『「おじさん」から少女たちが見えなくなった当初は、確かに、少しは騒ぎになった。』なんていう、突飛な一文で始まるちょっと不思議な物語。
今、女性アイドルのファンだという女性はとても多い。その姿を見ているだけで元気をもらえたり幸せな気持ちになる、ということは今や性別に関係なく多くの人が感じていることだ。だがしかし、「おじさん」を憎む主人公は、女性アイドルにほとんど恋愛のような気持ちを抱きながら、この女性アイドルの輝きも「おじさん」によって作られたものではないかと葛藤する。
物語は現実と虚構を織り交ぜながら、時空を超えて加速していく。「あ、これって怒っていいことだったんだ」「これって変なことだったんだ」というたくさんの発見とともに、もしかしたら世界は私たちの手で変えられるのかも? という元気をくれる。遊園地の乗り物に乗るような気持ちで身をまかせ、このパワフルな小説をぜひ体験してみてほしい。