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【チャ・ジュンファン選手インタビューSP編】ジュンファン選手にもっと近づく一問一答【フィギュアスケート男子】
日本のファッション誌初! フィギュアスケーター、チャ・ジュンファン選手の独占インタビューを撮り下ろしカットとともにお届け。スタイリッシュな私服に身を包み、花が咲くような笑顔を披露してくれたジュンファン選手。彼の素顔に近づく質問を一問一答形式でお届け!
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フィギュアスケート
2022.12.27更新日:2023.02.06
先月札幌にて開催されたNHK杯で見事銅メダル。
ショート「マイケルジャクソンメドレー」では、鮮やかなスケーティングで氷上のスターの座に、フリープログラム「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」では鋭い眼光で見る者の心を正確に撃ち抜き、さらにファンを増やしたチャ・ジュンファン選手。
今月出場した国内大会では、参考記録ながらショートプログラムで100点を超える高得点をたたき出すなど、世界のトップ選手としてこれまで以上にその存在感を強める韓国の絶対的エースにインタビュー!
JunHwan CHA
non-no Interview
韓国 ソウル特別市出身の21歳。
13歳で国内選手権銅メダルを獲得。2015年からブライアン・オーサーコーチに師事。
多くのメダリストを輩出したカナダ・クリケットクラブで4回転ジャンプや表現力を磨き、2016年ジュニアグランプリファイナルで韓国男子として初のメダル獲得。その勢いのまま15歳で国内選手権を制し、現在に至るまで6連覇中の人気、実力ともに折り紙付きの絶対的エースだ。
自国開催のオリンピックイヤーとなった2017-2018シーズンには、ケガを負いながらも代表1枠をめぐる激しい国内選抜戦を戦い抜き、逆転勝利で平昌オリンピックに出場。
シニアに本格参戦となった翌2018-2019シーズンには、見事グランプリファイナルに進出し銅メダルを獲得と、またしても韓国男子シングルに新たな歴史を刻んだ。
その後、2020-2021シーズンは新型コロナウイルス感染症の拡大により拠点のカナダに渡れず国内で練習する日が続くも、持ち前の芯の強さとストイックさで技術と表現力をひたむきに磨き、2022年四大陸選手権で初優勝、北京オリンピックでは、メダルまであと少しの5位まで上り詰めた。
流麗なスケーティングとエモーショナルな身のこなしで、見る者の心を奪う芸術的スケーター。代名詞ともいえる優雅なイナバウアーで、どんな有名プログラムも自分色に染め上げる名手。
リンクの外ではいつも陽だまりのような笑顔でファンを和ませてくれるが、ことスケートにおいては自分に厳しく、どんなシーンでも常に目の前の課題にベストを尽くすことをミッションとしている。
4年に一度のオリンピックを終え、新たな気持ちで始まった2022-2023シーズン。
今シーズンはグランプリシリーズを前にチャレンジャーシリーズ2戦に出場。フィンランディア杯では見事優勝を果たし、その勢いのままグランプリシリーズアメリカ大会で銅メダルを獲得。
その後2年連続の出場となったNHK杯では、ショートプログラムで思わぬジャンプのミスがあったものの、スピン、ステップは最高のレベル4を獲得し、鮮やかなスケーティングで観客を魅了。6位発進で迎えたフリーでは、ここまでの3戦を経て徐々に完成度を上げてきたプログラムの真骨頂を披露。英国秘密情報部のエージェントとしての冷静な部分と、愛する人のために戦う人間らしさの両方の側面をもつ魅力的なジェームズ・ボンドを演じ、札幌の地を熱くした。フリープログラムでは2位、総合では3位と一気に追い上げ、メダルを獲得。シーズン後半に向け、技術、表現ともに磨きをかけ、自分だけの物語を氷上に描いていくチャ・ジュンファン選手に、NHK杯の感想や、今シーズンのプログラムについてお話を伺った。
――まずはNHK杯で2年連続の銅メダル獲得、本当におめでとうございます。
ありがとうございます。今回の試合では、もともとのプラン通りにいかなかったところもありますが、それでも結果があまりよくなかったショートプログラムからフリープログラムへと徐々に調子を上げ、後半はいい演技をお見せできたと思いますので、今は満足しています。
NHK杯では思っていた以上に貴重な経験をたくさん得られたと思っています。
――フリープログラムの「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」は気迫あふれる演技で時が経つのを忘れるほど引き込まれました。前日のショートでは6位と思わぬ結果となってしまいましたが、どのように気持ちを切り替えたのでしょう。よく眠れましたか?
ショートプログラムの演技は普段の練習とは程遠い滑りでした。
翌日、フリープログラムが残っていたので、ぐっすり寝ようとはしたんですが……。ぐっすりとも、全然とも言えない眠りでした。試合前日の日はだいたいそのような感じです。
翌日のフリープログラムでは自分にもっと集中し、今まで練習してきた成果をみなさんにお見せしたいという心構えで臨みました。
――ショートプログラムでミスのあった4回転サルコーには3点以上の加点が付く素晴らしい出来栄え、最後のリカバリーも素晴らしかったです。コーチの方々から何かアドバイスはありましたか?
ショートプログラムの結果は多分、コーチたちも予想していなかったと思います。日本に着いてからの練習も順調でしたから。ですがコーチは落ち込んでいた私をフリーに集中できるよう近くでサポートし続けてくださいました。
――表彰式ではキラキラと眩しい笑顔が素敵でしたが、少し悔しそうな表情もあったように思いました。
ショートプログラムの演技についての心残りはあったと思います。しかし、フリープログラムまですべての演技が終わってからは、順位とは関係なく、私自身がどのように演技をしたかを大切に思うようにしました。
いつもですと、ショートプログラムで力強い姿をお見せして、フリープログラムではその気持ちを引っ張っていけるようにしていました。
ですが今回の場合はショートプログラムでいつも通りにいかなかった分、フリープログラムでは気持ちを切り替えて臨みましたので、表彰式ではそういったことを振り返っていたんだと思います。
――これからに向けてどんな目標を見つけたか教えてください。しばらくはまた国内での練習が続くのでしょうか?
これからの試合が韓国で開かれますので、しばらく韓国で過ごすと思います。12月の1週目に国内で大会があり、その後1月に国内選手権と試合が続くので、いい状態をキープしてシーズン後半までベストな演技を見せられるようにしたいです。
――最近スケート靴の調子はいかがでしょうか? 以前から靴が合わなかったり、壊れてしまったりということがあったかと思うので少し心配でした。
実はNHK杯に来る1週間前にスケートシューズが完全に壊れてしまって、とても短い期間で新しいシューズに足をなじませないといけなかったんです。そんなハプニングを経て、NHK杯に参加しました。
――そんな大変な状態で挑んだ試合だったんですね。
ちょうどいいスケートシューズを見つけたのは、大会の3日前でした。そこから試合まで十分な時間はありませんでしたが、演技ではベストを尽くしました。
――平昌オリンピックの2017-2018シーズンや、翌2018-2019シーズンも靴がなかなか合わず苦労されたと思います。
はい、2018 -2019シーズンの時も中盤までは調子がよかったのですが、後半から靴に問題が出てきて、その後の試合がちょっと大変でした。
今シーズンはうまく乗り越えて、シーズンの最後まで頑張っていきたいと思います。
――昨シーズンは四大陸選手権優勝や、北京オリンピック5位など輝かしい成績を収められました。それによって今シーズン心持ちの面で何か変化がありましたか?
自信はついたと思います。
ただ試合に挑む時は毎回同じ気持ち。いつも新鮮な気持ちで戦っているんです。
以前出場したことがある大会であっても、常に新しいことを学べるので、そういった経験の積み重ねが、これからの自分の大きな力になると思います。
ですから、これからも常に平常心で試合に臨むことを大切にしたいと思っています。
CHECK
――ショートプログラムが「マイケル・ジャクソンメドレー」と聞いた時は少し意外でした。久しぶりのダンシングなナンバーですね。この曲を選んだ理由を教えてください。
北京オリンピックを終え、新しいシーズンに向け何か新しい変化が必要だと考えていて、新しいジャンルのプログラムに挑戦することがその一つだったんです。
特に今までのショートプログラムでは、クラシックとかニューエイジミュージックのように弦楽器がメインの音楽を使っていました。ですからもっとアップテンポの曲、ダンスナンバーにしてみたらどうかと考えた末、マイケル・ジャクソンの曲に決めました。
――ダンスがお好きで、以前からさまざまなジャンルのダンスを練習されていますよね。それが氷上でも遺憾なく発揮されていると思います。特に気に入ってる振付はありますか?
ありがとうございます。ステップシークエンスの部分がとても気に入ってます。
いや、もうすべて気に入ってます。笑笑
――全部!(笑) 特にムーンウォークは観客の皆さんも歓声を上げたくてうずうずしたと思います。練習には苦労されましたか?
最初はうまくいっているかどうかが分からなくて悩みましたが、練習しているうちにだんだん形になっていきました。本番もうまくできたと思います。
――練習のためにマイケル・ジャクソンのMVをたくさん見られたんですか?
実はそれほど見なかったんです。
もちろん参考程度には見ましたが……でも歌はたくさん聴きました!
――一方、フリープログラムにはジュンファン選手のスマートさと内なる炎、2つの相反する魅力が詰まっていますよね
「007シリーズ」の「ノー・タイム・トゥ・ダイ」を見て、作品自体もおもしろかったし、曲にもハマりました。先ほど話したようにちょうど変化が必要だと思っていたところだったので、ぴったりの曲だと思い、振付師のシェイリーン・ボーンと相談して決めました。
――ジュンファン選手は映画がお好きなので、きっと「007シリーズ」もほとんどご覧になっていると思っていました。たくさんの人気シリーズがあるなかで、この「ノー・タイム・トゥ・ダイ」を選ばれた理由はなんでしょうか?
他のシリーズとは違ったエンディングでしたし、予想外のストーリーが魅力的でした。また、英国秘密情報部のエージェントとしてではなく、一人の人間としてのジェームズ・ボンドの姿が見られたのが特に心に響いたんです。
――確かにそれが印象的ですよね。「ノー・タイム・トゥ・ダイ」はボンドが愛する人たちのために自分をかけて戦うストーリーです。ジュンファン選手はこれまでのプログラムでも自分だけのストーリーを思い描きながら滑っていると聞いたことがあります。今回はどんな気持ちで滑っていらっしゃるのでしょう。
私が映画を見て考えたストーリーやイメージは実際に振付を作る時もとても参考になりました。ですからこのプログラムの中にも私が思い描いたストーリーがしっかり込められていると思います。
この曲はジェームズ・ボンドが任務を遂げて死を迎える時、流れる音楽なんです。
しかし、シェイリーンと私はどうしても彼の死を認めたくなくて、どこかで生きている結末を想像しながら振付を作ることにしました。
このようにプログラムの中には私だけのストーリーがひっそりと込められているんです。
――ボンドファンとして、お気持ちはよく分かります! ジュンファン選手もボンドはどこかで生きていると願っているんですね。
笑笑。
はい、ボンドには死なないでいてほしいという気持ちを込めて……。
――戦闘シーンを思わせるキレのある滑りから、情感豊かなパートまでどの振付もジュンファン選手にぴったりなのですが、特にお気に入りの振付はありますか?
オープニングとエンディングのポーズが気に入ってます。実は、オープニングとエンディングのポーズを互いにマッチングさせているんです。もちろんクライマックスのロングイナバウアーも好きです。
――最初の顎に手を添え、鋭い目線を送るところと、ラストの腕を組んで前を見据える部分ですね。あのコレオに心を奪われるファンの方も多いと思います。
――NHK杯で初披露となったエキシビションナンバー、JVKEの「golden hour」 についても教えてください。こちらもご自身の選曲ですか?
いえ、「golden hour」は振付師の方におすすめされた曲です。聴いてみて私もとても気に入ったのでこれに決めました。
――振付はカナダのジョーイ・ラッセルさんですね。いつ制作されたのでしょう?
実はスケートアメリカとNHK杯の間に頑張って作ったプログラムなんです。
――グランプリシリーズ中のお忙しい合間に! 抒情的なナンバーですが、特に見てもらいたいシーンはありますか? またこちらは失恋の曲、という解釈になりますか?
笑笑。
この曲も同じくオープニングとエンディングをオーバーラップさせています。思い出を呼び起こすかのようなプログラムなので、最初から最後まで全体の流れを見ていただきたいです。
捉え方によるかと思いますが、終わってしまった恋を“golden hour”と呼び、その時の気持ちを振り返る曲だと思って私は滑っています。
――再び日本で演技が見られるのを楽しみにしています。今年も世界選手権出場を目指されているかと思いますが、目標を教えていただけますか?
まずは世界選手権に出場することです。私の場合、シニアシーズンを通して世界選手権では納得できる演技がこれまでできていなかったと思っています。
ですから今回の世界選手権では、自分で納得できる演技をすることが目標です。
――確かに3年前のさいたまや、先シーズンのモンペリエでもケガや靴の問題がありましたよね。
今回も世界選手権の開催地・さいたまスーパーアリーナでは熱い応援が送られると思います。日本のファンがどんどん増えているのを感じますか?
日本では試合と「STARS ON ICE」や「THE ICE」などご招待いただいたアイスショーに出演しましたが、そこでたくさんの方々から応援していただきました。
徐々に日本のファンの皆さんの応援の気持ちも感じられるようになりました(笑顔)。
――最後の質問です。4年ほど前になりますがファンの方々に「情熱的に健康的に生きてほしい」といったメッセージを送っていましたよね。ジュンファン選手にとって「情熱」が人生のキーワードの一つになっているのでしょうか?
ふふ、覚えていますよ。ちょうど平昌オリンピックが終わった後のシーズンでした。
初めてのオリンピック出場を通して、自分がこれまでやってきたことについて熱い情熱を感じましたし、どんなことも情熱を注いだ時にこそ、楽しさが広がっていくと思っているんです。
そういった意味でファンの方にも何事も情熱的に挑んでほしいというメッセージを送ったんです。
――では、今改めてファンの方々にメッセージを送るとしたら?
NHK杯のために日本に来て、今回もまた貴重な経験を積んで帰ることができます。
日本での素敵な思い出のおかげで、今シーズンも引き続き頑張っていけると思います。
日本のファンをはじめ、世界中のたくさんのファンの方の応援のおかげで、思い切り試合に挑むことができました。
ファンの皆さんに感謝の気持ちをお伝えしたいですし、いつものようにお体に気をつけて、毎日を情熱的に過ごしていただきたいです。
NHK杯ではたくさんの応援ありがとうございました! もっと練習してさらに強くなって戻ってきます! また日本でお会いしましょう!
JunHwan CHA
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今回は特別に「ジュンファン選手にもっと近づく一問一答」を番外編としてお届け!
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フィギュアスケート選手 |
車 俊煥、チャ・ジュナン、차준환
2001年10月21日生まれ、韓国 ソウル特別市出身。身長178cm。 国内選手権6連覇中の韓国の絶対的エース。 2018年グランプリファイナル銅メダル。2022年四大陸選手権優勝、北京オリンピック5位。 今シーズングランプリシリーズ2大会ともにメダルを獲得。シーズン後半のISU選手権に向け、珠玉のプログラムに磨きをかける。 新たな変化を見せたいと選んだ今シーズンのプログラムは、ショートが「マイケル・ジャクソンメドレー」 、フリーが映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』より。
▶詳しいプロフィール&これまでの活躍はこちら
撮影/花村克彦 取材・文/轟木愛美 写真提供/アフロ 取材協力/札幌プリンスホテル
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