#前田拳太郎と沼るマンガアニメ道!

【#前田拳太郎と沼るマンガアニメ道!】vol.7『SAKAMOTO DAYS』朝倉シン役声優・島﨑信長さんとスペシャル対談(前編)

2025.03.15

幼いころからマンガやアニメが大好きな俳優・前田拳太郎さんが“沼る作品”をナビゲートする連載。今回は、現在放送中のアニメ『SAKAMOTO DAYS』で、元最強の殺し屋・坂本の部下【朝倉シン】を演じる声優・島﨑信長さんと対談! 前編では作品やキャラクターの捉え方について熱いトークを交わします。

声優島﨑信長さんと前田拳太郎さんのツーショット

前田 今日は貴重な機会をありがとうございます! アニメも見させていただいていて、アクションシーンがすごくかっこいいです。

島﨑 こちらこそありがとうございます!

前田 『SAKAOTO DAYS』は、僕的にはすごく珍しい作品だと思います。最近の漫画やアニメって“主人公の成長もの”か、“主人公が最強もの”のどちらか2つに分かれることが多いように感じていて。

島﨑 そうだね。主人公最強って今多いよね。

前田 はい。でも『SAKAOTO DAYS』はその両方が楽しめるのがおもしろいな、と。最強の坂本太郎と、成長してく朝倉シンと……どちらの視点でも見られる、いいとこどりのお話だなと思っています。その中で島﨑さんが演じるシンの声、最高です‼

島﨑 いやいや……照れ臭い(笑)。

前田 実は原作を読んでいるとき、僕の中で一番、声の想像がつかなかったのがシンなんです。セリフも多いですし。だからこそ島﨑さんが演じると発表された時は“そうきたか!”って。

島﨑 確かに、近年の僕が演じた役を考えると、お芝居的に少し意外性のあるキャラクターかもしれない。

前田 最近だと『ブルーロック』の凪誠士郎や『WIND BREAKER』の蘇枋隼飛のイメージが強かったので、これから成長していくキャラクターを島﨑さんが演じられるのがすごく意外でした。

島﨑 強い役どころが多かったよね。でも結局アニメのキャスティングって、バランスが大事なんです。

前田 そういうお話、すごく聞きたいです!

声優島﨑信長さんのお話を聞く前田拳太郎さん

島﨑 僕自身、シン役のオーディションを受けはしたものの、『SAKAMOTO DAYS』という作品のキャラクターを見た時に、自分が成長過程の若いポジションで入るバランスになるとは思っていなかったんです。でもシン役決定のご連絡をいただいた時に、坂本を演じるのは大先輩の杉田智和さんだと知って、“このバランスなら、僕の演じるシンがどんなに大きい声で喚いても、杉田さん演じる坂本がひと言発するだけで格の違いがでるな”と思いました。もしもシンを演じるのが新人声優だとしたら、坂本を演じる声優も少し若くなるのかなと思います。

前田 そういうことなんですね!

島﨑 それとシンのキャラクターについて言うならば、シンって意外と年齢は重ねているんですよね。

前田 ぱっと見、高校生くらいに見えるけど実は20歳を超えてるんですよね。

島﨑 そうそう。『SAKAMOTO DAYS』は、殺し屋がイチ社会人として成立しているすごく変わった世界。その中でシンは、殺し屋という社会に出て一人前に生活できてる。いっぱしの社会人なんです。

前田 なるほど!

島﨑 でも坂本みたいなトップオブトップを目にしていて、自分でも努力はしているけど、トップには届かないのもわかっている。そういう歴史がのっているキャラクターだなと思うと、僕がやる意味があるのかなって。もしもシンが、まっさらな高校生で「ここから殺し屋を始めます」みたいなキャラクターだとしたら、僕じゃなかったかもしれない。

前田 すごい。そういう分析ってオーディションの段階からされているんですか?

島﨑 キャストのバランスについての分析はしてないけど、シンという役の掘り下げはしました。その時点で、意外と経験値を積み重ねている人だなと思ってはいましたね。向こう見ずに夢を見てキラキラできる人ではないなって。シンのそういう人間味があるところも好きなんですよね。

前田 僕はシンというキャラクターをそこまで深く理解できていなかったです。作品と役を客観的にとらえていらっしゃってすごく勉強になります!

声優島﨑信長さんと笑顔で語り合う前田拳太郎さん

前田 僕は声優にも挑戦したくて、オーディションを受けたりしているんですけど、自分にどういう役が合うのかあんまりわかっていないのが悩みで……。

島﨑 なるほどね。それは、いろいろやっていた結果としてわかることだと思う。結果や実績を蓄えたうえで「あ、この役が決まるんだ」とか「あの役の評判がいいからかな」とか。後から自分の適性に気がつくことも多いよ。

前田 積み重ねが大事なんですね。

島﨑 そう。でも僕自身は昔から幅広くやりたいと思っていたんだよね。その結果、声の大きいやつから小さいやつ、熱いやつから冷たいやつ、かっこいいやつからおもしろいやつまで。合う合わないにとらわれすぎず、案外幅広い役をやらせてもらってます。

前田 島﨑さんの役の幅広さ、めっちゃかっこいいです!

島﨑 あはは、ありがとう(笑)。この世界に入って、声のお芝居にのめりこんだときに “キャラクターを人間にしたい”っていう欲求が生まれたんだよね。アニメって割と“記号”が強いので、その記号の型にあてはめてやればそれなりに成立はするんです。例えば今回演じるシンだったら“後輩”とか“犬科”とか。そこにプラスして“ヤカラ感”とかさ。

前田 キャラクターの属性的なことですね!

島﨑 そう! キャラクターの記号をたてていけば、意外とお芝居が成立したりもするんだけど、本当にそのキャラクターが生きていたらどんな感じかなっていうのを僕はやりたいんです。

前田 うわぁ、すごい。かっこいいです!

島﨑 クールな役どころでもクールなりに実はすごい熱いことを思っているとか、ベースはクールだけど怒る・泣くみたいな揺れがあるとか。一つの役の中でも絶対振り幅があるはずで、そこを演じたいなって。記号で考えると同じでも、細かく考えていくと全然ちがう役になるからね。

前田 その振り幅は原作や台本を読みこむことで見つけていくんですか?

島﨑 そうだね。だから僕、同じタイプの役が続いても飽きたことがないんですよ。似た属性の役が続くと飽きるって、たまに聞いたりもするんですけど。僕の場合は毎回それぞれ人間を作っているから飽きないんです。

前田 すごすぎる。僕も全く同じ役ではないけど、“前にやったこの役と近いな”とか、一瞬よぎったりします。

島﨑 俳優さんの場合はビジュアルの影響もあるだろうから、よりそういうことが多そう。

前田 でも島﨑さんのお話を聞いて、考え方が変わりました!

島﨑 よかった! 何かその役独自のものができたら楽しいよね。

12月6日生まれ、宮城県出身。2009年に声優デビュー。2013年第7回声優アワード新人男優賞、2021年第15回声優アワード助演男優賞を受賞。演じた主な役は、『ブルーロック』凪誠士郎、『東京リベンジャーズ』黒川イザナ、『忘却バッテリー』千草瞬平、『WIND BREAKER』蘇枋隼飛など

アニメ『SAKAMOTO DAYS』キービジュアル

かつて“最強の殺し屋”と言われた男・坂本太郎。しかし彼は恋をして引退。結婚、我が子の誕生を経て幸せな生活を送る中で、ふくよかな体型に! そんな彼を、かつての部下でエスパーの朝倉シンが組織に戻らせるために訪ねてくる。断固として殺し屋には戻らないと決めている坂本だったが、いつの間にか10億の懸賞金がかけられていて!? 次々と刺客がやってくるように! 原作マンガは『週刊少年ジャンプ』にて2020年に連載スタート、コミックスは20巻まで発売中。TVアニメはテレ東系列ほかにて毎週土曜23時から放送中。

昨年発売したフォトブックでアニメキャラのコスプレをする機会があったのですが、その時に僕が選んだのが『ソードアート・オンライン アリシゼーション』で、島﨑さんが演じたユージオだったんです! 勝手に運命的なものを感じて、お会いできてうれしかったです!

Profile

前田拳太郎

俳優

1999年9月6日生まれ、埼玉県出身。劇団EXILEのメンバー。2021年に俳優デビュー。同年、『仮面ライダーリバイス』で五十嵐一輝/仮面ライダーリバイ役で主演を務めた。2024年にはオリジナル長編アニメーション映画『ふれる。』の井ノ原優太役で念願の声優デビューを果たした。

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