リンクの上で常に特別な輝きを放つ、世界が誇る氷上のエンターテイナー友野一希選手。先日は大躍進を遂げた2021-2022シーズンを振り返るインタビュー をお届けしましたが、今回は特別編として、友野選手の素顔にフォーカス 。 フィギュアスケート界きってのファッショニスタで知られる友野選手の最近のお買い物事情からファッションのこだわり、さらには最近ハマっていることについてたっぷり聞いてみました!
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友野一希選手インタビュー
「僕は諦めたことがない」努力と覚悟の先に切り拓いた新しいステージ。輝きを放ったシーズンを振り返る
フィギュアスケートに負けない、圧倒的知識と熱量で語る特別インタビュー!
趣味は古着屋さん巡りや革靴を愛でること。自分に似合う服をサラリと着こなすファッションセンスは、ファンの間でも有名。 そんな友野選手の おしゃれの情報収集源は、もっぱら Instagram。 日々お気に入りのブランドやショップのアカウントをチェック しているとのことで、 今回のインタビューでも、老舗ブランドから最新のモード系ブランドまで、様々なブランド名が飛び出しました。
―― 最近買ったお気に入りのアイテムを教えてください
最近は試合が続いて買い物に行けてなかったですけど、冬にはダウンとかコートとかアウターを買って、あとは大好きな革靴も買いました。 ふらっと阪急に行った時にすっごい目を引く靴があって、なんてきれいな靴なんやろうって。 「J.M. WESTON」のGolfっていうモデルで、その靴のためにずっとお金貯めて買いました。 普段使いもできそうやし、きれいさもある モデルで、一番欲しい感じのやつやったんです。ただ結局履くのが怖くてまだあんまり履けてなくて。いい革靴は硬いからちょっとずつ慣れていこかなと。
写真:ご本人提供 1891年に設立されたフランスの老舗シューズメーカー「J.M. WESTON」。Golfはゴルフ場の芝生で誕生したモデルで、世界の名靴と称される
―― 普段お買い物に行くエリアは?
よく買い物に行くのはなんば。リンクから近いので朝の練習が終わった後や、オフの日に気分転換に出掛けることが多いです。買い物は結構一人で行くことが多くて、大事なものを選ぶ日はやっぱり一人のほうが好きかな。なんだかんだ自分が一番着たい服を着たいので、自分で行く方がよかったりするし。人の服を選ぶのは好きですけど。 僕はおしゃれが好きっていうより、ちょっとオタク気質なところがあって、ヴィンテージの服の時代背景とか、糸の違いとかがすごい好きなんです。だから店員さんからいろいろ教えてもらうのも楽しいし、そういったディティールにこだわってるブランドに惹かれます。
基本的には日本のブランドが好きで、よく行くのはアメ村(アメリカ村)の古着屋さん。古着屋さんとセレクトショップがある 「11747391」は 今勢いのあるブランドを取り扱ってるので勉強になります。あとは心斎橋の「POST ACORN」っていうヴィンテージの古着屋さんには一時期毎週のように通ってました。もう一つよく行くのが京都の「Haole」で、ここで買ったBURBERRYのコートが超可愛いんですよ、色がめっちゃ絶妙で、見た瞬間「うーわ! どうしよう……」ってなったくらい。
写真:ご本人提供 お気に入りのショップで購入した古着のBURBERRYのコート
―― お気に入りのショップに人を連れて行くことも?
僕はブームを起こすのがめっちゃ得意で、サウナブームの次は古着ブームを起こそうと思って結構みんなを連れてってるんです。(※友野選手の普及活動により、フィギュアスケート界では空前のサウナブームが襲来中) いきなり攻めて引かれないように、ちゃんと定番からすすめるのがポイント。意外とみんなちゃんとハマってくれるし、わかってくれる人ができるとうれしくて。
―― 選手仲間とお買い物に行くこともありますか?
先日はアイスショーで一緒だった(島田)高志郎 を連れ回そうと裏原(裏原宿)に行きました。 彼はめちゃくちゃスタイルがいいので、1セットコーディネートしたいなって思って、「STUDIOUS」に行ったんです。 高志郎に似合うのなんやろと思ったときに、僕も好きな「CULLNI」っていうブランドがあって。黒のセットアップを着せたら、攻めてるけど意外とキャッチーで、めっちゃかっこよくて! 店員さんももう大興奮やし、高志郎も気に入って買ってました。 最近かけてるメガネも僕の影響で買ったものだし、「こういう世界があるんですね~」って言ってたので、このままずぶずぶとおしゃれにハマっていってくれそうです(笑)。
―― 今後島田選手のファッションにも要注目ですね。海外の選手でおしゃれだなと思う方はいますか?
おしゃれって言えばやっぱりジュンファン(韓国代表チャ・ジュンファン 選手)。 もうずば抜けてますよね、あの方はちょっとレベルが違うというか……。今回のアイスショーでもすっごい可愛いニットを着てて、思わず「どこの~?」って聞いちゃいました。日本のブランドをさらっと着こなしてるし、セレクトもかっこいいし……。普段彼は「Off-White」とか「BALENCIAGA」とかをよく着てますけど、ジュンファンの存在自体が服に勝ってるんでそれはすごいなって。ああいう人に着てほしいし、服も喜んでるやろなって(笑)。 おしゃれって着飾ることじゃなく、自分を磨くことだと思うんです。 (宇野)昌磨 くんもすごいオーラあるから、ゆるっとした服や練習着でもかっこいいし、 何かを成し遂げている人だから、その人の内面から滲み出るものがあるのかなって。 大ちゃん(アイスダンス代表髙橋大輔選手)も、「Acne Studios」とか「Maison Margiela」を着られてますけど、風格がある大ちゃんだからこそ似合うんだなって。僕もいつかハイブランドの洋服をサラッと着こなせる人間になれたらいいなあと思いながら……。
―― 友野選手も既に自分に似合うスタイルを確立されていますよ。今日のコーディネートもとても素敵です
最近ようやくですよ。色々な系統に手を出して失敗したり、サイズ感わかんなかったり、なんか着ても違うなってことが多かったけど、やっと自分の定番がわかってきたかなという感じです。
でもやっぱりまだ難しくて、家で一人で何十分も鏡を見ながら「違う~、違う~」ってやったり、一回外に出てから「やっぱ靴変えよ~」って戻ってきたりとかしてます(笑)。
今日も「革靴にしようか、スニーカーにしようかどうしようか~」って迷って、結局『non-no』 さんの雰囲気に合うような可愛らしさのある服装にしました。
「おじさん寄りの服が好きで、色はくすみカラーが気分」 古着×ハイブランドをセンスよくMIXした休日スタイル
knit:
Ralph Lauren(古着)
pants:
古着
bag:
JACQUEMUS
shoes:
New Balance
glasses:
Lesca LUNETIER
今日は楽な感じがテーマ。ニットは「11747391」で買った「Ralph Lauren」の古着で、下はアメ村の古着屋さんで買ったレディースのもの。センタープレスでめっちゃシルエットがきれいなんです。足が太めなんで、ものによってはぱつぱつになっちゃいますが、これはすとんと落ちてきれいに見えるのでお気に入り。
メガネは「Lesca LUNETIER」っていうフランスのブランドで、ヨーロッパヴィンテージにハマっている時に出合ったもの。太すぎるフレームだと顔が負けてしまうので、ちょっと細めをチョイス。丸い形やけど、上がまっすぐになっている “クラウンパント”っていう形で、 フレンチな感じがいいなって。
カバンはフランスのデザイナーさんが作った「JACQUEMUS」。まじで何も入らないです(笑)。今まであんまり小さいカバンは好きじゃなかったんですけど、コーデに取り入れるだけで雰囲気ががらっと変わるし、小物の大切さを知るきっかけになりました。古着との相性がすごいよくて、洗練された感じになるんです。日本でまだ使ってる人をあんまり見ないですが、海外では人気で、これから絶対くるアイテムやと思います。
スニーカーは「New Balance」が好きで、スティーブ・ジョブズが履いていた 992を愛用中。
ニューヨーク発のフレグランスブランド「LE LABO」。香りの鮮度と質にこだわり、その場で調合してくれる。「SANTAL 33」のウッディな香りは古着スタイルとの相性も抜群とのこと。ラベルには友野選手の名前入り。
ちなみにいつも付けている香水は「LE LABO」。友人たちからプレゼントしてもらったもので、もう自分のにおいになってます。もう今後これが僕のにおいになるんじゃないかな。
―― 上から下まで友野選手らしさが詰まってますね! ちなみに寝る時の服にもこだわりがあるのでしょうか……?
僕の寝間着は全部サウナで買ったグッズのアイテムです。たくさんある中から「今日どれにしよーかなー」って選んで。やっぱり着るものって、どんなものでも気分が上がるもののほうがいいから。ちょっとしたスリッパだってこだわるだけで気分が違うし、どんな時もお気に入りのものを取り入れていきたいんです。
―― 使うものすべてに愛があるんですね、ご家族からはどんな反応がありますか?
最初は「なんそれ~」とか、「そんなんにそんなにお金かけて」とか めっちゃ言われましたけど、僕が ずっと好きを貫いてたんで、最近は何も言われなくなりました(笑)。買ったら いっつも 母親に「これ買ったー」って見せたり、妹に「これ買ったんやけどどう!?」って見せて、値段当てゲームとかしたりしてます。妹にはだるがられるんですけど、周りの人から見た反応も分かるし、僕は楽しんでますよ。
Music ロックとかヒップホップとかクラシックロックをよく聴いてます。 今シーズン試合前に聴いてるのは、OasisとAC/DC。Oasisの『Wonderwall』とか、『Don’t Look Back In Anger』を聴きながらストレッチをして気持ちを高めつつ、AC/DCの『Thunderstruck』で一気に爆上げしてます。 あとは、運転中一人で音楽を聴いている時間がめちゃくちゃ好き。練習の行き帰りはもちろん、長時間のドライブとか。ちょっとくさいんですけど、夜中にあえて下道を選んで、ゆったりした曲を聴きながら運転する時間がお気に入り。Car&Motorcycle
ハマると怖いですけど、父の影響で クラシックカーにも興味があるんです。(三宅)星南が車が好きなのでよく話すんですけど、「これめっちゃよくない?」って言うと「古い車ばっかっすね」って返されます(笑)。 あとは革ジャン着てバイクにも乗ってみたいんです。僕、男の子なんでそういうのに全部憧れちゃうんですよね。 Photo ふと目に映っている光景を写真に収めたいと思う瞬間があって、カメラが欲しくなりました。いいカメラを持つと街の見え方も変わるんだろうなって思います。 Coffee 珈琲が好きで喫茶店によく一人で行きます。街をふらふらしてる時に、「お!」って見つけて入るのがいい。なんばとか昔からのお店が多くて、モーニングに行くこともあります。将来一人暮らしをしたら、ミルを買って淹れ方にもこだわりそう。
僕は歴史を感じるものや、ストーリー性のあるものに惹かれるんです。
アートなどの展示もそうですし、人が作り出すいろいろな価値観を見れるのがいいなって。古い建物や神社の造りだって知りたいし、旅先ではその土地の歴史を感じる場所に行きたい。 海外の市場でアンティークとかのよく分からん置物とか見たり、温泉旅行で地酒を飲んで「いいな!」って思う瞬間を大切にしたい。 本当おじいちゃんみたいなんですけど。昔から職人さんの物作りを見るのが大好きで、 だから服を作る過程に魅力を感じるし、服が好きなんやと思います。
「好きなことをひたすら話すの、いつかやってみたかったんです」と、目をキラキラと輝かせながらお気に入りのものについてたっぷりと語ってくれた友野選手。
着るものひとつとっても気分が上がるものを選んだり、日常にあるものにストーリーを見出したり。その時感じた感情を大切に、毎日の暮らしを全力で楽しむ姿勢が、氷上での豊かな表現力につながっているのだとわかった今回のインタビュー。
多彩な魅力をもつ友野選手の、競技への思いや、来シーズン以降の展望を語ってくれたインタビューも合わせてcheckしてみてください!▶「僕は諦めたことがない」努力と覚悟の先に切り拓いた新しいステージ。輝きを放ったシーズンを振り返る
Profile
1998年5月15日生まれ、大阪府堺市出身。セントラルスポーツ 所属。
趣味は古着屋巡り、サウナ。 “浪速のエンターテイナー”の異名をもつ、表現力豊かな唯一無二のスケーター。 層の厚い日本男子の中で、地道に積み重ねてきた努力が今シーズン開花。四大陸選手権2位、世界選手権では世界歴代6位の記録でショート3位につける大躍進を遂げ、今後ますますの活躍が期待される選手。▶詳しいプロフィール&これまでの活躍はこちら
取材・写真・文/轟木愛美 取材協力/浪速アイススケート場
Interview 今シーズンの飛躍の背景、さらには友野選手の演技が人々の心を捉えて離さない理由をインタビューを通してお届け! 極上のエンターテイナーかつ、冷静沈着で職人気質も兼ね備えた友野選手の魅力とは?
“ベテランと言われる年齢になったけど、今スケートがとても楽しい”。そう話すのは、今シーズン極上の演技で自己ベストを何度も更新し、メダル争いに食い込む選手へと成長を遂げた友野一希選手。
権威ある四大陸選手権で初のメダルを獲得し、世界選手権でも存在感を見せつけ勢いに乗る彼に独占インタビューを敢行。
アイスショーを終え、大阪に戻られたばかりの4月。拠点の浪速アイススケート場にお邪魔して貴重なお話を伺った。