友野一希の「トモノのモノ語り。」

【高橋大輔×友野一希】「滑走屋」、「氷艶」で生まれた絆と見据える未来。【今、共鳴するふたり。】

2024.07.24 更新日:2024.08.07

ノンノ7・8月合併号掲載「高橋大輔×友野一希 今、共鳴するふたり。」のタイトル

友野一希さんがノンノ7・8月合併号企画で尊敬する大先輩・高橋さんと夢のふたり語り。スケート界に歴史を刻み続けるレジェンドと、表現者としての道を究める現役スケーターの今までとこれから。

【二人のこれまで。】"観客を置いてけぼりにしない演技"、共に出場した全日本選手権…二人の世界が交差したターニングポイント

高橋大輔さんと友野一希さんが語る過去

(友野さん)ジャケット¥38500・パンツ¥27500/アタッチメント表参道(アタッチメント) ニット¥8990/アンフィーロ 靴¥94600/パラブーツ 青山店(パラブーツ) ネックレス¥57200・ブレスレット¥41800・リング¥44000/マリハ 靴下/スタイリスト私物 (高橋さん)ジャケット¥55000・シャツ¥27500・パンツ¥29700/CULLNI FLAGSHIP STORE ネックレス¥37400・イヤカフ¥15400/TEN. 靴/スタイリスト私物

出会いは20年前

スケートの原点は、大ちゃんが出場した五輪

友野 初めてお会いしたのは、僕が6、7歳の頃。大阪の臨海スポーツセンターにスケートを習いに行っていたんですが、その時大ちゃんが一般で滑ってらっしゃったらしいんです。

高橋 まじか。すごい前だよね。トリノ五輪の前、いつも練習していた高槻のリンクが閉鎖されて、1年ほど臨海に行ってた時期があったから、そのタイミングかな。

友野 母親が「あれ高橋大輔くんだよ!」って教えてくれたらしいんですけど、僕は当時あまりフィギュアスケートを見ていなかったので分からなくて。ただぼーっとしてたっていう(笑)。

高橋 あはは! テレビで見て始める人は少なかったからそんなもんじゃない? 俺も明確に記憶にある五輪って長野からだもん。

友野 ちゃんと見るようになったのは、トリノやバンクーバー五輪から。明確な憧れを抱いたのもその時期で、この二つの五輪を見て育った僕のスケート観は、大ちゃんたちの世代に影響されたもの。今でもこの時代にいたらどんな選手になっていたんだろうと考えるほど、自分のスケートの原点になっているんです。

"観客を置いてけぼりにしない演技"

スケート人生の道しるべとなった言葉

高橋 俺の中の一希の最初の記憶は、東日本大震災のチャリティー演技会。周りからおもしろいスケーターがいるよと聞いていて、それが一希だった。

友野 地元もホームリンクも違うから、アイスショーで一緒になってようやく。といっても一緒になったのは最後の記念撮影くらい。僕がまだクソガキの頃だったし、ちゃんとあいさつできていたかも怪しいレベルです。

高橋 一希がジュニアの頃はあまり接点がなくてね。

友野 いえ、大ちゃんが引退後キャスターをされていた時、ちょうど僕が全日本ジュニア選手権で優勝し、インタビューをしていただいたんです。

高橋 あ! あの時? 俺はキャスターの仕事に精いっぱいで当時の記憶があんまりなくて(笑)。

友野 ちゃんとお話ししたのはその日が初めてだったのに、"観客を置いてけぼりにしない演技"が僕の魅力だと言ってくれたんです。ジュニア最後のターニングポイントとなる年にそんな言葉をいただけて、本当にうれしかったです。

高橋 そう伝えたことは覚えてる。でもシニアの時かと思ってた!
スケートに限らず、自分の世界に陶酔しすぎてしまっている人を見ると冷めちゃうことがあって。俺は演技を通してお客さまと気持ちを共有したり、その反応を見て演じる側もどんどん乗っていったりするような、互いに響き合うことで生まれる空気感が好き。一希はすでにその素質を持っていると感じてそう伝えたんだと思う。

友野 それは当時18歳の僕がぼんやりと意識していたもので。自分の中に芽生え始めていた感覚が大ちゃんによって言語化され、はっきりと形になった瞬間でした。それ以降、僕がスケートを続けていく上で一番大事にしてきた道しるべのような言葉です。

シングル現役復帰、
アイスダンスへの挑戦

同じ大会に出場できたことで縮まった距離

――高橋さんが男子シングルに現役復帰された後は、同じ大会で戦ったことも。

友野 あの年は大ちゃんが出るからブロック大会に出場したというくらい、めちゃくちゃ意識してました。憧れとはいえど、やっぱり負けたくないという気持ちがあったんですが……。全日本選手権ではバリバリ負けましたね(笑)。

高橋 あはは! 最終グループに入れたらいいなという気持ちだったから、2位になってびっくりした。

友野 ちょうど僕が迷走していた時期で、トップに上り詰めた人の演技を間近で見たことで刺激を受けました。

高橋 自分に必死だったので覚えてないんだよね。今までだったら誰かに勝ちたいって気持ちだったけど、復帰の理由も、自分の成長を楽しみたいという思いだったので。でもダンスに転向してからは一希のことすごい見てたし応援してたよ! 初めて一緒に飲んだりもしたしね。

友野 僕が成長したことで、一緒に大きな大会に出ることが増えて。2022年の世界選手権終了後、(木原)龍一くんとビールを飲んでいたら、ちょうど大ちゃんがいらして。「このまま帰るわけにはいかないな」と、もう一杯ビールを頼んで、「乾杯させてください」って龍一くんと一緒に声をかけたんです。

高橋 うれしかったな。帰国後もショーでどんどん距離が縮まって。『THE ICE』なんかずっと一緒にいたもんね。

友野 はい。その後大ちゃんの現役最後の試合となった国別対抗戦にも一緒に出場することができました。その試合を最後に引退されるのは知らなかったですけど、「1年、1年」とおっしゃっているのは聞いていたので、なんとなくは感じていて。

高橋 そうかあ、でも楽しかったよね。僕もしっかり見てたよ。表現面ではもともといいものを持っていたけど、技術的にも安定してすごく成長したなって。

友野 ありがとうございます(照)。
現役の間たくさんの思い出を共有できて僕にとっては夢のような時間でした。

【二人の現在地。】『滑走屋』での共闘と生まれた絆

高橋大輔さんと友野一希さんが語る現在

アイスショーで生まれた信頼関係

『滑走屋』での共闘

――2月に開催された高橋さんフルプロデュースのアイスショー『滑走屋』。75分間ノンストップといった数々の革新的コンセプトはもちろん、座長を支える友野さんの姿も話題に。

高橋 新しいショーを作るとなった時、一希の存在は最初から構想にありました。ただ現役にとっては前後に大きな大会がある微妙な時期。でも彼なら出てくれるだろう、というか、出てくれないと困るなって(笑)。

友野 連絡が来た時は「そら来た! よし、行きます!」って即決でした。ただフリーの「Halston」を滑ってほしいというお願いには「え? 1日3公演フリー?」とはなりましたけど(笑)。

高橋 申し訳ないとは思ったよ(笑)。

友野 でも僕はフリーを依頼してもらえるのをずっと待っていて、期待もしてた。盛り上げて、じゃなく雰囲気をがらっと変えてと言ってもらえたことが何よりうれしかったんです。

高橋 一希はオールラウンダーで、どんな曲も滑ることができる、ショーに絶対に欠かせない存在。構成上、緩急がないと見る側も疲れちゃうし、盛り上がりに欠けるから、ちょうど流れを変える演目が欲しかった。

友野 「Halston」の前後の雨が降る演出はどこから?

高橋 傘のシーンはその後に続くソロのキャストをひもづける役割。街の雑踏の中のさまざまな人たちの姿を見せることで、これから個々のストーリーが始まるということを示したもの。それに雨の音がばちっとはまったから入れた。

友野 全日本選手権で「Halston」を滑ったとき、最後のスピンで起こる拍手が雨みたいだと言われていて。そこからだと思ってました。

高橋 知らなかった! すごいね。
他にも一希は急遽代役をやってくれたり、アンサンブルスケーターのフォローもやったり活躍してくれた。

友野 大ちゃんが『滑走屋』にかける思いは痛いほど感じていましたし、何かあった時にやるのは自分だろうと。若手の間に入って解決するのも僕しかいないと思っていたので。

高橋 間に入る人が一番難しいよね。

友野 『滑走屋』の前に大ちゃん演出のアイスショー『アイスエクスプロージョン』に出たことで、イメージがあったからできたんだと思います。

高橋 本当に大変なことばかりだったから助かった。初演後はほっとして涙が止まらなかった。

友野 あんなに泣いてらっしゃるのを見たのは初めてでした。

高橋 我慢したけど無理だった。全然うまくいってないんだよ? でもその前まで幕を開けられないって思ってたから。イヤでも本番は近づいてくるし、お客さまも楽しみにしてくださっているし、あとはみんなを信頼してやるしかないって。ぎりぎりまでは頑張るけど、幕が開いちゃったらもうみんなの仕事になる。楽しくやってくれれば、それが伝わるはずって。それ以降は全部もらい泣きだけど、あの時はマジの男泣きってやつ。

友野 気持ち的にもやばかったんじゃないかと思うんです。僕だったらとり乱してしまうほど、ずっとリンクに立ってらした。でもみんなの前ではいつも冷静な姿を見て「じゃあどう返す? もうやるしかないでしょ」と全員の士気が高まった。リーダーとは、こういう人のことなんだなと。

高橋 ううん。みんながいいスケーターだったから。全員が同じ方向を向いてくれたからできたんだなって思う。

友野 それは高橋大輔さんだったからですよ。
そうだ、個人的に大ちゃんと対峙するように滑るシーンは世代を超えた気がして熱かったです。

高橋 あの部分は気持ちよかったよね。

友野 生意気だけど、大ちゃんに負けないようにと、あの瞬間だけはまっすぐ目を見ることができました。

高橋 その気迫は伝わってましたよ。

友野 あんなにもスケートが好きという気持ちが共鳴し合ったショーは他にないです。『滑走屋』を通して大ちゃんと仲間になれたような感覚でした。

【二人の未来と共に目指すもの。】思い描くアイスショーの形と、高橋さんが託すもの。

高橋大輔×友野一希が語る未来

『滑走屋』のフォーマットを使ってスケートを広めていってほしい

Daisuke

大ちゃんの背中を見ながら自分だけの道を模索していきたい

Kazuki

フィギュアスケートのこれから

スケートの可能性を広げていくために

――今後新たな氷上エンターテインメントをつくる上で『滑走屋』がもたらした影響は計り知れず、再演を望む声が後を絶ちません。

高橋 ありがたいです。他の地域でも開催したいですが、オフはリンクが埋まってて。シーズン中は現役スケーターにオファーしにくいという問題も。でもやっぱり同じ演目でもう一回はやりたいよね!

友野 フルキャストでぜひ!

――この大成功を受け、新たに見えたビジョンはありますか?

高橋 今アイスショーってすごく数が多くて、現実問題お客さまが減ってきている。エンタメの世界全体を見ても、どうやったらお客さまに見てもらえるか皆さん悩んでいます。この問題を打開すべく『滑走屋』で新しい挑戦をさせてもらったように、今後もショーの特性をはっきり打ち出して差別化していけば、見る側もその日の気分で選ぶことができるようになるのではないかと。ライバルではあるけど、協力し合って一緒に盛り上げていくのが理想ですね。

友野 僕が思い描くのは、何も知らない人が見ても「スケートってすごい!」と思える興味の入り口となるようなショーです。
それから今回は初めてショーに出るというスケーターも多くて。今まで試合では自分の魅力をなかなか発揮できない人もいたなかで、みんな「スケートをやっててよかった」って口をそろえて言ってたんです。これってめちゃくちゃ幸せなことじゃないですか。競技の枠にとどまらないスケーターの可能性を教えてくれたという意味でも『滑走屋』はまさに理想であり、今後僕もその一翼を担えたら、と思います。

――高橋さんの思い描くショーに自分の夢が重なる?

友野 『アイスエクスプロージョン』に出演させていただいた時から共感できるところが多いと勝手に感じていました。

高橋 新しいアイスショーを作るのは難しいし、今回でフォーマットができたから、違う人がやってもいい。
だから一希くん、いつかやってくれ。一希の人脈と感性で作るものも絶対におもしろいから。

友野 僕の感性……。『滑走屋フィーバー』とか? 安っぽすぎるか(笑)。

高橋 いいと思う(笑)。『滑走屋』を自分だけのものにとどめておくんじゃなくて、もっと広まっていってほしいとも思っているから。
もちろん一希が思い描いているものがあるかもしれないし、これは押しつけでもなんでもないんだけど。

友野 託していただけるなんて……。僕も大ちゃんが作ったものを大切に、未来につなげていけるような役割を担いたい。そしてこれで調子に乗らずちゃんと地に足つけて進んでいくこと。もうそれだけです。
あとは大ちゃんがどうやってショーを作り上げていったか間近で勉強させていただいたので、その背中を見ながら自分の道を見つけていきたいと思います。大ちゃんとまったく同じ方向じゃ、個性が出ないから。

高橋 そんなかしこまって!

友野 ちょうどこの間(宇野)昌磨くんと話してたんですよ。「僕たちは幸せだよ。上には偉大な大ちゃんや(浅田)真央ちゃんがいて、それを見て育つことができた。だから頑張ろう」って。

高橋 (笑)。現役の時は一生懸命やるのが一番。終わった後のことがちらつき始めても、迷わず目の前のことを考えるのが大事!

友野 はい! ベテランとなった今の使命は、若手に置いていかれないよう価値観を更新しつつも、僕らの世代が見てきた独創性に富んだスケートを後輩に伝えていくこと。そしてショーでは、現役ならではの技術で魅せることができるよう励みます。

大ちゃんに聞いてみたいこと。

高橋大輔×友野一希対談での顔を見合わせて笑うツーショット

大ちゃんって負けず嫌いなほうですか?

Kazuki

――めちゃくちゃ負けず嫌い。誰にも負けたくない!
嫉妬心は僕の原動力(笑)。スケートに限らず、舞台を見てもそう。勝ちたい!って気持ちは常にある。

Daisuke

高橋大輔×友野一希対談での仲の良さが伝わるツーショット

大ちゃんの軸となる考え方は?

Kazuki

――大切にしているのは自分がどうしたいか。人に評価されようとしてやってる時は失敗することが多い。

Daisuke

『氷艶hyoen 2024-十字星のキセキ-』で新たな魅力を発信

高橋さん演じるカケルの若い頃を友野さんが熱演

──大きな話題を呼んだ『滑走屋』に続き、二人が再び共演を果たすのが6月8日から始まる高橋さん主演のアイスショー『氷艶hyoen 2024-十字星のキセキ-』。『滑走屋』を経た二人の表現に注目が集まります。

高橋 『滑走屋』は滑りに特化したショーだったけど、こっちは滑りながらさらに演技もあるからなかなか大変だよ。

友野 すでにビビり倒してます(笑)。既存のキャラクターを演じるのではなく、一から作り出すのは未経験ですし。このショーは多様なジャンルが融合した究極のエンターテインメントだから、いつかは、と思っていて、(島田)高志郎が出演すると聞いた時はガチで悔しかったんです。

高橋 氷上での芝居は僕より一希のほうがうまそう。芝居心があるもん。

友野 いえいえ。今回は自分の役柄的にもえらいこっちゃですよ。プロデューサーさんや、宮本亞門さんとはオンラインで面接のようなことをやりました。「ちょっと演技やってみて」と言われ、声を出してみたり、歌ってみたり。そしたら「超イイネ!」って言ってもらえて。

高橋 超気に入られそうだもんね。

友野 もともとミュージカルが好きだし、お芝居もいつかやってみたかった。僕って表現が心底好きなんでしょうね。多様な経験ができるのはありがたいこと。何かに生きると思ってどんなことにも挑戦したいです。

高橋 『氷艶』シリーズは今回で3作目だけど、初心の気持ちで臨みたいと思っていて。5年ぶりですし、セリフ量も以前に比べてかなり多いです。前作よりクオリティを上げていかなきゃというプレッシャーもあって。

友野 セリフの多さに驚きながらボイトレに向かいました。

高橋 歌唱シーンも大変だよね。前回経験して死ぬかと思った(笑)。

友野 あはは! 

高橋 稽古合宿が始まってみないと分からないけど、異種のエンタメの融合ということで、多くの方に見てもらえるチャンス。この5年で培ってきたものを生かし、ここでも新しい自分をお見せすることができるよう頑張ります。

【二人に聞いてみたいこと。】最近のおしゃれ事情から、大学時代の思い出まで!

椅子に座る友野一希さんの肩に手を置く高橋大輔さん

Q スケート以外に情熱を傾けていることは?

友野 今年から一人暮らしを始めたこともあり、暮らしやインテリアにこだわるようになりました。

高橋 俺もヴィンテージショップを回って家具を探すのが好き。最近は観葉植物にもハマっていて、換気と水やりが日課に。ちょっと土が乾いてきたら、お風呂場まで連れていってシャワーで水をかけてあげることも。

友野 こんなにお忙しいのに植物も育てているなんて!

高橋 だって可愛いんだよ。毎日「あ、芽が出てきた」って喜んだり、水分が足りなくて葉っぱが下がってきたら「ごめんごめん!」って慌てて水をあげたり。植物は気の流れに敏感で、俺が疲れてると元気がなくなるから、換気をしてあげて一緒に気持ちを切り替えたり。

友野 生活を共にする存在なんですね。僕も新居に素敵な観葉植物が欲しいなと思っていたところなんです。

高橋 おすすめは、枯れちゃった子を買い取り、再生させて新しい持ち主につなぐという取り組みを行っている「REN」というお店。

友野 そんな素敵なお店が! 今度行ってみます!

Q スケート界きってのファッションラバーの二人。最近のおしゃれ事情は?

友野 古着も好きだけど、最近はモード系を買いがち。大ちゃんがどこで服を買っているか気になります!

高橋 服はいつも同じセレクトショップだけど、今ちょっとずつ古着に移行中。

友野 あら! ようこそ(笑)。

高橋 しかもレディースの古着! 詳しい一希にいろいろ教えてもらいたいな。

友野 大阪に「11747391」というお店があって……。

高橋 待ってちょっと調べる。
(スマートフォンで検索中)なんかこれ、飲み会の会話みたい(笑)。

友野 確かに(笑)。ここはセレクトがかっこいいので、行くだけでおしゃれになれるんです。

―― 今度一緒にお買い物企画とかいかがですか?

友野 いやいや、恐れ多いです!

高橋 楽しそう! 爆買いするぜ! 僕は買い物めっちゃ早いよ! とりあえず全部見て、気になったものを試着して「これとこれ買います!」って感じ(笑)。

友野 僕は一生迷ってて時間がかかります。なんで悩んでんだろう、どうせ買うのにって思うんですけど(笑)。

高橋 ちゃんと吟味して、物を大事にしてるってことじゃん。ぜひ今度一緒に買い物に連れていって!

Q 大学時代の思い出は?

高橋 スケートで忙しくてあまり思い出がないんですよ。今思うと、もう少し積極的に人と関わっておけばよかったな。

友野 僕も同じですけど、学食で友達とランチを食べる時間は好きでした。鉄板メニューは、ササミチーズカツに、おくらのサラダに、鳥肝! 節約のためにライスは家で炊いて持っていくのが友野スタイル。

高橋 俺は購買派。体育館横の売店の前のベンチでだいたい焼きそばパンを食べてた。

友野 大ちゃんがやると絵になりますね(笑)。

高橋 当時あまりお金がなくて、服も欲しかったからその分食費を削っていました。ごはんを我慢して買い物に行くための電車代にすることもあったし……。
今思えばアスリートっぽくないことをしてたね(笑)。

友野 でも分かります! 僕も母親からもらった朝ごはん代で買うのはいつも一番安いパン。練習に向かう時は安いルートを選んで、日々節約。フィギュアスケーターといえども、いつでも華やかなわけじゃないんです(笑)。

Q 初心者におすすめのフィギュアスケートの楽しみ方は?

高橋 テレビでしか見たことがないという人にはぜひ一度、生で見てもらいたいね。映像じゃ味わえないことがたくさんあるから。スピード感に、氷を削る音、ジャンプを降りた時の「ドン!」っていう衝撃音もすごい迫力。
ルールが複雑なイメージがあるけど、実際滑ってる俺たちもそんなにルールを気にしてないから大丈夫(笑)。

友野 シンプルにすごいかどうか。知識がなくてもうまい人っていうのは分かるものだからきっと楽しめるはず。

高橋 ショーにはルールがないから、そこから始めて、ハマったら試合に行くのもおすすめ。試合は独特のピリピリした空気が流れていて、僕はそれが結構好き。

友野 あの緊張感ってスケート最大の魅力かもですね。 

高橋 何か刺激が欲しい時や、暑い日に涼む目的でも(笑)。それくらい気軽な気持ちで来ていただきたいです!

2024年7・8月合併号掲載

ノンノ7・8月合併号特集の未公開カット集

背中を預ける高橋大輔さん、友野一希さん
『滑走屋』では対峙するシーンが印象的だったお二人。
それを受けて今回は背中を預け合うカットも撮影。

LAST CUT

スムーズに進んだ撮影。
最後は、二人で「せーの」でジャンプして締めることに!

高橋大輔さん、友野一希さんのジャンプ
さすがフィギュアスケーター! 驚異の跳躍力を見せてくださった奇跡的なカットがこちら。
お二人はこのカットをとても気に入ってくださったようで、「この写真をLINEスタンプにしたい!」とわいわい盛り上がりながら撮影は終了!

その他の未公開カットはこちら

Profile

Evoto

高橋大輔

フィギュアスケーター

1986年3月16日生まれ、岡山県出身。トリノ、ソチ五輪入賞、バンクーバー五輪で銅メダル獲得など、数々の日本男子初の歴史を打ち立ててきたパイオニアで、世界中のスケーターの永遠の憧れの存在。引退を経てシングルに復帰、その後初挑戦となったアイスダンスでもナショナルチャンピオンに。現在はプロスケーターとして氷上エンターテインメントの可能性を模索し続けるスケート界のフロントランナー。

Profile

Evoto

友野一希

フィギュアスケーター

1998年5月15日生まれ、大阪府出身。2023年世界選手権6位。自分が心から楽しむことを大切にする生粋のエンターテイナーで、演目の世界観に引き込む力は唯一無二。あらゆる経験を強みに還元してきたスケーターであり、表現には人一倍貪欲な魅せることのスペシャリストゆえ、常にアイスショーに引っ張りだこ。責任感が強く、ショーでは自ら海外スケーターや先輩、後輩の橋渡しの役割を務めることも。

『氷艶hyoen 2024 -十字星のキセキ-』

スケート×日本文化を融合させたストーリー仕立てのアイスショーの第3弾。宮沢賢治の名作『銀河鉄道の夜』をモチーフに、氷上に新しいエンターテインメントの形を映し出す。演技や歌唱シーンのほか、『滑走屋』で活躍したメンバーも多数出演するなど見どころ満載。6月8日〜11日、横浜アリーナにて開催。7月27日11:30~、8月31日12:00~日テレプラスにて放送予定。

Staff Credit

撮影/山本雄生 ヘア&メイク/宇田川恵司(heliotrope・高橋さん) 鈴木かれん(友野さん) スタイリスト/折原美奈子(高橋さん) 秋山貴紀(友野さん) 取材・原文・web構成/轟木愛美 web編成/松島芽生

Kazuki Tomono

フィギュアスケーター

1998年5月15日生まれ、大阪府堺市出身。
2026年のミラノ・コルティナダンペッツォオリンピックを目指す男子シングル日本代表。感情をスケートにのせ、観客の心まで躍らせるHappyな演技で世界を熱狂させる愛されスケーター。
古着、サウナ、インテリアショップ巡りなど多彩な趣味をもつ26歳。実直な人柄、好きなことに対する探究心など、近年は競技以外で見せる魅力にも注目が集まる。
表現の名手であり、オフシーズンはアイスショーに引っ張りだこ。各ショーの特性に合わせた多彩なパフォーマンスでエンターテイナーぶりを発揮している。
新シーズンは「競技者としてより高みへ」をテーマに練習に励む日々。今季のフリープログラムは『Butterfly』。さなぎが蝶へと変化するように、彼もまた、圧倒的変化を求め日々成長中。その美しき進化に出会える日はもうすぐそこだ。

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