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【友野一希選手独占インタビュー】「僕は諦めたことがない」努力と覚悟の先に切り拓いた新しいステージ。輝きを放ったシーズンを振り返る【フィギュアスケート男子】
“ベテランと言われる年齢になったけど、今スケートがとても楽しい”。そう話すのは、今シーズン極上の演技で自己ベストを何度も更新し、メダル争いに食い込む選手へと成長を遂げた友野一希選手。
権威ある四大陸選手権で初のメダルを獲得し、世界選手権でも存在感を見せつけ勢いに乗る彼に独占インタビューを敢行。
アイスショーを終え、大阪に戻られたばかりの4月。拠点の浪速アイススケート場にお邪魔して貴重なお話を伺った。
友野一希の「トモノのモノ語り。」
友野一希連載【 #トモノのモノ語り。】vol.12「2023年のおしゃれプランと、全日本選手権」<フィギュアスケート男子>
2023.01.14 更新日:2023.12.22
vol.12 2023年、カズキトモノのファッションはどう変わる?
こんにちは、フィギュアスケーターの友野一希です。
僕の好きなことや、お気に入りのアイテムについて紹介する連載、第12回目です。
今年1発目の連載ということで、2023年のファッションプランや最近買ったヘビロテセットアップをご紹介。
後半では全日本選手権を終えた感想に、皆さんからのお悩みにお答えする「お気楽お悩み相談室」も。ぜひ最後まで読んでくださいね!
2023年、僕のファッションにも少し変化が!
2023年を迎え、ファッションの気分も少しずつアップデート。
去年はとにかく古着!でひたすら古着屋さんを回る日々だったんですが、今年はちょっと新しい服が欲しいっていう気持ちがふつふつとわき上がってきました。
きっかけはいろいろあるんですけど、こういったファッションにまつわるお仕事や、アイスショーで衣装を担当されている方たちと今人気のブランドや服のお話をする機会が増えたことも大きいかな。
もちろん古着も大好きなので、今年は新しい服を増やして、古着MIXスタイルを上手に楽しみたい!
欲しいのはドメスティックブランドの服、たとえば「COMME des GARÇONS(コム デ ギャルソン)」とか。今まで着てみたいと思いつつも、なかなか勇気がなくて買えていなかったんですが、今年は一歩踏み出してみようかなと。
古着と違って僕もまだあまり知らない世界になるので、多種多様なファッションに触れて、これからちょっとずつ勉強していければと思っています。
今日の私服は、「リーバイス®(Levi’s®)」のセットアップが主役!
今日は僕の大好きな「リーバイス®(Levi’s®)」のセットアップが主役。ブランドの名作を復刻したライン「LVC(LEVI’S® VINTAGE CLOTHING)」のアイテムです。
このコーディネートは、セットアップを買った時、絶対にやりたい! と思っていた組み合わせ。
中に入れるアイテムはかなり悩んで……パーカを合わせようかとも思ったけど、1stのデニムジャケットに決定。これは以前にも紹介した超お気に入りアイテムで、そのジャケットの上にジャケットというレイヤードがポイントです。
▶トモノのモノ語り。vol.9「最愛デニムジャケット」
普段足元は革靴やブーツが多い僕ですが、今日は結構かっちりしたスタイルなので、スニーカー、キャップではずしを効かせてみました。
合わせたバッグは、長年長財布を愛用している「土屋鞄製造所」さんからいただいた「トーンオイルヌメ ミディアムショルダー」。
普段使いにぴったりで、家族みんなで使えそうなところがお気に入り。ショルダーベルトが太めなところも可愛いんです。
まだ使い始めたばかりなので、これから少しずつ自分だけのエイジングを楽しんでいきたいと思ってます。
キャップは「HUMAN MADE(ヒューマンメイド)」のもので、これもシロクマがめちゃくちゃに可愛い。僕、意外とキャップは持ってなくて、以前紹介したカナダの「Roots(ルーツ)」のと、この二つを使い回すことが多いかな。帽子といえば最近はニット帽を合わせることも多くて、ちょっと深めにかぶるのが気分です。
ジャケットは、上までボタンを留めてちょっとスタイルをチェンジしても。
絶対合う!という鉄板の組み合わせもいいけど、今年はそれだけじゃなくちょっと斬新な組み合わせに挑戦してみるとか、コーディネートするという行為自体を楽しんでみたいな。
全日本選手権銅メダル&世界選手権代表に!
今シーズンも無事全日本選手権が終了!
10回目の出場で初めて表彰台に上ることができ、正選手として世界選手権出場が決まりました。
全日本は特別な緊張感があるけど、今回は今までで一番落ち着いて準備ができたという感覚があって。しっかり調整を重ねて本番まで気持ちを切らすことなくもっていけたのは、今までの経験があったから。それこそがこのメダルにつながったんだと思います。
全日本から数週間が経ち、今はもう3月の世界選手権に意識が向いているところ。
ちょうど新年のアイスショーも終わったので、これからどんな練習をしていくか作戦を練り、全日本でできなかったことをゆっくり改善していきたいと思っています。
たくさんの人に支えられていると実感した全日本選手権
ショートを4位で折り返し、フリーの演技を終えた後は、正直、メダルは無理かなと感じていたんです。次に滑る(山本)草太の実力も分かっていましたし、何より課題だった2本目の4回転トーループを跳び切れなかったことに悔しさを感じていたので。
一方で周りを見ればみんなすごく喜んでくれていて。(平池大人)先生も、「よく頑張ったな!」って言ってくれて、「あれ、僕よかったんかな?」って。なんかちょっと不思議な感じだったんです。
でもそれはきっと自分が思ってる以上に、周りの人が今までの練習を見てくれていたからだと。僕のことをいつも見てくれていたからこそ、あれだけ喜んでくれたんかなって。
本当に僕はいろいろな人に支えられているんだなと強く感じた大会になりました。
今回はアメリカからミーシャ(・ジー)が応援に駆けつけてくれましたし。特に経緯はないのですが、ミーシャが来るって言ってくれたので、僕も「きてきてー!」って感じで3年ぶりに実現しました(笑)。
本番前に振付の細かいブラッシュアップもしてもらえるし、一人でも応援してくれる人が増えるっていうのは自分の中でも力になると思ったし……実際本当に心強かった。
思い返せば前回ミーシャが来てくれた時の全日本(2019年)では、とてもいい演技ができたんですよね。そんな思い出もあって、自分の中でいてくれたほうがいいんじゃないかなっていう気持ちもありました。僕にとっての勝利の女神じゃないですけど……、ミーシャはそんな存在です。
全日本はゴールでなく、まだ道の途中だった
世界選手権代表が決まる全日本は、僕にとって大きな意味をもつ大会。
それだけにこの大会に向け、かなり追い込んで練習をしてきました。
その結果、初めて表彰台に上ることができ、世界選手権代表に選ばれたことはとてもうれしかったです。
だけど、内容に納得いってるかって言われたら、やっぱりしてない。
もちろん満足感はあったけど、いざ終わってしまえば全日本表彰台はゴールではなく、長い道のりの通過点に過ぎなかったんだと気づきました。
終わった瞬間には僕の気持ちはもう、次の世界選手権に向かっていたんです。
再び心に火を灯してくれた「アイス エクスプロージョン」
でも体は正直なもので、全日本が終わったっていう疲労感がすごくて。メンタル的にもちょっと疲れたなっていう状態でした。
モチベーションはあるけど、いったん心が空っぽになってしまったっていうのかな。
だからお正月まではしっかり休みを取ってリフレッシュして。そうやってお正月が明けたところで「アイス エクスプロージョン」※の出演が待っていたことは本当に有難いことでした。
大輔さんに呼んでいただいたことがとてもうれしかったですし、このショーに出演できたことによって全日本で使い切った情熱にまた火がついた。いい練習をして、もっといい演技をしたい。また頑張りたいって心から思えたんです。
「アイス エクスプロージョン」は、人生で一番楽しかったんじゃないかっていうくらい最高のショーで、スケーターとしての世界が広がったのを感じました。
演技と演技のつなぎの部分など、今までの常識をくつがえすような新しい試みがたくさん詰まっていたし、プロスケーターが多いので自分たちで舞台を作っていくクリエイティブな感覚がありました。
僕も競技者としてというよりも、このショーに出演するメンバーの一人としての意識が強くて。友野一希として出る喜びじゃなく、ショーの一員として出ることができる喜びという、今までと違った気持ちがあったんです。
そうやってみんなで団結して作り上げたショーだけに、終わった後の達成感といったら想像以上でしたね。
大ちゃんの作る世界観に入り込むことができたのが光栄で。またこういったショーに出られるようになりたいし、今後自分もこんなショーを作れる立場にもなれたら、と思いました。
※髙橋大輔選手プロデュースのアイスショー「ICE EXPLOSION 2023(アイス エクスプロージョン2023)」
ショーを通して、フィギュアスケートのおもしろさに気づいた
ある意味ショーに特化したメンバーが集まった今回のアイスショー。
フィギュアスケートを「競技」という枠以外から見た時、どういう人がすごいのかっていうのが勉強になりました。たとえば「表現」というカテゴリーでは、このスポーツの見え方自体がかなり変わってくるんじゃないかと。
もちろんメダルの色も大事ですし、成績で上に立つ選手っていうのは凄みがあって、本当に素晴らしい。でもそれ以外の選手も、自分だけの大きな武器を持っている。
こういった側面があるのがフィギュアスケートで、なんならそっちのほうが強いんじゃないかって思うくらい。僕はどちらも両立できるスケーターを目指したいし、フィギュアスケートっておもしろい!と改めてこのスポーツを好きになることができました。
ここで燃え上がった情熱を絶やすことなく、世界選手権へ。まずは今月末の国体に向け、練習に励んでいきたいと思います。
年越しサウナと友野家のお雑煮事情
さて僕の年末年始はというと……。
大晦日は2年連続、大好きな神戸サウナで年越し。
スケート仲間たちと行ったんですが、サウナ好きがかなり増えたこともあり、超大人数に。カウントダウンの瞬間には、支配人の方が飲み物を配ってくれるサービスもあって、アットホームな雰囲気のなか新しい1年を迎えました。
その後は近くの生田神社で初詣という昨年とまったく同じコース。しっかりリフレッシュできて、今年もまた頑張ろうという気持ちになれました。
お正月といえばやっぱりお餅。
なんならお正月が終わってもしばらく朝ごはんはお雑煮っていうくらい、僕はお雑煮が大好き。
関西だと味は白みそが主流ですが、僕の家のお雑煮は意外にも関東風。出汁が効いた醤油ベースの味付けで、具は鶏肉にかまぼこに野菜。透き通った汁に鶏肉の旨味が出てて、これが僕にはちょうどいいんです。
皆さんのおうちのお雑煮事情も気になります☺︎
僕は自分をもってる人が好き。僕にとって服は、自分自身の個性の延長線上にあるもので、自分の大事な一部でもある。だから自分の個性を捨てて、人の目線を気にするような服装はちょっとおもしろくないなって思っちゃう。
もちろん周りの目が気になる、という気持ちも分かります。でも長期的な視点で考えれば、自分の好きなものを着て、そんな自分を好きになってくれる人こそが、今後ずっといいかかわり合いをしていける人だと思うんです。
異性なんて特にそう。 服はもちろん、髪型、雰囲気、話し方。すべてその人をつくる大切な自己表現じゃないですか。だから自分らしい服を着るのが一番。
きっと本当の自分を出せば、自ずと似た感性の人や、気が合う人が男女問わず周りに集まってくるはず。自分に合った人間関係を築いていく上でも、ファッションから個性を出していくのが大事です。
それにいろんな服を見て、好きな服装を楽しむことは、間違いなく自分の自信になる。 自信というのはその人を輝かせる大切なもの。自信をもって、そういう自分を好きになってもらってください。
だから男性が好みそうなファッションなんて全然気にせず、自分の好きな服を着てください!
撮影/田形千紘(友野さん) 語り/友野一希 企画・構成/轟木愛美
※いただいたお悩みは掲載にあたり、内容をそのままに文章の一部を短く修正している場合がございます
Profile
フィギュアスケート選手 |
1998年5月15日生まれ、大阪府堺市出身。上野芝スケートクラブ所属。
趣味は古着屋巡り、サウナ。
“浪速のエンターテイナー”の異名をもつ、表現力豊かな唯一無二のスケーター。
層の厚い日本男子の中で、地道に積み重ねてきた努力が先シーズン開花。四大陸選手権2位、世界選手権では世界歴代6位の記録でショート3位につける大躍進を遂げ、今後ますますの活躍が期待される選手。2022年全日本選手権では念願の表彰台に。正選手として3月にさいたまで開催される世界選手権出場の切符を手にした。
▶詳しいプロフィール&これまでの活躍はこちら
Interview
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フィギュアスケーター友野一希連載・全日本選手権直前インタビュー【 #トモノのモノ語り。】vol.11 <フィギュアスケート男子>
友野一希選手に全日本選手権への意気込みをインタビュー! 最新の練習の様子、課題の4回転ジャンプ、そしてNHK杯での決意のこと。トップ選手としてのSNSの付き合い方についても詳しく伺いました
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フィギュアスケーター友野一希連載・2022-2023シーズン開幕インタビュー!【 #トモノのモノ語り。】vol.4<フィギュアスケート男子>
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【友野一希選手インタビュー】最近のファッション事情から、ハマっていること、 私服コーデも公開!【フィギュアスケート男子】
趣味は古着屋さん巡りや革靴を愛でること。フィギュアスケート界きってのファッショニスタで知られる友野選手の最近のお買い物事情からファッションのこだわり、さらには最近ハマっていることについてたっぷり聞いてみました! こだわりの詰まった私服コーデも公開!
Kazuki Tomono 友野一希
フィギュアスケーター
1998年5月15日生まれ、大阪府堺市出身。
2026年のミラノ・コルティナダンペッツォオリンピックを目指す男子シングル日本代表。感情をスケートにのせ、観客の心まで躍らせるHappyな演技で世界を熱狂させる愛されスケーター。
古着、サウナ、インテリアショップ巡りなど多彩な趣味をもつ26歳。実直な人柄、好きなことに対する探究心など、近年は競技以外で見せる魅力にも注目が集まる。
表現の名手であり、オフシーズンはアイスショーに引っ張りだこ。各ショーの特性に合わせた多彩なパフォーマンスでエンターテイナーぶりを発揮している。
新シーズンは「競技者としてより高みへ」をテーマに練習に励む日々。今季のフリープログラムは『Butterfly』。さなぎが蝶へと変化するように、彼もまた、圧倒的変化を求め日々成長中。その美しき進化に出会える日はもうすぐそこだ。
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