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トピック
2025.09.06
「メラノCC」の作り手に直撃
"キレイに寄り添う" 化粧品業界の先輩interview
ノンノ世代の"好き"に携わる先輩たちにインタビューする不定期連載。第3弾では、大人気の化粧品を作る先輩にお話を伺いました!
ロート製薬株式会社
スキンケア製品開発部 開発2グループ板尾琴子さん
1899年に創立した、大阪府に本社を置く製薬会社。スキンケア、目薬、胃腸薬、健康食品など幅広い分野で商品を展開。「メラノCC」や「肌ラボⓇ」「スキンアクア」シリーズなど、ノンノ読者からも絶大な支持を得るヒット化粧品が多数。

肌が原因で自信を持てなかった自分のような人の力になりたい
Career History
2021年 大学(工学部)卒業
2023年 大学院(工学研究科)卒業
2023年 ロート製薬株式会社に入社
兵庫県で生まれ育ち、将来は製薬に携わりたいと考え大学と大学院に進学。新卒でロート製薬に就職し現職に。大阪本社勤務。
主な業務内容
——大学院で学んでいたことと、ロート製薬に入社するまでの経緯を教えてください。
「昔から父親が病気がちで、薬の副作用に苦しんでいました。父親のような人を救いたいと、大学院でドラッグデリバリーシステムについて研究。そこで医薬品の原料は化粧品や食品などにも応用できると学んだことが、興味の幅が広がるきっかけに。就活では化学メーカーなどBtoBの会社も検討しましたが、届けたい人が明確で、最後まで商品を形作ることができるところに惹かれてロート製薬の研究開発職に就職しました」
——スキンケアの製品開発を志望した理由は?
「私自身、ニキビに悩んでいた過去があり、自分に自信が持てずにいたのですが、大学生の時に初めてノンノを読み、母とスキンケアアイテムを買いに行って肌のお手入れをするようになると、少しずつ毛穴やニキビのトラブルが改善されていって。自分を大切にすることで自信が増し、人との関わりや行動範囲もぐんと広がって、毎日がどんどん楽しくなっていったんです。スキンケア製品の開発に携わることで、かつての私と同じように、内にこもってしまっている人たちが少しでも明るくなるためのお手伝いをしたいと思いました」
——入社後、「メラノCC」シリーズの担当になった当時の気持ちは?
「大人気シリーズに携われることがうれしかった一方、プレッシャーも感じました。たくさん売れているのは、皆さんが気に入ってくださっていることの表れなので、それを変えるのは責任重大だな、と。より多くの人に使ってもらえる製品を作れるように精いっぱい努力しよう!と気持ちを引き締めて臨みました」
——具体的な仕事内容を教えてください。
「今回の『メラノCC』リニューアルでは、化粧水の開発担当を務めました。主な仕事内容は、大きく分けて5つ。ファーストステップは、新製品の技術設計です。マーケティング担当と会議を重ね、ターゲット層のお客さまに合うように技術的な提案をします。次は、処方検討。どんな成分をどれくらい入れるか、どのような作り方にするかを考える、料理のレシピ作りのようなイメージ。成分配合を変えながら試作を繰り返して、効果・使用感の両面から検討します。3つ目は品質面の確認で、安全性、製剤・有効成分の安定性、防腐効力などを各部門と協力しながらチェック。4つ目は、工業化検討。実験室では数百グラム単位で作っているものを、工場で数百キロ単位で作るための量産化に向けた製造方法の検討です。量や温度が変わることで成分の安定性が変化しないかどうか、効率よく製造するためにはどうしたらいいのか、といったことを製造部門と実際に工場に入り確認して、製品化に進みます。5つ目の、製品完成後の販促サポートも、開発者の大事な仕事。営業やマーケティング、広報といった社内のさまざまな部門と連携しながら、お客さまに商品の魅力を届ける取り組みにも並走します。このように、製品が生まれる前から、発売された後のお客さまとのコミュニケーションまで、広く携われるのはロート製薬の製品開発職ならでは。そのおかげか、開発者全員、商品への思い入れがとっても強いんですよ。私も、初めて担当した『メラノCC 薬用しみ対策 美白化粧水』が、我が子のようにいとおしいです!」
技術提案
処方検討
品質面の確認
工業化検討
販売
「新製品の技術提案から販売までの期間は商品によってさまざま。製品ごとにかかる労力も時間もまったく違いますし、時流に合わせて開発を急ぐことも。処方検討から工業化検討までは同時進行するため、スケジュール管理が大切」
——製品開発の楽しさは、どんなところですか?
「私が好きなのは、処方検討のプロセス。原料それぞれに特徴があり、それらを学びながら選んだり、成分の組み合わせを考える工程が、とにかくおもしろいです! 配合を少し変えるだけで、テクスチャーも効果もガラッと変わるんですよ。化粧水を作っている間、日々のスキンケアでサンプルを試していたら、同期から、"最近、肌が明るくなったね!"と言われたことがあって。自分が開発したものでいい変化を実感できてとてもうれしかったですし、早くお客さまにお届けしたい、とやりがいを感じました」
——逆に、大変さを感じるのはどんな時?
「工業化検討に一番、苦労しました。ベテランの先輩方は、工場で製造することを想定した上で検討を行うのですが、私にとっては未知の領域で。初めて工業化検討を行うなかで、成分の安定性や製造効率などの問題が次々と浮上し、頭を抱えました。先輩方に相談しながら進めますが、最終判断を下すのは担当である私。信頼して任されることがうれしい半面、失敗するのが怖くて、不安な日が続きました。でも今は、社会人としての責任を学べた、いい経験だったと思います!」
——開発のアイディアやインスピレーションを得るために、実践していることはありますか?
「店頭やSNS、学会などでの情報収集や、マーケティング担当との連携などを通じて、未来ではどんな商品が必要になるか?を常に考えています。化粧品原料の展示会にも積極的に出席していて、先日は韓国へ出張しました。たくさんの新しい成分や情報に触れることで、アイディアが膨らむんです。ただ、研究視点で自分がおもしろいと感じたことを、他の人にうまく説明できないという悩みも。そんな自分を変えるべく、日々この技術や製品はお客さまの肌にとってどういいのか、をきちんと整理して、提案につなげられるように頑張っています。また、そういった意識の変化から、自分自身の美容に対する感度も上がるように努力中。以前は気に入ったスキンケア製品を使い続けていましたが、今は自社・他社を問わずさまざまなアイテムを試すように。入社後、数種類のサンプルを比較する際は、肌面積の広い腕の内側の皮膚に並べてなじませると学んだのですが、つい店頭でも同じように試してしまい、職業病だな〜!と(笑)」
——今後の目標を教えてください。
「製品開発者として、自分の強みを見つけること。近年、美容医療が身近になっていますよね。そうすると、今までさまざまなスキンケア製品を選び試していたお客さまが、スキンケア製品ではなく、美容医療を選択することも予想されます。その未来で生き残れるスキンケア製品は、"裏切らない一本"になるはず。できるだけ多くの人に選んでいただける、"裏切らない一本"を作るのは私でありたいし、その一本を作るために自分の得意分野を見つけて力をつけることが目標です」
\初めて開発担当した製品!/

「初めて担当した、化粧水のリニューアル。8月30日に発売予定で、お客さまの反応がとても楽しみです!」
——"好き"を仕事にすることのメリットは?
「好きなことだから、どんなハードルも乗り越えられる! 化粧品業界ってキラキラしてそうですが、実際は細かい記録作業や重い原料を量り取るなど、泥くさい部分も多いです。そういった作業も楽しめるのは、好きなものを作っている充実感があるから。好きなものって自分にとっては偉大な存在だし、こんな大きな仕事、私が担当していいのかな?と怖くなることもあるけど、満足する製品が完成した時の達成感は格別! 振り返れば、私は昔から医薬品の研究をしたいと考えていたけれど、興味の幅を狭めないでいたから、化粧品開発という職に出会えました。まずはいろいろ挑戦して、本当に好きなことを見つけてほしいです!」

好きなことだから、どんなに地道な作業も楽しめる

白衣をはおりやすいオフィスカジュアル
「勤務中は白衣をはおっており、通勤服に関してはオフィスカジュアルの範囲で自由にファッション&メイクを楽しんでいます。ただし工場に入る時には、厳格な服装規定があります」

「オフィスから実験室や工場に移動する時は、トートバッグにPCや資料などを入れて持ち運びます。気分が上がる柄を数種類ロッカーに常備」

「製剤をすくう際に使うスパーテル。多くの人の意見が欲しいから、いつでもどこでも試してもらえるように、白衣の胸ポケットに入れて携帯!」
就活でやってよかったこと
「いろんな業界の選考に参加したこと。大学時代にも一度、営業職を含めて就活をしたのですが、やりたいことが見つからず大学院へ進学。幅広く検討したからこそ納得のいく就職先を選べました」
Q.化粧品開発の過程で、大切にしていることは?(あっしゅさん・大学4年)
「お客さまの肌を一番に考えること。作る過程から、サンプルの品質を評価する段階まで、お客さまの肌にいいものを作ろう!という意識が根底にあります」
Q.化粧品業界で働くなかで、自分の強みだと感じている武器は?(oaさん・大学3年)
「中学の吹奏楽部で培ったガッツ! 練習を繰り返すなかで学んだ、完璧を追い求めることの大切さは、化粧品の処方検討につながっていると感じます」

2025年10月号掲載
"好き"に携わる先輩たちにインタビュー

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Staff Credit
撮影/千葉タイチ ヘア&メイク/田中陽子(Lila・清野さん) 中軍裕美子(板尾さん) 取材・原文/中西彩乃 web構成/轟木愛美 web編成/ビーワークス