千葉 撮影が始まる前に本読みやリハーサルの時間があって。その時、白石さんがえんじ色のトップスを着ていたんですよね。その日、偶然にも僕が着ていたのもえんじ色のシャツで。「これはもうツーカーだな」と、勝手に思っていました。
白石 それ、私も覚えています。千葉さんのシャツを見て「カブっちゃったな」と(笑)。
千葉 なんか、僕だけ勝手にシンパシー感じちゃってすみません(笑)。
──「はじめまして」の印象を尋ねると、飛び出したのがこのエピソード。二人が初共演を果たしているのが、映画『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』だ。
千葉 今作は北川景子さん主演でヒットした『スマホを落としただけなのに』の続編。僕は前作に引き続き刑事の加賀谷を演じています。彼は心に傷を抱えていて、周りに壁を作ってしまう人。同時に、恋愛においても煮え切らない部分があって……。
白石 私が演じているのが、そんな加賀谷さんの恋人の美乃里なんです。彼女は思っていることをハッキリ口にする真っすぐな人。だからこそ、そんな加賀谷さんにヤキモキしてしまったりして。
──連続殺人鬼の浦野(成田凌)を加賀谷が逮捕して解決したと思われた事件。しかし、それが終わりではなかった。またもや次々と発見される若い女性の遺体。ネットに現れた「M」という謎の人物。捜査は行き詰まり、加賀谷はついに浦野と手を組むことに。そんななか、美乃里に魔の手が迫る……。今作も身近なスマホやネットが犯罪のカギに。それだけにゾッとしてしまう場面も。
千葉 作品は緊迫感あふれるシーンの連続なのですが、現場の雰囲気はとても和やかでした。まず、監督がとてもおもしろい方で。「1.5増し増しで」「“千葉キュン♡”って感じで」とか、ボケなのか本気なのか、よく分からない演出をしてくるんですよ(笑)。また、監督が白石さんのことが大好きで。撮影中に監督が誕生日を迎えたので、僕たちもプレゼントを用意したんですけど。
白石 私は色違いのお揃いのキャップとコンサートグッズのタオルをプレゼントして。
千葉 白石さんとお揃いなだけでテンション上がっちゃってね。監督は現場でタオルを巻いていたので、僕もタオルをプレゼントしたんですけど。順番的に白石さんのあとだったので、リアクションがまあ〜違う違う。「主役やぞ!」と思いましたよね(笑)。
──共演者に関してもこんなエピソードが。
千葉 前作に引き続き、殺人鬼の浦野を演じているのが成田凌君。彼がまたおもしろい人で。加賀谷はグッと感情を抑え自分と向き合うタイプなので、緊張感漂う場面の前は集中するようにしていたんですけど。そんな僕の隣で納豆巻きをモグモグ食べながら「食う?」って(笑)。自由な彼のおかげで気持ちが和みました。若干、イラッとしたけど(笑)。
白石 今作で私はハードな撮影に挑戦。そこでご一緒しているのが音尾琢真さんなんですけど、すごく素敵な方で。緊張している私にお芝居のアドバイスをくださったり、空き時間にはお子さんの話だったり、プライベートなこともたくさん話してくれて。
千葉 映画の中では白石さんにあんなひどいことをしているのに⁉(笑)
白石 ふふふ、おかげで、緊張が和らいで、思い切って挑めました(笑)。
──犯人は誰なのか、そして、その目的は? 謎が謎を呼びながら進んでいくミステリーだが「加賀谷と美乃里の恋愛も今作の見どころの一つ」と千葉さんは語る。
千葉 現場で女性スタッフにリサーチしたんですよ。「美乃里は加賀谷のどこに惹かれつき合おうと思ったのか」って。すると、返ってきたのが「優しさじゃないか」という答えで。加賀谷は「何を食べる?」と聞かれたら「美乃里が食べたいものでいいよ」と答えるタイプ。彼にとってはそれが幸せだし、彼女もそんな優しさに惹かれているんだけど、次第に「ラーメンか寿司か聞いているんだよ!」になるっていう(笑)。
白石 結果、気づけば美乃里がリードしていく関係性に(笑)。彼女が加賀谷さんにいら立つ気持ち、千葉さんは理解できます?
千葉 分かります、分かります。
白石 私は自分の思いをなかなか言葉にできない、美乃里とは真逆のタイプ。それだけに、彼女への憧れを抱きながら演じたのですが、現場での千葉さんはとても男らしく頼りがいがあって。加賀谷さんとは真逆なタイプなのかと勝手に想像したりして。
千葉 確かに、僕はもうちょっとハッキリしていますね。ただ、恋愛に不器用なところは似ているかもしれないけど……そこは想像にお任せします♡
──息の合ったトークを繰り広げてくれた二人。最後に改めて「初共演した感想」を尋ねると、こんな答えが返ってきた。
白石 この対談で感じてもらえると思うのですが、私の思いを察してくれたり、言葉を拾ってくれたり突っ込んでくれたり。現場でもお芝居でも本当に助けられました。
千葉 現場での彼女は芯が強く真っすぐで。ハードな場面も全力で挑んでいた。そんな彼女のお芝居を多くの人に見てもらいたいですよね。で、ついでに僕の芝居も……チラッと見てもらえたらうれしいです(笑)。