#前田拳太郎と沼るマンガアニメ道!

俳優 前田拳太郎さん連載【#前田拳太郎と沼るマンガアニメ道!】vol.5 憧れの漫画家 咲坂伊緒先生に会ってきた!!(前編)

2024.08.14 更新日:2024.08.15

大のマンガ&アニメ好きの俳優・前田拳太郎さんがノンノ読者にオススメの作品について熱く語る連載。今回は、前田さんが以前からファンと公言している、少女マンガ家・咲坂伊緒先生との夢の対談が実現!! 『ストロボ・エッジ』や『アオハライド』、『思い、思われ、ふり、ふられ』など“少女マンガ沼”にハマるきっかけとなった作品の魅力や、咲坂先生への熱い思いを、しゃべり倒します!

俳優・前田拳太郎さんと漫画家・咲坂伊緒先生のツーショット

前田 『ストロボ・エッジ』、『アオハライド』、『思い、思われ、ふり、ふられ』、『サクラ、サク。』など、咲坂先生の作品が本当に大好きなので、今日はお会いできてうれしいです!

咲坂 私もうれしいです。男性読者さんとお話しできることはあまりないので新鮮です。

前田 緊張でなかなか目をあわせられません……(汗)。

咲坂 私はその隙に前田さんの美しい造形を脳内でなぞっています(笑)。

前田 そんなそんな……!(照) 咲坂先生にお会いできると思うと緊張してしまい、昨日の夜は眠れなくて。『アオハライド』全巻を読み返していました。

アオハライド 1/咲坂 伊緒

咲坂 すごい! ありがとうございます。初めて読まれたのはいつですか?

前田 中学生の頃に『アオハライド』の実写映画が公開されたのがキッカケで原作を手にとりました。僕が最初に読んだ咲坂先生の作品です。

咲坂 なるほど、映画キッカケなんですね! 男性の方が少女マンガを手にとるキッカケってなんだろう、どうしたら男性の方にも読んでもらえるのかなと思っていたんです。

前田 僕は恋愛ものの映画が公開されたらとりあえず見にいくタイプなので、メディア化は原作を手にとる一つのキッカケかもしれません。やっぱり男性にも読んでほしいですよね。

咲坂 ですね。少年マンガは女性の読者も多いのに逆はあまりないよなぁ……と。

前田 少年マンガは作品によっては女性読者が多いものもあったりするけど、少女マンガはそのパターンはあまりないですよね。

咲坂 そうなんです。だから今日は前田さんがどこに惹かれて読んでくださっていたのか、興味シンシンです!

漫画家・咲坂伊緒先生と対談中の俳優・前田拳太郎さん

前田 『アオハライド』を読んだ後、その前に連載されていた『ストロボ・エッジ』もすぐに読みました。僕はこの作品に出ている安堂拓海くんが大好きで! この作品ではいわゆる当て馬キャラというか。

『ストロボ・エッジ』©咲坂伊緒/集英社

咲坂 ですね。当て馬キャラは作者的にはどの作品においてもすごくわかりやすい行動をとってくれるありがたい存在なんです(笑)。その中でも安堂は特に動いてくれたので、連載中に1分も言動に悩まなかったキャラクターです。

前田 えっ、そうなんですか!

咲坂 はい。よく作家さんが“キャラが勝手に動く”っておっしゃるじゃないですか。その言葉通りのキャラクターでした。

前田 本当にそういう現象があるんですね。

咲坂 その感覚を初めて理解できたのが安堂だったかもしれないです。

前田 安堂くん、すごい! 安堂くんがヒロインの仁菜子ちゃんと休日に出かけるシーンで、髪を片耳にかけるヘアスタイルをしている時がありますよね。いつもとちょっと違う雰囲気で。

『ストロボ・エッジ』©咲坂伊緒/集英社

咲坂 ありましたね!

前田 安堂くんになりたくて、中学の時にマネしていました(笑)。

咲坂 えー! うれしい。

前田 高校が舞台の作品だからいつもは制服を着ているけど、そのシーンは私服姿が新鮮で、すごく印象強く残っています。

咲坂 私服シーンは確かに珍しいかも。

前田 描くのも新鮮で楽しかったりしますか?

咲坂 制服自体が好きなので、制服を描いている時のほうが楽しかったりするんですよね。だから新鮮っていう気持ちでいうと衣替えをした時ですかね。

前田 あー、それもいいですね! 昨日までブレザーを着ていたのにっていう。

咲坂 そうです。ブレザーを脱いだぞっていう新鮮さ(笑)。特に中間服の時に腕まくりをさせるのが好きです。

ストロボ・エッジ 1/咲坂 伊緒

咲坂 前田さんはご自身がイケメンなのはもちろんですが、イケメン役を演じることも多いですよね。

前田 恐れ多いです(笑)。役で演じる時は、ビジュアル面はもちろん、たたずまいもイケメンにみせなくてはいけないのがプレッシャーでもあります。

咲坂 前田さんが通っていた学校は共学でしたか?

前田 はい! 共学でした。

咲坂 えー、じゃあキャーキャー言われてそうですね!

前田 いや〜、なかったですねぇ。

咲坂 本当ですか? 高嶺の花的存在で隠れてキャーキャー言われていたのかも。少女マンガっぽいエピソードもまったく?

前田 (じっくり考えて)……あ、高校の文化祭ですかね。女装コンテストがあったんです。

咲坂 すでにマンガっぽい!

前田 出場してみたらそこで1位をとれて。いろんな人に「写真撮ってください」って言われたことがありました。その後の体育祭でもまだその時の勢いが残っていて、声をかけていただけて。体育祭ではリレーのアンカーを務めたんです。

咲坂 ヒーローの条件がそろっていますね!

前田 僕のチームはダントツに速くて、後ろ向きで走っても1位をとれるだろうっていうくらい差もついていたんです。そんないい条件がそろっている中、僕がバトンミスをしてしまって。

咲坂 えっ……!

前田 運動場の真ん中くらいまで転がったバトンをとりにいった結果、2人ぐらいに抜かれるという(笑)。チームのみんなに土下座して、それで文化祭から続いていた勢いは完全に落ち着いてしまいました。

咲坂 いい話(笑)。青春の思い出ですね。

前田 ある意味、忘れられない思い出になっています(笑)。

前田 先生はたくさんの魅力的なイケメン男子を描かれていますが、描くのは難しかったりしますか?

咲坂 そうですね。自分では大丈夫なつもりで描いて送り出したのに、(読者に)全然刺さってないぞっていうこともあります(笑)。

前田 え、本当ですか? 想像つかないです。新しいキャラクターを考える時はまた違った緊張がありそうですね。

咲坂 そうですね。結局のところどこまでいっても私の絵ではあるし、自分のクセみたいなものがあるので、どう変化をつければいいかというのは新しいキャラクターを生み出す時に考える部分ではあります。

前田 キャラクター作りをする時は、モデルとなる人やテーマのようなものがあったりするのですか?

咲坂 作家さんによるとは思いつつ、私自身はリアルな人をモデルにすることは少ないです。ただ髪型とかは、テレビなどで偶然みかけていいなと思った人を検索することはあります。

前田 性格的な面を参考にしたりすることもあまりないですか?

咲坂 そうですね。最初から誰かをモデルにしていると、常にその人が頭の中をウロウロしてしまって作品に没入できなくなるので、生身のモデルは置かないようにしています。

咲坂 元々のモデルはいなくても、描き進めていく中でふと“あ、あの人に似ているな”と思うことで、キャラクター像が掴めることもあります。それこそ『思い、思われ、ふり、ふられ』の和臣がそうでしたね。同級生の言動が和臣っぽいかもと思って。

前田 同級生! どんな方だったんですか?

咲坂 クラスのメンバーで遊びにいった時、日が暮れて少し寒くなったことがあって。みんなが薄着をしている中、ジャケットをはおっていた男の子が、私だけに上着をかけてくれたことがあったんです。

前田 えー、すごい!

咲坂 っていうリアクションになりますよね(笑)。どういうつもりなのかっていう。でも本当にどういうつもりもなかったみたいで。

前田 えっ!?

咲坂 近くに寒そうなやつがいたから貸したっていうだけ(笑)。

前田 罪深い!

咲坂 そうそう。

前田 本音を言えなかった、とかではないんですか?

咲坂 じゃないんですよ。その時の彼の行動がすごくおもしろかったなと覚えていて、モデルにはしていないけど、ふいに“和臣はこういう行動をするタイプかも”と、キャラクターのイメージが膨らんでいくことはたまにあります。

『思い、思われ、ふり、ふられ』©咲坂伊緒/集英社
思い、思われ、ふり、ふられ

6月8日生まれ。1999年にマンガ家デビュー。美しさとリアリティが共存する絵柄と、感情豊かな心理描写で多くのヒット作を生み出す。『ストロボ・エッジ』、『アオハライド』、『思い、思われ、ふり、ふられ』など実写映画化作品も多数。現在、「別冊マーガレット」で最新作『ユメかウツツか』が連載中。

人とうまく話せないのが悩みの高校1年生の宝生いろは。彼女の心のよりどころは、高校の受験勉強で通っていた図書館で出会った先輩の阿久津想。同じ高校に入学するも想を見つけられず、クラスメイトとの距離も縮められないままで落ち込む日々。そんなある日、ずっと欠席していたクラスメイトとして、阿久津想が登校してきて……!? 気になるストーリーは「別冊マーガレット」でチェック!

もうひたすら感動の連続でした。僕が少女マンガを読むようになったのは、咲坂先生の作品があったから。先生のキャラクター作りの話は役者として1つの参考になりましたし、先生の作品への向き合い方も知ることができて、貴重な1日になりました!

Profile

前田拳太郎

俳優

1999年9月6日生まれ、埼玉県出身。劇団EXILEのメンバー。2021年に俳優デビュー。同年、『仮面ライダーリバイス』で、五十嵐一輝/仮面ライダーリバイ役で主演を務めた。その後も、ドラマ『女神の教室〜リーガル青春白書〜』や映画『劇場版 美しい彼~eternal~』、ドラマ『わたしのお嫁くん』など、話題作に立て続けに出演。放送中のテレビ朝日シン・時代劇ドラマ『君とゆきて咲く〜新選組青春録〜』(毎週水曜深夜0時15分〜)では、奥智哉さんとW主演を務める。前田さんは鎌切大作役を演じる。8月20日(火)夜7時30分~放送のNHK総合ドラマ「ダーウィンが行く!?」に出演。

Icons made from svg iconsis licensed by CC BY 4.0