――『精霊の守り人』で知られる上橋菜穂子のファンタジー小説を、日本アニメーション界最高峰のスタッフで映画化した『鹿の王 ユナと約束の旅』。竹内涼真さんは、初めてアニメ声優に挑戦した。
「オファーをいただいた時はすごくうれしかったです。でも僕の理想の声はブルーノ・マーズみたいなちょっとハスキーな声で。アフレコの時に『本当に僕で大丈夫ですか?』って聞いた記憶があります」
――演じたのは、天才医師のホッサル。普段の快活な竹内さんの声を想像していると、繊細ではかなげな声に驚かされる。
「アフレコをしたのは『テセウスの船』を撮影する前の2019年11月頃。まだ絵コンテの段階だったので、監督と『もう少しこうしてみましょう』『あ、これかもしれませんね』と時間をかけながらイメージをすり合わせていく感じがすごく楽しかったです。ただ、完成した作品を見た時は自分の声だと分からなくて、『編集で声をいじったのかな?』って思ったくらい(笑)。全編通して見ると温かみのあるアニメとキャラクターの素朴さがマッチしていて、すごく素敵な映画に参加できたんだなと感じました」
――実は竹内さんがノンノに登場してくれるのは3年ぶり! その間に、ずいぶん内面に変化があったそうで。
「食べ物の好みや洋服の好み、いろんな感覚が変わりましたね。たとえば洋服なら、単純にデザインや生地だけじゃなく、作っている人のこだわりやストーリーに惹かれるようになりました。きっかけは、40代や50代のお友達ができたこと。自分の人生設計を確立している大人ってめちゃくちゃ余裕があってカッコいいし、経験豊富な方たちのお話やセンスからすごく刺激を受けるんです。僕も、身につけるものや選ぶものから、こだわりが垣間見えるような大人になりたいです」