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2022.05.18更新日:2022.05.19
女の幸せって何だろう? みんな闘っているのかも
新しい時代が来たというけど、世の中はどうなるのだろう。時代とともに女性の生き方は広がったけれど、皆、必ずしも幸せそうではないから難しい。『トリニティ』は、令和の幕開けにまさに読みたい小説だ。
まだ日本にファッション誌がなかった頃、同じ出版社で出会う、境遇も才能もバラバラの三人の女性。それぞれの幸せをつかむために苦闘しながら駆け抜けた生涯の物語は、まるで大河ドラマ1年分をぎゅっと濃縮したようにダイナミックで、一気に読んでしまう。
望んだ仕事に就けたから幸せ、結婚できたから幸せ。世の中はそれほど単純じゃない。その「あるある」がすべて詰め込まれたようなこの小説は、時代は違うにもかかわらずあまりにもリアルで、心をグラグラ揺さぶる。誰も間違っていないのに苦しい。今をどう生きるのかは私たちの自由だけど、彼女たちから渡されたバトンにはまだ熱が残っている。さて、どうする? そんな声が聞こえてくる本だ。
初めて行ったライブで壇上のボーカリストに恋をした直子は、お金も時間もすべてをつぎ込み、ついにはファン以上の特別な関係になるが……。「どんな時も、死ぬまで愛する」ことを全うした、恋愛を超えた二人の一生を描く。絶句する1冊。
韓国で100万部超えのベストセラーとなり、社会問題にもなっているこの本。平均的な韓国人女性の一生を通して、女がどんな差別に見舞われるのかを怒りをもって書き尽くす。私たちも「おかしい」と思うことはどんどん怒っていきましょ。
家族の役割を演じないことばが光る美しい物語
「家族」という箱は時々やっかいです。親の前でつい「子ども」を演じてしまうことはありませんか? あるいは親が「親」すぎて、一人の人間として受け止められなかったり。
この漫画の主人公、花は小学生の女の子。物語は母が家を出ていき、居間でうなだれる父の背中を見つめるところから始まります。父と二人の生活。時に無遠慮な親戚たちの視線や、風変わりな転校生と対峙しながらも、二人はお互いに相手を再発見し、思いやりながら生きていく――。
物事を冷静に捉え、洞察力のある花のモノローグは「父子家庭の子になったかわいそうな小学生」というパターン像にとらわれず、ことばの一つ一つが繊細で「こんなふうに感じてよかったんだな」と教えてくれるよう。役割に縛られることなく、すべての登場人物が自分らしく生きることを肯定し、応援し合って、それぞれがきちんと幸せを目指していいのだと優しい気持ちになれる作品です。
海外転勤を機に、父・母・姉・弟、4人家族はそれぞれに新しい土地での居場所を作るために格闘するが、家族には亀裂が生じていく。家族の真っすぐなぶつかり合いを激しく描いた青春小説。
帰らない夫を信じて待ち続ける葉子と、二人の娘である草子。土地から土地へ放浪を続けながら、狂信的な愛を生きる母と、現実を生きようとする娘の葛藤を、あやうくも美しい描写でつづる。
●はなだ ななこ
HMV&BOOKS HIBIYACOTTAGE店長。著書に『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』がある。
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2024.09.17
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