ノンノモデルが綴る花言葉
【小宮山莉渚×リンドウ】「ノンノモデルが綴る花言葉」連載vol.6
2024.10.31
ノンノモデルと季節の花、そしてその花言葉をテーマにした撮り下ろし写真。連載「ノンノモデルが綴る花言葉」 第6回は、ノンノモデル・小宮山莉渚×リンドウ。莉渚のもつ透き通るようなピュアオーラとリンドウのビジュアルから着想を得て、水をイメージしたセットで撮影を敢行しました。知られざる莉渚の過去や内面に迫るインタビューも必読です!
リンドウの花言葉は“誠実”
秋の訪れを教えてくれる「リンドウ」。上品で趣のある花姿とまるで染めたかのように鮮やかな色が特徴で、花言葉は「誠実」。一説では、太陽の光が降り注ぐ時だけに花を咲かせるという律儀な習性からきた花言葉だと言われています。
― リンドウという花は知ってた?
この撮影がきっかけで知りました! どのような花なのか想像がつかなくて、撮影前日に下調べを。スッとした釣り鐘状の花と青と白のコントラストがはっきりしていて、きれいだなというのが第一印象。「冬になると一度地上に出ている部分が枯れるけれど、春になると再び新芽を伸ばして秋になると美しい花を咲かせる」という解説を読み、何度も立ち上がるようなその姿勢がカッコいいなと思いました
― 実際に撮影してみて、リンドウの印象はどう?
衣装をフィッティングする時にリンドウを持ってみたのですが、意外と小ぶりなサイズ感に驚きました。調べて出てきた写真を見て、チューリップくらいの大きさかな?と勝手に想像していたんです(笑)。お花って感じの香りはあまりしなかったかな
― 莉渚がこれまで誠実に努力してきたことを教えて!
好きなことを追求できる、ありがたい環境を用意してもらえていたこともあり……小さい頃から、興味を持ったことには一つ一つ妥協せずまじめに取り組んできました。小学生の頃は囲碁。小学校高学年〜中学ではスライム作り。私が壁にスライムをぶつけるのを母が嫌がって(笑)、“そんなものを触っているなら、パン生地をこねなさい”と言われて、パン作りを始めたことが料理に興味を持ったきっかけです。アニメ『夢色パティシエール』に出てくるお菓子が好きだったり、祖母がパン型など専用の調理器具を持っていたこともあり、気づいたらパンやお菓子作りをはじめとする料理全般にどハマりしていました。
そんな私が、これまで一番誠実に打ち込んできたと胸を張って言えるのが芸能のお仕事。幼いころから人前に出るのが好きで、密かにキラキラした世界に憧れていて。なかなか勇気が出ず誰にも打ち明けられなかったのですが、中1の夏だったかな。姉が“雑誌モデルのオーディションを受けてみたら?”と声を掛けてくれたんです。そのオーディションには受からなかったけど、今の事務所の方がその雑誌の候補者を紹介するページを見てくれていて、中2の頃にスカウトしていただきました。17歳の時ノンノ専属モデルになることが決まった時はもうびっくりしちゃって放心状態……。“自分でいいのかな?”と思いつつも、新しい自分に出会ってみたいというワクワク感の方が強かったです。専属になることが決まってから、人生で初めてダイエットをして撮影に臨んだのも今では懐かしいな。初登場企画の撮影では自分の出来なさに落ち込んで、撮影終わりにマネージャーさんの前で大号泣。今まで洋服を見せる撮影をしてこなかったので、すごく新鮮で学びがありつつ、同期である(林)芽亜里ちゃんのしなやかなポージングを目の前にしたら横に立つのが恥ずかしくて、悔しいというのはおこがましいけれど自分が情けなくって……。私は「器用だね」と言ってもらえることが多いけど、実は不器用。興味を持ったことは何でも試して夢中になるけれど、ひとつのことを極めるまでにはなかなか至っていないんです。だから、夢中になった経験で学んだことを他の現場でも糧にしてどんどん掛け算をしていって。凝り性な私なりにモデルとして、表現者としてこの世界で立ち位置を見つけていきたいなと思っています
― 今、そしてこれから、誠実に向き合っていきたいと考えているコト・モノは?
俳優、モデル、アーティスト、それぞれの方法で表現すること。2021年公開の映画『ヤクザと家族 The Family』という作品に出会えたのが、私にとって表現者としてのスタート地点で、“自分の人生をかけて俳優業を本気で頑張っていこう”と決意したのもこの時。今思えばこの作品との出会いは運命的で、自分に自信が持てず、そんな自分を変えたくて髪を切ったタイミングで藤井道人監督からオーディションの連絡をいただいたんです。初めての映画のオーディションは緊張のあまりセリフを間違えてしまった苦い思い出も。受かった直後はうれしさよりも先に、「本当に?え、私!?」っていう驚きでいっぱいで、その後にうれしさがやってきた感じです。右も左もわからない状態だったのですが、藤井監督から“演じているというよりは、自然に、そこにいるような感じでやってほしい”と言われて。演じるということは役になりきることだと思っていましたが、自然な自分らしさを大切にする必要もあるんだと学べた現場でした。綾野(剛)さんや尾野(真千子)さんの真剣に作品と向き合う姿勢も間近で拝見でき、お仕事に対する意識が変わり、“私もこんなふうに作品やお芝居に取り組める表現者になるぞ!”と決意しました。
演技を心から楽しいと思えたのは、この夏誠実に向き合ったドラマ『ビリオン×スクール』の撮影から。コメディ要素の多いドラマは初めての経験だったので楽しかったですし、“こんな子、うちの学校にもいたな〜”と、思ってもらえるような演技ができたらいいなと臨みました。なにより、セリフはありつつもかなり自由な現場で、あてがき的な要素も多かったので、スタッフさんや同年代の俳優さんと一緒にひとつの作品をつくり上げていく過程がとっても刺激的で。学校で撮影するシーンが多かったのですが、いま振り返っても青春で、宝物みたいな時間だったなと。
今後は、ハードルが高そうな難しい役作りを要求される作品でも、得意の“没入癖”で役を極められたらいいなと思っています。そして、どんな役だったとしても、観る人に“何だこの人は!”と注目してもらえるような役者になれたら。 今は、俳優・モデル業・アーティスト業の3つの軸で自分のなかにある「表現の泉」を満たしている段階なのかなと思っていて。経験したことが私自身にギュギュッと詰まっていく感じが、たまらなくワクワクして楽しいんです。多岐にわたるお仕事に挑戦させていただいているので、それぞれの現場で得た経験を自分の表現の糧にして、今はどれかに絞ることはせず心の赴くままに活動を続けていけたらいいなと思います。それぞれの現場で関わるスタッフさんや応援してくださるファンの方も違うのですが、いろいろな入り口から私のこと知っていただけたらうれしいですし、そうやってまた次の新しいお仕事や挑戦につながったらいいなと思っているところです
― 自分に誠実であるために、心がけていることは?
すべての活動において自分を作らず、ありのままでいること……かな。モデルでは少しクールな自分が見せられたり、アーティスト活動では笑顔が多いし、お芝居は役の性格が出るからそれぞれ違うんですけど、どれも本当の自分。偽った姿を見せるのは嫌だし、常に素でいるようにしています。ありのままの自分を出し過ぎて、時に「はしゃぎすぎ!」とマネージャーさんから怒られることも(笑)。あと、当たり前のことですが、人によって態度を変えることは絶対にしません
― お花は好き?
大好きです♡ お花好きの母が、女の子が生まれたら花に関連した名前をつけたいと思っていたみたいで。夏生まれの私は、ジャスミン(茉莉花)の莉をとって「莉渚」に。そのこともあり、ジャスミンの花や香りには無条件に惹かれちゃいます。また、祖母が家庭菜園でお花を育てていたので、お花は子供のころから身近な存在。しょっちゅうお手入れを手伝っていました!
― お花を買うことはある?
誰かに気持ちを伝えたい時に贈り物として買うことが多いですね。母の日にカーネーションを贈ったり、父の日にはフローリストさんと相談しながら、白いお花のブーケを作っていただいたり。父が地方に単身赴任中なので、私や母、姉弟の暮らす自宅に父が帰ってくる時は気合いを入れてごはんを作り、更に食卓にお花を飾って盛大に歓迎します♪
― 花束にまつわる思い出を教えて!
『ヤクザと家族 The Family』のオールアップ時、ご自身の撮影がない日だったにも関わらず、主演の綾野剛さんが現場へ駆けつけて花束を渡してくださったことは忘れられません。当時は毎日がいっぱいいっぱいで頭が追いつかないくらいだったけど、あの花束を思い出すたびにたくさん学ぶことができた日々が蘇ってきます。綾野さんと尾野さんのシーンをそっと見学させていただいたり、尊敬するたくさんの方の演技を観られて幸せでした。
私というよりも弟のエピソードになってしまうのですが、弟が幼稚園児だったころ少し目を離した隙にいなくなってしまったことがあって。母と家の中を必死に探してのですが見つからなくてあたふたしていたら、玄関でモジモジしている弟を見つけて。少ないお小遣いを片手に近所のお花屋さんに母の日のカーネーションを一輪、一人で買いに行っていたんです。すごく驚きましたし、泣きながら弟を怒る母の姿もすごく鮮明に記憶に残っています
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撮影に協力してくれたのは……
ハッカニブンノイチ
東京・豪徳寺にて、夫婦で経営されている「花と音楽 8 1/2(ハッカニブンノイチ)」。フェデリコ・フェリーニ監督の名作が由来で、こぢんまりとした店内ながら、色とりどりで新鮮なお花とアナログレコードという、一風変わったマリアージュが楽しめる。花も音楽も店主のセンスとこだわりが詰まっており、心躍る空間に。
\ ラッピングはこんな感じ /
Profile
小宮山莉渚
俳優・モデル
2005年7月14日生まれ、宮城県出身。ノンノ専属モデル。映画『ヤクザと家族 The Family』『違国日記』に出演するなど、俳優としても活動中。ダンス&ボーカルグループ・MISS MERCYのRINAとしても活躍している。
Staff Credit
モデル/小宮山莉渚 撮影/SHOTARO YAMAGOE ヘア&メイク/北原果(KiKi) スタイリスト/石田綾 取材・文/大塚悠貴 web編成/non-no編集部