宇宙飛行士、バスケの選手、ラーメン屋……子どもの頃は"なりたいもの"がたくさんあった。そんな伊藤さんが"なりたいもの"のラインナップに入っていなかった"芸能界の仕事"に関わるようになったのは14歳の頃。知人の紹介でモデル事務所に所属したのがすべての始まり。
「単純に洋服が好きだったから"おもしろそうだな"と思って。完全に好奇心だったんです。役者の仕事も自分では全くやるつもりがなくて。そんな僕の運命を変えたのが、周りにすすめられるまま受けた蜷川幸雄さんの舞台のオーディションだったんです。当時は芝居経験もなく素人同然。受かるなんて1ミリも思っていなかった。でも、"とりあえず行くか"と向かった会場には、本気で役者を目指す同世代が集まっていて衝撃を受けたんですよね。夢に向かうみんなの熱量はもちろん、自分の小さなテリトリーの外にこんな世界があったことに。当たり前だけど、そのオーディションには落選。それがまた妙に悔しくて……。自分もここにいるなら挑戦してみたい、そう思うようになったんです」