ひさしぶりに言葉に表せないくらいのすごい小説に出会ってしまった。暗くて、重くて、決して読んでいて楽しい本ではないのだけど、それでも息をするのも忘れてるんじゃないかというくらい夢中になって、徹夜で一気に読んでしまった本。それで仲のいい本好きの書店員友達に聞いたらやっぱりみんな「これは2021年でいちばんすごかった本」だと口々に言っていたので、もう勝手にこれがナンバー1だということにさせていただきます!
私たちの社会はキラキラと楽しいことばかりだけじゃなくて、貧困や差別を「自己責任」と言われて苦しめられている人がたくさんいる。いや、私たちも自分の苦しさを仕方ないことだと思わされていたり、あるいは苦しい社会を再生産して誰かを苦しめてしまっているのかもしれない。
ひとりで暗い一本道を走り続けるようなこの読書は、走り終えたとき、夜が明ける前の光を感じさせてくれる。その光を感じたとき、あなたも「この本を読んでよかった」ときっと思ってくれると思う。