【モーニング娘。’21】佐藤優樹卒業記念インタビュー前編 音楽のこと、10代のころのこと

2021.12.08更新日:2021.12.10

【モーニング娘。’21】モーニング娘。としての作品を作る楽しさと、そこから離れる決意【佐藤優樹】

【モーニング娘。’21】佐藤優樹卒業記念インタビュー前編 音楽のこと、10代のころのこと_1

2021年12月13日に東京・日本武道館で開催されるモーニング娘。’21の単独ライブをもってグループおよびハロー!プロジェクトから卒業する佐藤優樹さん。心に刺さる唯一無二のパフォーマンスと掴みどころのない無邪気なキャラクターで多くの人たちを魅了し続けてきた彼女に、non-no Webが10年の活動を振り返ったロングインタビューを決行。ここでしか聞けない本音トークは必見です。前編では新曲『Teenage Solution』にちなみ、10代の思い出について。そして楽曲制作と、グループ卒業についての思いをお届けします。

卒業は"よしよし"してくれる大切な存在との区切り

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―― まずはラスト参加となるニューシングル『Teenage Solution / よしよししてほしいの / ビートの惑星』についてお話を聞かせてください。印象に残っていることはありますか?

「『Teenage Solution』は2回レコーディングしたんです。1回目のレコーディングのとき実は既に卒業を決めていたんですけど、メンバー含め周りのスタッフさんはまだ知らない状況で。でも私のなかでは大好きなディレクターさんに会うのも最後になるかもしれないとかいろいろ考えてしまって……そうしたら喉が全部閉まっちゃったんです。自分のなかではこういきたいって声があるのに、全然うまく声が出せなくて。でも何も言えなくて、その日は帰ったんですよ。そしたらマネージャーさんから後日、録り直そうって連絡がきて」

―― 2回レコーディングするのは珍しいケースなんですか?

「はい。マネージャーさんに理由を聞いたらディレクターさんが佐藤ならもうちょっとできると思う、って言っていたよと。そのディレクターさんは優樹が12歳ぐらいのときからずっとお世話になっている方なんです。まさに今回のシングルでいう“よしよし”してくれる存在というか」

―― だからこそ佐藤さんの不調もお見通しだったという。

「もしかしたら違うかもしれないけど、きっとそうだと思います。ひとつひとつの仕事もそうですし音楽をすごく大切に扱ってくれる愛のある方なんですよね。そして優樹のことを理解して話をしてくれるのがとにかく上手です。“よしよし”って表現だとわかりづらいんですけど、頭をポンポンして慰めるというより、一緒にいて向上できて自分が成長できるみたいなイメージなんですよ。だから卒業のことを考えると、こうやって会うたびに新しい発見をくれて、自分のことを成長させてくれるディレクターさんとのレコーディングも最後だっていうのがすごく大きくて。

ディレクターさんとつんく♂さんはまるで夫婦みたいな感じなんですよ。だからディレクターさんの言ってることはつんく♂さんの言ってることだと理解しています。そういうすべてを含めた制作過程が本当に好きだったんですよね」

―― 佐藤さんにとってつんく♂さんの楽曲とはどういうものですか?

「好きとか嫌いとかの感情では語れなくて、本当に人として成長させてくれる存在。私が仕事として接してきたからそう思うのかもしれないですが……といっても、自分のやっていることが仕事だときちんと理解できたのは17歳になってからなんですけど(笑)。

つんく♂さんの曲は人よりも私に寄り添ってくれる気がするんです。だからその存在と区切りをつけるというのは本当に大きい出来事だし、離れてしまって大丈夫かなとは今でもずっと思っています。

最近はラストシングルのことでこんな風にインタビューしていただく機会がいろいろあるんですけど、正直なところあまり向き合いたくないって思っちゃう。いつもだったら楽曲を理解するためにノートにいろんなキーワードを書き出して自分なりに分析したりするんですけど、それも今回は全然普段通りにできなかったですね。曲と向き合うことで、そういう大好きだったレコーディングも最後って認める感覚になっちゃうので」

ラストはいつも通り大好きなモーニング娘。の“普通の”ライブがしたい!

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―― 卒業コンサートとなる『モーニング娘。’21コンサート Teenage Solution ~佐藤優樹 卒業スペシャル~』への意気込みもぜひお聞きしたいです。

「いつも通りの、大好きなモーニング娘。の“普通の”ライブがしたいです。そのことはリーダーの譜久村(聖)さんにも真っ先に伝えました。本当はコンサートのタイトルにある優樹の名前もなくていいし、卒業発表もそのコンサートの前日とかでいいと思っていたぐらいなので。もちろんすぐに却下されました(笑)。でも自分がメインみたいになるのが本当に苦手なんです。すぐ落ち着きなくなっちゃう」

―― 佐藤さんにとってコンサートはどんな場なのでしょうか?

「さっきの話にも出てきたディレクターさんの存在がなかったら私はコンサートを好きになっていなかったと思います。いつもコンサートのメドレーを作ってくださるんですけど、そこでもモーニング娘。に対しての愛を感じるんです。どれだけの手間をかけてくれているのかは音を聞いたらすぐわかります。私はつんく♂さんが作ってくださってディレクターさんが大切に扱っているその楽曲を、形にしてファンの方に届けるということが大好きなんですよね。それができるのがモーニング娘。であって、コンサートなんだと思います。ソロだとそれは絶対にできない」

――  レコーディングやコンサートのほかに今まで活動してきたなかで印象に残っていることはありますか?

「Aさんからはこう言われたのに、Bさんからは全然違うことを言われることってあるじゃないですか。それでどちらかの言うことを聞いたら、どちらかに叱られてしまう、みたいな。確か15歳ぐらいのときだったと思うんですけど、そのことがすごく衝撃で。とにかく当時の優樹は何か言われたらすぐその人の話を聞いちゃう癖があったので、意図せず八方美人みたいな感じになってしまうこともあるんだって気づきました」

―― その状況をどうやって乗り越えたのですか?

「今はまず言われたことにちゃんと返事をして受け止めて、その後に“確認すべき人”に聞きにいくことにしています。音楽のことはディレクターさん、ダンスのことは先生など、このことに関してこの人というのを自分の中で決めているので。もちろん自分に対して何かを言ってくれる方にはありがとうと思うし、そこに一つの正しさがあるというのも分かっているんです。でも作品を作って届ける上で、指針になるのはその“確認すべき人”。だからもしかするとそれを知らない方は私のことを全然話を聞かない大変な子、と思っているかも(笑)」

―― (笑)。新曲のタイトルにちなんでほかにも10代の思い出を教えてください。

「ライブ中に歌詞が飛んじゃったことですかね。『なんちゃって恋愛』という曲でした。同期の(石田)亜佑美に曲中に聞いてみたけど、もちろん曲中なのでうまく話せず、結局思い出せなくて“ダ〜ダダダダ”って誤魔化して歌ったら、PAさんがすごい顔でこっちを見てて”うわ〜”ってなりました。

あとはダンスしているときにマイクが飛んでいっちゃったこととか。マイクがなくなった直後は手が軽くなって”ダンスしやすい〜!”とか思ってたんですけど、ステージからはける時にマネージャーさんたちがたくさん並んでいるのが見えたら急に怖くなって。本当は下手にはけるところをわざと上手に逃げました。そしてそのままトイレに隠れたんですけどもちろん後でしっかり怒られましたよ(笑)。

あ! 自分が出なきゃいけないステージのときに出番と気が付かずに楽屋にいて、聞き覚えのある曲だなと思ってその場で踊っていたらすごい勢いでマネージャーさんが扉をダンダンってする音が聞こえたことも……そういうことばかりが記憶に残っています(笑)」

―― (笑)。怒られた話ばかり出てきてしまったので、誉められてうれしかったエピソードも是非教えてください。

「これは優樹の性格なんですけど、“ここがいいね”とか“あそこがよかったよ”と言われてもあまり喜べないんです。おみくじに例えると大吉みたいな? もちろんうれしいしありがとうって気持ちはあるんですけど、捉え方によってはそれ以上がなくて伸びないって思っちゃうから。

うれしかったのは13歳ぐらいの時に“佐藤ならやれる”って言われたことです。その時本当にいろんな人からよく怒られていたというのもあるけど、あなたならもっとできるって言ってもらえると上に行くのも下に行くのも自分次第って感じがして受け入れやすいというか。そういう意味では、私はやっぱり“よしよし”して欲しいタイプなんだと思います」

"22才の勝負"を理解したことが卒業を決めるきっかけに

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―― 自分にはどんな魅力があると思いますか?

「うーん。私って誰よりもワガママだと思います。ワガママだし時にはちょっとした嘘をついてしまうし……それだけは誰にも負けない(笑)。自分の感情にさえ嘘をついちゃうくらいなので。寂しいとか好きとかそういうことにも正直になれない。なんなんでしょうね、あまのじゃくなんですかね? たぶん自分の感情に素直になるのが嫌なんだと思います。自分のことを信じられないから自分の意見も信じられない、それで人の話をすぐ聞く。

ただ何事に関しても、作るのも壊すのも最終的には自分次第ということはわかっているんです。でも、そういう風に理解できた今の自分がいるのも、結局周りの人のおかげだと思っています」

―― 卒業を決めた心境についても教えてください。

「以前つんく♂さんに“佐藤は22歳が勝負”って言われたのですが、それは”自分が決めたことを自信を持ってやれるかどうか”なんだと理解した、というのがひとつの理由です。もともと勝負っていうのは売れるかどうかっていう話だと思っていたんですけど、なんか違うのかなって気づきました。あとはいつ卒業したとしても、少なからず悔いや未練は残るだろうなって思ったのもあります。そしてやはり、病気のことも考えた上でした」

―― 卒業後について、5年後、10年後にどうなっていたいかイメージはありますか?

「人には得意、不得意があるっていうことを私は誰よりも分かるので、5年後にはそういう人たちの力になる何かをしていたいです。例えばそういう人たちの良いところを見つけてハロー!プロジェクトに売り込むとか(笑)。私自身、モーニング娘。になって確かに大変なこともたくさんあったけど、それ以上に強くなれたんです。自分に足りない部分をメンバーが埋めてくれたから大丈夫って思えたし、こんな私でも理解して受け入れてもらえるんだって気がついた。自分を受け入れられない人って結構いると思うんですよね。だからそういう人たちの力になりたい。

でも10年後も同じことをしているかはわからないです。10年後は妹が20歳になるタイミングでもあるし、親も今より年をとっていると思うので家族にも時間を使いたいです。10年後は32歳か……。でも先輩の田中れいなさんや道重さゆみさんを身近で見ていると、年齢ってまったく関係ない、何をするにも自分次第だな、と思うんですよね」

Profile

●さとう まさき

1999年5月7日生まれ、北海道出身。10期メンバーとして、2011年にモーニング娘。に加入。特技はピアノ。愛称はまーちゃん。メンバーカラーはエメラルドグリーン。同じ曲でもコンサートごとに違う歌い方や魅せ方で、多くのファンを魅了。「幸せはてんぷらそばのように運ばれてくる(意訳:幸せは実際にきてから“幸せだな”と思うものじゃなくて、お蕎麦屋さんに入って、てんぷらそばを注文するみたいに自分から注文しないと運ばれてこない)」など、感性豊かで独特な、核心を突いた表現もたびたび話題に。

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Information

モーニング娘。’21『Teenage Solution/よしよししてほしいの/ビートの惑星』通常版A

モーニング娘。’21

『Teenage Solution/よしよししてほしいの/ビートの惑星』

グループ70枚目のシングル『Teenage Solution/よしよししてほしいの/ビートの惑星』が12月8日に発売に! このシングルが、佐藤優樹参加のラスト作品となる。『Teenage Solution』『よしよししてほしいの』の2曲はつんく♂が作詞・作曲を手がけた。初回生産限定盤を含めた全8形態でリリース。

※初回生産限定盤SP2のみ、発売が延期に。詳しくは公式サイトをご覧ください。

▶モーニング娘。’21公式サイト

▶モーニング娘。’21公式Youtube


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