公開前から、俳優陣が一糸まとわぬ姿でセックスシーンに挑むセンセーショナルな特報映像が話題の映画『娼年』。
松坂さんは、〝娼夫〟として様々な女性と体を重ね、隠された欲望に触れることで少しずつ成長していく主人公のリョウを演じている。
「映画を見る入り口は、〝なんかヤバそう!〟でいいんです。でも、きっと開始数十分で、ヤバくなくなる瞬間が訪れるはず。僕の中では、そこから本当の『娼年』がスタートすると思ってます。そうやって、感覚が麻痺していくことで得られる気づきがあるんじゃないかな。若い女性の方々にとって、性に対する恐怖心やコンプレックスと向き合える時間になればうれしいです」
本編の半分以上を占めるのは、肉体同士の交わりの中で描かれる、圧倒的にリアルで美しい本質的なコミュニケーション。
「撮影期間中は精神的にも肉体的にも大変で、〝明日のスケジュールが中止にならないかな?〟なんて思ったことも(笑)。でも、そんな日々を乗り越えられたのは、キャストとスタッフが三浦(大輔)監督の〝これまで表現できなかったセックス描写をしたい〟という思いを全面的にくみ取って、一丸となれたから。僕自身も、リョウという役を経て、自分の中のお芝居に対する追求の限界が、以前よりなくなった気がします」
NHK連続テレビ小説『わろてんか』でヒロインのダメ夫を演じ、映画『不能犯』では人の心を操るダークヒーローを熱演。作品ごとに異なる顔からは目が離せない。
「今は、いろんな色の作品や監督に触れてみたいという思いが強いんです。そうすることで、30代を迎えた時にできる役の幅も広がると思うので。ずっとこの仕事を楽しんでいきたい。その気持ちが一番です」