「アイドル美容」の新しい価値【今ドキ若者調査Vol.９】

通勤や営業の合間、電車や街中で見かける若者女子のメイクに注目してみていただきたい。赤みを帯びた目元、チークレスな白肌、ぷっくりしたツヤのあるリップ。美容の目利きなら、さりげないハイライト使いにも気がつくかもしれない。このメイクの発信源は「美容系アイドル」。アイドルとして活躍しながらセルフメイクの研究に情熱を燃やす、若き美容インフルエンサー達である。アイドルらしく、トレンドを取り入れながらも清潔感や愛され感を失わず、しかも「ライブでも崩れない」といった付加価値がついたコスメのチョイスは若者女子の注目の的。しかもYoutubeなどでHOWTOを自ら公開しているものだから、トレンドメイクの発信源として存在感が増しているのである。

美容系アイドルというカテゴリは、脇役扱いだったコスメにも光をあてている。本誌2018年6月号掲載「アイドルって、握手会でどんなハンドクリーム使ってるの？」（下）という企画では、リップなどに比べて地味な存在のハンドクリームやボディケアアイテムが主役だ。ファンと触れ合う「握手会」という場で、いかに自分らしい香りや、ふわふわの手触りを実現するかに執心する彼女たちのコメントは実にリアル。ハンドクリームに、単なる手荒れ防止や保湿にとどまらない新しい価値を与えている。

美容系アイドルにおけるメイクの存在感は、すでに確立されているともいえる。今後の注目は、スキンケア界において知識とセンスを兼ね備えた美容系アイドルが出てくるかどうかだ。メイクほどにわかりやすい変化がなく、ビジュアルの華も作りにくいスキンケアをYoutubeでどう見せるのか？ 知識が必要なスキンケア界は、まだまだ若者のインフルエンサーが未到達の分野。さらなる新しい価値の創出を期待したい。

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