春休みのこのシーズン、新入生に限らず新しくバイトを始めることを考える大学生は多いはず。
中でも大学生が重宝されて「時給が高い」ことで定評のある塾講師のバイト、興味ありませんか?
でも実際のところ、どうなの? ーーそんな疑問を解消すべく、留学をきっかけに辞めるまで、2年半ほど塾講師として働いていた私が、経験者目線で塾講師バイトのリアルを赤裸々に語ります。
ちなみに私が働いていたのは
小学生から高校生までを対象とした、1対2(1コマの間に、先生1人につき生徒2人を指導する)の個別指導型、地域では大手のひとつに数えられる塾。
そのことを踏まえて、またもちろんそれぞれの塾によって異なる部分もあることを理解した上で、バイト選びの参考にしてみてください。
学力テストがある? 内容は? 応募から面接、採用までの流れ
塾によってバイトの募集方法はさまざま。もともと塾生だったところから、卒業時に声をかけられて講師になったりするパターンも多いようですが、私の場合はインターネットでのWEB応募をしました。タウンワークやIndeedなどの求人アプリで、条件を比べて選び、そのままアプリで応募。
応募から数日後にメールが届き、面接日時を相談して決定しました。
面接は塾に行って行います。大手塾だと、この時点では配属校が定まっていない場合もあり、自宅に近い校舎で面接を受けることになります。
履歴書を持参して、採用担当の方からいくつか質問を受けることになります。
私が聞かれたのは主に「週にどのくらいシフトに入れるか」「塾講師として働きたいと思ったのはなぜか」「例えば〇〇な生徒だとしたら、どのような指導をしようと思うか」でした。
塾講師は「先生」として生徒と密接に関わりときに指導者となり、ときに相談相手になる仕事なので、面接では
□身だしなみ、清潔感などの保護者に信頼してもらえる最低限のきちんと感
□コミュニケーション能力、生徒にとって親しみやすい印象かどうか
が見られていると考えて臨むといいと思います。笑顔でハキハキ話すことが大切!
面接が終わるとすぐに学力テストがありました。
私が受けたのは、小〜中学生レベルの英語・数学のテスト。それから性格などの適性検査。
私は数学が苦手なので、正直数学のテストの結果は微妙……だったと思うのですが、無事に採用されたので、何かしらの教科(私の場合は英語)が生徒に教えられるレベルに達していたら合格なのだと思います。後ほど詳しくお伝えするのですが、塾講師はなにも全教科担当できる必要はないので、オールマイティーでなくとも得意教科がひとつでもあるならOK!
面接後は1週間ほどで、採用の連絡をいただきました。
採用後、私の場合は集団説明会の案内があり、そこで仕事内容や働く上での注意事項などの説明を受けた上で、その場で契約しました。塾講師は生徒の個人情報を扱う仕事でもあるので、このような形で最初に注意喚起があるようです。
ちなみにこの説明会もスーツで参加しました。塾講師バイトを考えている方は、スーツを1着持っておくと役に立つかもしれません。
いきなり授業なんてできるの? 仕事内容や研修のリアル
「先生」なんてできるかな? 不安は研修期間で解消できる
ついこの間まで教えてもらう側だったのに、いきなり「先生」なんてできる? そもそも授業ってどんな風に進めたらいいの?
私も当初、不安ばかりがつきまとっていましたが、大丈夫でした。いきなり生徒を相手にするわけではなく、たいていの塾は最初に研修期間があります。
私が働いていた塾ではまず、指導方法のざっくりしたマニュアルを説明するビデオを鑑賞。そのあと、実際に先輩講師が授業を行う様子を後ろでメモを取りながら見学。
さらには、2回ほど先輩講師相手に模擬授業をする、という内容の研修もありました。
なので、実際の生徒相手に授業をするまでは1ヶ月ほどありました。この研修期間(研修中も時給はしっかりもらえます)に、授業の流れを掴むことができます。たとえ研修していたとしても、その後生徒相手に授業をし始めて1ヶ月ほどは緊張で毎時間冷や汗たらたら、心臓バクバクでしたが……。
主な仕事はもちろん「授業」。教えるって難しいけど、楽しい!
塾講師の一番大事な仕事といえばもちろん授業。生徒の成績アップ、目標達成の手助けをすることです。私は1対2の個別指導塾で働いていたので、1コマ80分、その間に2人(教科も学年も異なる)を同時に教えていました。
担当する教科や学年は得意・不得意に合わせて融通がききます。
得意教科のみを担当できる場合が多いので、苦手教科があっても大丈夫。
実際、私は数学が苦手なのですが、文系教科のみを担当していたので問題はありませんでした。
学年についても同じで、小学校低学年の子どもたちを相手するのが得意な講師はそちらをメインに担当していたりもしていました。
個別指導塾では、授業内容は講師の独断で決める場合がほとんどです。
生徒ひとりひとりの理解度や、テスト日程、目標値などを考慮して、授業の予定を立て、使う教材や宿題の内容を決め、ときには小テストを作成したりします。復習のための授業なのか、まだ学校で習っていないことを予習するための授業なのかも生徒によって違いますし、学校から出された宿題を一緒に解いたりもします。教え方も生徒の性格に合わせて厳しめにしたり、あえて口を出さず様子見したり……。
臨機応変になれることが求められる、広義で「頭を使う」仕事です。でも、その分、「自分にしかできないこと」ができるというやりがいがあります。
□保護者に向けた連絡帳(授業内容の報告など)の記入
□保護者からの電話への対応
□講習会などの提案(教材や授業回数など)の作成
□三者面談に向けて、生徒の様子や成績などを社員に報告する
□新人講師の指導
□授業ブース、トイレなどの清掃
□宣伝のためのチラシ配布
などがありました。体力勝負では決してありませんが、常にすること・考えることの多く忙しい環境です。
1コマ80分、1850円。割がいいかは微妙なライン
私が働いていたところでは、1コマ(80分授業)で1850円。時給に換算すると約1388円です。
もちろん時給だけ見ると高いのですが、稼ぎやすいかは微妙なところだなと思います。その理由は大きく2つ。
まず1つ目は、どうしても時間外労働が発生してしまうから。
タイムカードを切るわけではなく、時給はあくまでも「授業コマ」単位。
授業前に教材をコピーしたり、予習したりする時間には時給は発生しません。また、連絡帳の記入や次回授業に行う小テストの作成が授業時間内に終わらなかったら、居残って作業することもあったり……。と考えると、実際の時給はもっと安い気がします。
2つ目の理由は、長期休暇だからって急にシフトをたくさん入れられるわけじゃないから。
シフトはあくまでも生徒ベース。自分が暇だからと勝手に授業回数が増えるわけではなく、固定の担当生徒につくので、生徒が授業をたくさん取らない限りは仕事時間は増やせません。
また、塾は基本午後(学校が終わる時間)からスタート。午前中に働くことができるのは、土・日程度です。さらに飲食店とは違い、年末年始やお盆休みには塾も休暇になったりするので、絶好の稼ぎどきは逃すことになります。
以上のことから、時給は低いわけではないけれど「割がいい」とは言えないなと感じています。お給料が一番の目当てという方には塾講師よりももっと効率の良いバイトがあるかもしれません。
講師は全員大学生。学生が多い職場なので、学生への理解が高く、シフトの融通は利く印象でした。テストや補講が急に入ったときには、すんなり休みを入れられたのがありがたかったです。
ただし固定の生徒がついているので、基本は毎週固定の曜日にシフトに入ることになります。また、すでに述べている通り、シフトは生徒ベースで決まるので、暇だからといって急にシフトを増やすこともできませんでした。
講師としては短期間でがっつり働くことができないので、代わりに試験監督バイトなどに参加して、そこで1日8時間働いたりもしていました。
生徒と向き合う時間の方が長い仕事……バイト同士の関係ってどんな感じ?
授業時間はずっと生徒と向き合っているし、講師同士関わる機会ってあるの? 仲良くなれるの?
答えは、なれます。私が働いていたところでは、講師同士の仲がめちゃくちゃ良くて、よくみんなご飯に行ったり休日には遊びに行ったり、旅行に行ったりしていました。
確かに、授業時間内はそれぞれ生徒と向き合っているので関わることはありませんが、それ以外の時間で仲良くなります。私が働いていたところには授業前後や空き時間に利用する講師用の控室があって、そこで入れ替わり立ち替わりおしゃべりしていました。
バイトが大学生だけで、社会人は社員だけなので、むしろ打ち解けやすくサークルのような雰囲気になります。もちろん、それぞれの塾によって雰囲気は異なるかもしれませんが、私の場合は、毎年春に親睦会があったり、4年生が辞めるときには送別会があったり、楽しかったです。もちろんときには恋が生まれる、なんてこともあります♡
どんな人に向いている? 塾講師バイトのメリット・デメリット
塾で働いていて何よりも楽しかったのは、生徒と深く関われることです。
自分が今まで学んできたことを活かして、教えることができる。それを生徒が理解して「わかりやすい」と言ってくれると嬉しいですし、生徒の成績が伸びて目標を達成したときには自分のことのように嬉しくなりました。また、勉強だけでなく、学校の話やときには恋愛相談まで……いろんな話を聞くことができて、信頼されてるんだなと思えたときにも嬉しくなりました。なので、人と話すことが好きな人、コミュニケーション能力が高い人向きの仕事だと思います。
また、授業内容など、自分で考えて行動することが多いので、アイデアマンに向いています! 逆に、マニュアル通りの事務的な仕事の方が好きな人にはあまりおすすめできません。
デメリットとして真っ先に挙げられるのは、服装規定の厳しさ。
教育現場なので、服装に関するルールは厳しく定められている場合が多いです。
授業中の服装は、私服の上に白衣でした。
しかし、サンダル・丈の短い(脚が出る)ボトムス・ネイルは禁止。また染髪もハイトーンはNGで、私のところでは茶髪、それもプールに入ったときに色落ちした程度のレベルまでと指示されていました。
個人的には今どきそこまで厳格にしなくても……と思うことも多かったのですが、ルールはルールなので仕方ありません。ネイルやヘアカラーを思う存分楽しみたい方は塾講師バイトは避けるのが吉。
以上、採用から仕事内容、メリットやデメリットなど塾講師バイトについて詳しく紹介しました。ひとつの意見として、バイト選びの参考にしてください♡
私的には、やってよかったお仕事だったので、興味のある方はぜひ挑戦してみて。