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2020.02.24
誰かに読まれるつもりじゃなかった日記
「自分の姿を知られるのは恥ずかしいと思った。それでも私は書くことに決めた」。作家でも人気ブロガーでもない、ある一般女性が写真と文章で淡々とつづった記録。公開の予定はなかったが、編集者との偶然の出会いにより出版されたという。
ある日突然、彼氏の「ユウキさん」と連絡が取れなくなることから日記は始まる。嫌な予感は的中し、彼の家族から連絡が来る。脳梗塞で倒れ、意識が回復していないのだと。しかし彼女を待ち受けているものは献身的な愛や奇跡の物語ではない。何しろ彼の家族の意向でたったの一度、面会することすら叶わず、蚊帳の外に置かれた彼女は、鳴らない携帯を見つめながら鬱々と日常を過ごすしかないのだ。
被災した人、親しい人を亡くした人。非日常に突然放り込まれた人すべてに言えることだが、慟哭の瞬間より、むしろ、心に膜がかかったような状態で続く日常のほうが圧倒的に長い。しかしながら著者はこの最低な日々こそ記録しておかなければと、己の不安を見つめ、傲慢さやわがままさも俯瞰し、ひたすらに自分に突きつけるように書き続ける。
ただの日記でありながら、人が生きているってそれだけで美しい、そう思わせてくれる不思議な魅力のある一冊だった。
気高くわがままに生きる人の2冊
美少女の中学生りくは誰のことも信じず周囲を見くびって生きていた。だが親戚の家に預けられたことをきっかけに、周囲の愛情を受けて変化していく。疾走感あるラストシーンが胸を打つ、異色の鉛筆漫画。
こちらも写真と文章による、夫の死から始まる日記。悲しみから顔を上げて再び歩き出す人の心は悲しみ一色ではない。揺れ動く感情はハードなものなのに、なぜか引き込まれ、一気読みしてしまう。
●はなだ ななこ
HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE店長。著書に『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』がある。

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