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2022.04.28
この春読みたい!「生きづらさ」を描いた衝撃作
書店員は休憩中によく本を読みます。読むというよりは入荷した新刊にざっと目を通し、内容を把握するのみのこともあるのですが、がっつり読んでしまって、しかも号泣してしまうことがある。『ダルちゃん』は泣いて泣きすぎて、そのあととても仕事なんかできない状態になってしまった1冊です。
実はダルダルの生き物だけど、人間のOLに擬態してなんとか周囲と話を合わせ、普通の人たちに溶け込もうとするダルちゃん。傷つきながらも少しずつ世界に手を伸ばし、本当の自分を生きてもいいんだと立ち上がる姿が優しく描かれています。
偽りの自分を生きることは誰だって少しはしていること、自分も我慢しなくちゃ、普通でいなくちゃ、本当の自分を出したら嫌われる……本当にそうでしょうか。意外と好き勝手に自由に生きてもいいのかもしれませんよ。「普通」「普通じゃない」「生きづらさ」、そんなテーマがなぜか心に引っかかる人にぜひ手に取ってほしい本です。
『ダルちゃん』にも登場するこの本は、著者が亡き後も多くの本好きに熱狂的に愛されています。静かで透明な言葉をじっくりかみしめれば、森の中で深呼吸をしているような気持ちに。
SNSやリアルの人間関係のなかで、何げなく投げかけられる悪意やネガティブな言葉。気にしないようにするのは難しいですが、そんな心がラクになるヒントをくれる4コマ漫画&エッセイ集。
楽しいオバさんになる! 最もイケてる参考書
私がハタチの頃は「25過ぎたらオバさん」「30過ぎたら終わり」という呪いが強く、私の価値ってもうすぐ終わるんだなと思いながらビクビク生きていたのですが、実際には30になる頃には「アラサー」という言葉が誕生してブームに。30過ぎてもみんな楽しく生きる世界になっていました。言葉自体も今やすっかり定着しましたね。
しかし40はやっぱり、けっこうなオバさんでしょう……? と思いきや、最近40代の女性がやたらと楽しそうなのです。なんだか得した気分です。皆さんもやっぱりオバさんになることって怖いですか? この本はきっとそんな不安をまるごと吹っ飛ばしてくれるほどおもしろい。
自分らしさを自覚して自由に思い切り生きているそれぞれの姿が何より頼もしく、会話のおもしろさもずば抜けています。知と思索とユーモアがすべて揃った大人たちの会話はまるでF1のレースを見ているように刺激的。きっと「こんなオバさんになりたい」と思えるはず。
札束で殴られるマシーンなど意味不明の「無駄」なものを作っているちょっと変わった女子が、やりたいことを貫いてお金を稼げるようになるまでを丁寧に解説しています。発明品はおバカだけど本人はまじめ。かっこいい生き方がうらやましい!
自分らしく生きること、憧れと現実の大きな差。うまくいかない女子たちの日常のシーンを描いた短編とエッセイはどれもダサせつなくて、笑えて、うんうんうんと強くうなずけるものばかり。頑張ろう、と気持ちが軽くなります。
●はなだ ななこ
HMV&BOOKS HIBIYACOTTAGE店長。著書に『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』がある。
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