友野一希連載【 #トモノのモノ語り。】vol.16 数字でひもとくカズキトモノ ＜フィギュアスケート男子＞

non-no webで人気のコラムがスペシャル版としてついに本誌上陸！
国内最高峰の大会である全日本選手権で男子シングル3位に入り、代表として出場した世界選手権でも会場を熱狂の渦へと導いた友野一希選手。
知れば知るほど応援したくなる、気になる彼を数字からひもといてみたら……？

24

友野一希、現在の年齢

ジャケット¥60500／ディガウェル 1（ディガウェル）　シャツ￥24200／KAIKO　パンツ¥25300／J.プレス&サンズ 青山（クレスト-ディガウェル × J.プレス-）　その他／スタイリスト私物

　4歳の時、母親に近所にあったスケートリンクに連れていってもらったのが僕のスケート人生の始まり。最初は遊び感覚だったけど、それから20年、スケートはずっと一緒に時を過ごしてきた相棒です。

　もともとは大学卒業までと考えていたスケート。だけど大学1年生の終わり、欠場した選手に代わり出場した世界選手権でいきなり5位に入ったことで、僕の人生は急展開。そこからトップを目指し奮闘していくうちにいつの間にかこの世界ではベテランといわれる年齢になりました。
　24歳というと、社会に出て、結婚して……と、本当はもっと大人の予定だった。でも実際なってみると僕の場合はまだまだ子ども。周りはみんな働いてるなか、精神的に遅れてるなと思うこともある。

だけど最近少しずつ大人になったと思うことも増えてきて。子どもの頃思い描いていた24歳とは違うかもしれないけど、大好きなスケートとともに、自分だけの表現を極めていける毎日が今とても楽しいんです。

5

代打をチャンスに変えてきた回数

　今まで補欠から繰り上げ出場を果たした回数は5回。
急きょ出場が決まった試合でも毎回自己ベストを更新することができたのは、ある意味火事場の馬鹿力かな。野球でも代打の選手は強いイメージがあるし、僕も失うものが何もない「行け行けゴーゴー」の精神で臨めたことがいい演技を引き寄せたのかもしれません。

　一度代打で成功するといいリズムができて、今回もきっとできるはずと自信が生まれて、ついには「代打の神様」なんて呼ばれるようになって。
　
僕のスケート人生を変えたきっかけは確かに代打だったのかもしれない。でもその成功体験を自信に変えて、＂スタメン＂の試合でも力を発揮できる実力へと昇華させてきた。そうやって代打でもらったチャンスを次につなげてきたからこそ、今の結果があると思うんです。

10 回目の全日本で初の表彰台

　そんな僕が初めて「脱・代打」を掲げて出場したのが、昨年の全日本選手権。過去2回の世界選手権はどちらも代打出場だった僕にとって、ここで表彰台に上れば正式な世界選手権代表が見えてくる大きなチャンスでした。

　大会に向け本番で自分を信じることができるくらいまでひたすら練習に打ち込み、10回目の全日本でついにメダルを獲得。その結果初めて自分の力で世界選手権の切符をつかみ取ることができたんです。

　首に掛けた銅メダルはとても重かった。ここに来るまで時間がかかったかもしれないけど、毎年上達してると思えたから10年間挑み続けてこられた。
僕は成長が止まるくらいなら、もうやらなくていいとすら思う。だからたとえゆっくりでも、自分のペースで一歩ずつ前へ進むことの大切さを後輩たちにも伝えてあげたいです。

290

世界選手権での目標点数

　昨シーズンの目標はショート100点超え。試合を追うごとに徐々に得点をのばしていき、達成できたのがシーズン最後の世界選手権でした。前回はフリーにミスがあり表彰台には届かなかったので、今回は両方を完璧にそろえたいという気持ちを込めて、ショート100点、フリー190点という合計得点を目標にしました。

　これまで世界選手権のショートとフリー単独のスモールメダルはあるけど、総合でのメダルはまだない。だから4年ぶりに日本で開催されるこのタイミングで今度こそ大きなメダルをつかみ取って、昨年のリベンジを果たしたい。

　290点は正直かなり高い得点で、ポテンシャルはあっても、実力はまだ足りていないかもしれない。だけど僕にとってたくさんの思い出がある世界選手権でここに到達することができれば、きっと違う景色が見えると信じているんです。

15

non-no webの連載回数

　競技の傍ら続けてきた連載もいつの間にか15回！ 最初は「大丈夫なんかな？」なんて心配もありましたが、回を追うごとに紹介したいアイテムが出てくる出てくる（笑）。
スケーターは私服を着る機会が少ないと思われがちだけど、僕はシーズン中こそおしゃれを楽しみたい派。朝の練習が終わったらパッと私服に着替えて古着屋を巡ったり、大会後は自分へのごほうびを買いに出かけたり。気持ちの切り替えもできるし、お気に入りを身につけることで毎日ご機嫌でいられるんです。
　
服を選ぶ時に惹かれるのは、その服が作られた歴史や背景。たとえばミリタリーウエアが好きな理由は、そのデザインやディテールがもともとは機能性のために生まれたものだから。
それが時代とともにアップデートされて、今はファッションの一部になってることにぐっときちゃうんです。そうやってモノのルーツを知れば、服を着るという行為がもっと楽しくなると思って。
　
僕のモットーは、「おしゃれは定番を着こなしてこそ」。普遍的なものってやっぱり長く愛されるだけの理由があるし、その魅力に気づいてからは名品と呼ばれるものを少しずつ集めるようになりました。
古くさい考えかもしれないけど、ちょっと背伸びでも着ているうちにそれが似合う男になっていけたら素敵じゃないですか。
そのよさや違いが他人には分からなかったとしても、自分だけで完結する満足って、究極の贅沢で最高だなって。

　連載で紹介したものをファンの方がおそろいで買ってくれることもあるみたいで。
服一つで気分が上がるなら最高だし、衣食住っていう言葉があるくらい生活に欠かせないものだから、僕がその人の生活の一部になっていると思うとうれしいですね。

　だからこの連載は僕にとっても大切な記録。見返すとその時々のファッションの気分が分かっておもしろい。
100回目にはどんな路線になってるんだろう……。原点回帰してTシャツとジーンズだけになってるかもしれません（笑）。

90min.

仲よしスケーターのコーデに悩んだ時間

普段からスケーター仲間の服を選んであげることが多いという友野さんが、初の誌上スタイリングに挑戦！ BEAMSのプレスルームで、仲よしの3選手に似合いそうなコーデを考案！

スケート界一のファッショニスタが選ぶ春コーデは？

今日はBEAMSのプレスルームにお邪魔できるということでずっと楽しみにしていました。
テーマはずばり「一緒にお出かけする時の春コーデ」。
まったくタイプの違う3人ですが、それぞれのイメージや似合う服をベースにしながらも、僕っぽいエッセンスも取り入れたルックにしてみました。

それにしても90分もかかってたなんて（笑）。スタッフの方からも「ゾーンに入ってた」と言われたんですが、僕は洋服選びもいつも真剣勝負。気づいたら入店して2時間たってたなんてこともあるくらい。
今回選んだ服はすべて僕が欲しいアイテム。自分が着てみたい服が多すぎて誘惑に耐えながら頑張ったので、気に入ってくれるといいな。

— Kazuki’s selection —

こんな昌磨くんも見てみたい！ 僕の願望入れてみました（笑）

一番迷ったのが昌磨くん。だって本人のオーラが強すぎて服が負けるんです、この人の場合（笑）。
スーツみたいなカッチリした服装が似合うから、それを少し崩してトレンドのワークスタイルに。セットアップは彼のクリーンな雰囲気にぴったりのブルー。インに入れた白シャツが上品さを損なわないポイント。
よくかぶってるハットと、僕の好きなニューバランスも忘れずに。

ジャケット¥33000・パンツ¥26400／ビームス プラス 原宿（ビームス プラス）　シャツ¥13200・帽子¥4840／ビームス 原宿（ビームス）　靴¥33000／ニューバランスジャパンお客様相談室（ニューバランス）

スタイル抜群の高志郎には、ジャケットにスポーティミックスで遊び心をプラス！

高志郎は一緒に買い物に行くと店員さんが驚くほどのスタイルの持ち主。モデル体形を引き立てるフレアパンツに、ダブルのジャケットでカッコよく。
彼はちょっと変わったひとくせあるデザインが似合うので、あえて英国スポーツブランドのトラックジャケットを合わせてこなれ感を出してみました。小顔だから首が詰まったスタイルもめっちゃ似合う！

ジャケット¥49500／ビームス プラス 原宿（ビームス プラス）　インに着たジャケット¥18700（フレッドペリー × ビームス）・パンツ¥14850（ビームス）・靴￥35200（パラブーツ × ビームス）／ビームス 原宿

直球で攻めた、草太の沼から抜け出せなくなるコーデ

草太といえばスキニーとタートルネックを着るために生まれてきたような男。
普段から黒が多いのでオールブラックで、もうここはとことんカッコよくキメちゃって！
テックなベストを合わせればラフさも出るからこのまま大好きなサウナにだって行けるでしょ。でもこのコーデが似合うのは彼だけ。細身のパンツにブーツなんかはけないもん普通なら（笑）。

ベスト¥18700・パンツ¥14850／ビームス 原宿（ビームス）　ニット¥37400／リーミルズ エージェンシー（ジョン スメドレー）　靴¥71500／インターナショナルギャラリー ビームス（シモン・フルニエール）

Profile

友野一希 フィギュアスケート選手

　

1998年5月15日生まれ、大阪府堺市出身。上野芝スケートクラブ所属。

趣味は古着屋巡り、サウナ。観客の心まで躍らせるHappyな演技で世界を熱狂させる愛されスケーター。日本フィギュア界の＂いい兄ちゃん＂的存在で、後輩からの信頼も厚い。誠実な人柄、好きなことに対する探究心など、近年は競技以外で見せる魅力にも注目が集まる。

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