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フィギュアスケート
2022.12.20更新日:2023.01.26
Evgeniy Semenenko
non-no Interview
若手スケーターが数多く台頭するロシア男子シングルにおいて、ひときわ異彩を放つのがエフゲニー・セメネンコ選手だ。2020-2021シーズンにロシアジュニア選手権を制すと、3月の世界選手権では代表に選出され初出場で8位入賞。
先シーズンはグランプリシリーズカナダ大会で銅メダルを獲得。チームメイトであり尊敬するミハイル・コリヤダ選手に代わり急遽出場した北京オリンピックでは8位と、存在感を示した。
現在ロシアの選手は国際大会からの除外措置を取られており、今シーズンはロシア各地で開催されるロシアグランプリシリーズに出場。11月に開催された第6戦ペルミ大会では見事優勝。いよいよ開幕するロシア選手権を前に、今季のプログラムについてお話を伺った。
2003年7月26日生まれ、ロシア・サンクトペテルブルク出身の19歳。身長176cm。厳しい練習の傍ら、医学にも情熱を傾ける文武両道スケーター。
4月にはアイスショーで激しく転倒し頭を強く打つ事故が発生、シーズンに入ってからは怪我で出場予定だった試合を欠場するなど、不運なトラブルが続いたが、現在は氷上に復帰。ロシアグランプリシリーズでは2戦とも表彰台に上り、先日のジャンプトーナメントでは美しい4回転ループを着氷。今季フリープログラムへの実装を目指す。
今シーズンのショートは「アルビノーニのアダージョ」、フリーはTOMORROW X TOGETHERの4thミニアルバム『minisode 2: Thursday’s Child』収録、「Good Boy Gone Bad」と「Trust Fund Baby」。
バロックの名曲を使用したショートと、K-POPを使用したフリーというギャップに加え、ロシアの伝統的なスケーティングスタイルとK-POPの融合が注目されている。
――今回は貴重な機会をありがとうございます。テストスケートで怪我をされたとのことですが、今はどうですか?
ずいぶんよくなりました。ご心配ありがとうございます!
――今シーズンのプログラムはショート、フリーともに新たな魅力があふれていますね。プログラムを選んだ経緯と、見どころを教えてください。
フリーの音楽を決める時、振付師の方がいくつか提案してくれましたが、コーチはどれも採用しなかったんです。
以前アイスショーで披露したTXT(TOMORROW X TOGETHERの略称)の「Frost」 を多くの人が気に入ってくれていたこともあり、コーチのアレクセイ・ニコラエヴィチ・ミーシンが、「K-POPを使ったプログラムで滑ってみないか」と提案してくれたんです。もちろん、私はこのアイディアをとても気に入りました。
そんな時ちょうどTXTの新しいアルバムが発売されたんです。その中に収録されている曲のうち、特に「Good Boy Gone Bad」と「Trust Fund Baby」が気に入り、この2曲を使用することにしました。
先シーズンはエキシビションで韓国の5人組ボーイズグループTOMORROW X TOGETHERが歌う「Eternally」、「永遠に光れ(Everlasting Shine)」を使用したナンバーを披露。特に日本オリジナル曲「永遠に光れ(Everlasting Shine)」は全編日本語の歌詞となっており、その選曲が日本のファンの間でも話題に。
今シーズンは新たなショーナンバーとして、TOMORROW X TOGETHERのダークな世界観が爆発した「Frost」を選曲、さらに競技用プログラムにも彼らの曲を使用している。
――今シーズンのフリーはもちろん、これまでのプログラムにも多数使用されるほどK-POPフリークのセメネンコ選手。聴き始めたきっかけを教えてください。
K-POPを聴くようになったのは、アニメのオープニングがきっかけです。
アニメ『ブラッククローバー』を見ていた時、第12クールのオープニングの曲がとても気に入り、この曲でショーナンバーをやってみたいとコーチにお願いして了承を得ました。このプログラムをグランプリシリーズのカナダ大会のエキシビションで披露したところ、大好評だったんです。
――それがTOMORROW X TOGETHERの「永遠に光れ(Everlasting Shine)」ですね。たくさんのK-popアーティストがいらっしゃいますが、どうしていつもTOMORROW X TOGETHERの楽曲を選ばれているのか、気になっていたファンも多いと思います。
他のK-POPミュージックも聴いていますが、TXTは私にとって K-POP に情熱を傾けるきっかけとなったグループです。だから今もこのグループが一番に好きなんです。
――セメネンコ選手にとって特別なアーティストなんですね。
はい、どのメンバーも好きです。彼らは5人ともみんな才能があって、互いに補完し合っているところが魅力的なんです。
――では日常生活において影響を受けることも?
TXTはいつも私の気持ちを高めてくれるんですよ。大変な時、悲しい時、彼らの音楽を聴いているといつも元気になります。
あとはメンバーが着ているファッションもすごく好きです。
――彼らのファッションはプログラムにも落とし込まれていますね。
そうなんです。「Frost」のダンスがとても好きで、フィギュアスケートをやっていることもあって、「このダンスを氷上でやってみたらかっこいいだろうな」とずっと思っていたんです。今回コーチングスタッフと協力してこのアイディアを実現させ、デザイナーと一緒に冬、寒さ、氷といった曲のテーマに近い衣装を作りました。
フリープログラムは、「Good Boy Gone Bad」の公式ミュージックビデオで彼らが着ている衣装を参考にしています。
――スリムなスーツスタイルがよくお似合いです。メイクもご自身で?
はい。大会やアイスショーでメイクアップアーティストがいない場合は自分でやっています。
TXT (투모로우바이투게더) ‘Good Boy Gone Bad’ Official MV
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――K-POPの曲のリズムを競技用プログラムに使用するのは、大変だったのではないでしょうか。韓国語の歌詞を理解する難しさもあったのでは?
確かに競技用プログラムとしては珍しい選曲です。でもTXTは、エネルギッシュな曲も、叙情的な曲もこなすんです。
今回は第一部にスローな「Trust Fund Baby」、第二部にエネルギッシュな「Good Boy Gone Bad」を選びました。TXTの音楽に合わせて滑るのは、本当に楽しいし、私にとって喜びでもあるんです。
ミュージックビデオでメンバーが全力で歌っている姿を見ていると、歌詞に込められた思いが伝わってきますし、言葉が分からなくてもそのメッセージが伝わってくるんです。また明確に理解するために、インターネットでいつでも翻訳を調べられるようにもしています。
――曲の世界観に入り込んでプログラムを楽しんでいるのが演技から伝わってきます。演技中思わず歌を口ずさむことも?
ジャンプの要素がすべて終わったプログラムの最後には、音楽に完全に没頭しているので、時には一緒に歌うこともあります(笑)
――ちなみにこの他に将来滑ってみたいK-POPの曲はありますか?
ありますよ、でもまだ秘密です。
――K-POPの他にも、以前『NARUTO』のお洋服を着用されたこともあるほど、日本のアニメがお好きなんですよね。
小さな頃からアニメが好きでしたが、7歳の時、祖母が『NARUTO』シリーズのDVDを買ってくれたことをきっかけに、さらにアニメにはまりました。
『NARUTO』の他には『コードギアス』シリーズ、『ブラッククローバー』。『鬼滅の刃』、「鋼の錬金術師」が好きで、挙げ出したらきりがないほどです。
▲国別対抗戦は、男女シングル、ペア、アイスダンスの4種目の総合成績で順位を争う団体戦形式の大会。2021年大会に参加したセメネンコ選手はショート、フリー共にノーミスの演技を披露。ロシアの初優勝に貢献した。
――さすがお詳しい! 集英社のタイトルもたくさん挙げてくださってうれしいです。そんな日本のカルチャーに造詣の深いセメネンコ選手が初めて来日されたのは2021年の国別対抗戦だったと思います。
私は日本が好きで長い間日本に行くことを夢見てきました。
日本ではフィギュアスケートがとても人気ですし、皆さん親切で、おいしいものがたくさんあると聞いていたので。
国別対抗戦には温かい思い出がたくさんあります。大会中はみんなお互いを気遣い、支え合い、とてもよいチームだったなとよく思い出すんです。
フリーではチームを失望させることなく、自分のやるべきレベルで滑ることができたのがとても嬉しかったです。そしてもちろん厳粛な雰囲気の中、金メダルを受け取った瞬間のことも。この金メダルは、今日の私にとって最も大切なものだと考えています。
――そのときは新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、観光などができず残念でしたね。
はい。本当は私は何度だって日本を訪れて、街を歩いたり、景色を見たり、観光スポットに行ったりしたいんです。それからファンの皆さんにもお会いしたいと心から思っています。
国別対抗戦で大阪に行った時は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点からさまざまな制限があってできなかったので、今後実現できるよう願っています。
――またお会いできるのを心待ちにされているファンの方もいらっしゃると思います。最後に日本のファンの皆さんにメッセージをお願いします。
日本のファンの皆さんの関心とサポートに感謝しています。
応援してくれたり、お手紙をくれたり、演技を楽しんでくれてありがとう。
また近いうちにお会いしましょう!
またね☺︎(ウィンク)
▷Instagram:@evgeniy__semenenko
写真/アフロ 取材・文/轟木愛美