力をあんまりしないタイプで(笑)。楽しく体を動かせたらいいなーとか考えるけど、結局それも5年前から思っているまま。お芝居以外のことを何もしないので、よっぽどのことがない限り変わらないと思います

 本人がいくら変わらないと言っても、仕事での注目度と比例して、取り巻く環境が激変しているのは事実。

もちろん、ノンノで表紙をやらせていただいたり、できる仕事が増えたなって感じはします。でも、街で声をかけられることがないから、注目していただいていることは正直分かんない。だって僕、普段は帽子を目深にかぶってマスクをしてるから、ただの怪しい人(笑)。吉沢亮って絶対バレないと思います

 生まれ持った美しいルックスと努力によって身につけた確かな演技力、そして誰もがうらやむ人気まで手に入れているのに、拍子抜けするほどおごらず、浮かれもしない。本人が“ぬるぬる”と表現する、その驚くほどのマイペースさが、吉沢さんの最大の魅力なのかもしれない。

今はまだやりたいことも、やらなきゃいけないこともあるけど、30代とか40代になったら、その時に一緒にお仕事をしたい監督さんや共演者の方と年に1本映画に出て、2年に1本ドラマをやる。そんな俳優になっていたいですね。空いた時間ですか? 何しているんでしょうねー(笑)。あ、沖縄とか行ってるかも。時間に縛られない感じがすごくよくて、初めて行った時に『なんて素敵な場所なんだ!』と思ったんです。海を見ながらひたすらのんびりするみたいな未来が、理想です

 そんな優雅な生活が人気者に許されるかは分からないけれど、仕事もプライベートも肩ひじ張らずに満喫する。変わらずに自由を愛する姿だけは、はっきりと見えた気がした。

[1〜3枚目]ジャケット¥45000/ノット ワンダー ストア(ワンダーランド) Tシャツ¥9000/HEMT PR(ジョン メイソン スミス) その他/スタイリスト私物[4枚目]カーディガン¥36000/モールド(チノ) シャツ¥18000/スタイルデパートメント(スティル バイ ハンド) その他/スタイリスト私物

Profile

●よしざわ りょう 1994年2月1日生まれ、東京都出身。近年の代表作は映画『リバーズ・エッジ』、「銀魂」シリーズ、『キングダム』、連続テレビ小説『なつぞら』など。映画『一度死んでみた(仮)』(2020年公開)、『さくら』(2020年夏公開)が待機中。

映画『空の青さを知る人よ』

©2019 SORAAO PROJECT

姉のあかね(吉岡里帆)と二人で暮らす17歳の高校生あおい(若山詩音)の前に、姉の元彼のしんの(吉沢亮)が、高校時代の姿のまま13年前から時間を超えて現れる……。●全国公開中

2019年11月号掲載
Icons made from svg iconsis licensed by CC BY 4.0