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トピック
2025.02.01更新日:2025.02.12
将来を考えた時、何を優先するのが自分らしいのか分からなくなることもきっとあるはず。最終的に「普通の就活」からではなく、今の道に進んだ先輩に、夢を叶えるまでに考えていたことを聞きました!
長く続けた芸能活動から一転、料理家の道へ
料理家
長谷川あかりさん
小学5年生から20歳まで芸能の仕事をしていた長谷川さん。中学2年生までは、NHKの子ども向け番組『天才てれびくん』にレギュラー出演し、レギュラー卒業後は俳優として活動。料理家に転身するきっかけは、自分の「好き」を見直したことだったという。雑誌のレシピ監修や書籍発売など、活躍に至るまでのヒントはその分析力にもアリ?
長谷川あかりさんの経歴
22歳
芸能界を引退。栄養学を学べる短大へ入学
24歳
さらに学ぶために、四年制大学へ編入
25歳
スープ作家・有賀薫さんのアシスタントに就き経験を積む
26歳
大学卒業。国家資格である管理栄養士の試験に合格
26歳
自身初の書籍『クタクタな心と体をおいしく満たす いたわりごはん』(KADOKAWA)発売
長谷川あかりさんが料理家に転身するまで
芸能コースがある高校に進学後、長谷川さんは大学を受験せず22歳まで仕事を続けた。
「分かりやすい“子役時代”が終わった高校生から仕事が少しずつ減少。時間ができて料理にハマったのはその頃でした。古本好きの父に連れられ、書店で父を待つ間に出合ったのがレシピ本。芸能の世界には絶対的な正解がなかったけれど、レシピどおりに料理を作ると喜んでくれる人がいることがうれしかったんです。芸能の仕事から方向転換したのは20歳の時。7歳上の社会人のパートナーと婚約し、仕事の悩みも聞いてもらっていました。長年続けてきた仕事を辞める勇気がないことなど胸の内を明かすと、彼は『がむしゃらに頑張ってきた自分を認めて信じれば、どこで何を始めても大丈夫』と客観的にアドバイスをくれたんです。次第に自分自身を俯瞰できるようになり『同世代はみんな大学生。自分もなんでもいいから勉強したい』と、次に進む勇気が芽生えてきました」
「なんでもいい」から「料理」を選んだのも、夫からの一言がきっかけ。
「勉強をしたいけれど、何を学べばいいのか迷っていた時に夫から『料理をする私が一番楽しそう』だと言われたんです。さすがに入学前は料理家になろうとは考えていませんでしたが、今から勉強をするなら好きなことを学びたい……でも4年間も学び続けられるか心配で、最初は栄養学を学べる短大へ入学。その後四年制大学に編入しました。
とにかく新しいことを覚えるのが楽しくて、栄養学を猛勉強!
「いざ学び始めると、想像以上の忙しさで、日常生活がおろそかに。それまで大好きだった毎日の料理にも義務感や、面倒くささが生まれたんです。外食が増えると体調が優れなくなり、時短料理で改善しようとすると簡単だけど気持ちはアガらない。時間に余裕があり“趣味の料理”をしていた時はあんなに楽しかったのに、“家事の料理”になった途端なぜか苦しい。『趣味』と『義務』の間を埋められる家庭料理をさまざまな本で調べても、私が知りたいその『スキマ』を満たすレシピが少ないと感じたんです。もやもやしたまま、編入して3年生に。周囲が進路を考える時期に自分がやりたいことを改めて考えた結果、この課題を解決したいとフリーランスの料理家の夢が見えてきました」
目標を見つけるとすぐに行動。スープ作家・有賀薫さんのアシスタントに就き、その半年後に大学を卒業、管理栄養士の資格を取得した。
「私が家庭料理を通して解決したかった課題に取り組まれていると感じたのが有賀さんでした。何度もHPをのぞき、こまめにアシスタント募集がないかチェックしていたところ、インスタで募集のストーリーズが投稿されメッセージを送付。届いた2〜3の質問に、私はワード3ページ分の暑苦しい思いをぶつけました(笑)。その熱意が伝わったのかアシスタントに採用。稼働は週1くらいだったのと、大学の勉強も一段落つき、手持ち無沙汰で始めたのが自己分析でした」
大学卒業後、長谷川さんが実際に記入した「SWOT分析」(上)と「マンダラチャートの一部」(下)。
アシスタントに就いて初めて手伝った書籍には思い出たっぷり
「レシピを届けたい架空のターゲット像を設定する『ペルソナ分析』や、自分の強み・弱みなどを考える『SWOT分析』、目標達成のためのシートを作る『マンダラチャート』など、分析本を読みながら気持ちを視覚化しました。ひと通り分析すると、私の“スキマレシピ”を届けたい人は、料理本を参考に丁寧な料理を作る人と、SNSで時短料理を探す人の間にいるのでは?という思考に着地。当時のTwitter(現X)で、その分析をもとにしたレシピの投稿をしたら、ユーザーから『私の料理=最小の手間で気分がアガるレシピ』と反応があり、届けたい人に思いが届く幸せを感じられました。読者の皆さんのなかには、好きを仕事にすることが幸せの近道だと思う人もいるかもしれませんが、私の場合、料理は好きだけどちょっと面倒くさいこと(笑)。でもその状況を改善させたい気持ちに共感していただき、夢だった書籍も発売できました。自分が100%やりたいと思える仕事を見つけるのは難しいですが、少しの『欲』と、少しの『イヤ』が同居したスキマの仕事も案外楽しいものです」
初めてバズりを実感したレシピ投稿
2025年3月号掲載
Staff Credit
撮影/上村透生 取材・原文/宮田彩加 web構成/轟木愛美 web編成/ビーワークス
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